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僕と彼女のリア充ライフ  作者: 一条二豆
第三章 バースデイ&バレンタイン
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第七話 班を一緒に

 その日の放課後、俺は廊下でただ一人佇んでいた。

 掃除や下校前の談笑などでまだ生徒はたくさん残っていて、俺が話すことができる友達はその中にいくらでもいる。

 それにもかかわらず、俺がこうして一人でいるのには理由があった。


 俺はちらちらと見続けていたある人物が一人になるのを見計らって、足早にその人のもとへと向かった。


「おっす」

「うん、おはよ」


 俺が軽く挨拶をすると、双葉はいつも通り、なぜか朝の挨拶を返してきた。


 寮でケータイが使えず、クラスが違うため話に行きにくい俺が取った行動は、放課後の少しの時間に話に行くということだった。

 言葉にしてみれば簡単そうだが、実際にしてみると意外に難しかった。放課後に会いに行こうと思っても、終礼が終わる時間が合わず、双葉が教室から出てくるときには、すでに誰かと喋っているのだ。さすがに、友達と喋っているところにずかずかと入っていくことはできない。

 そのため、俺は双葉が一人になるまで、誰かとはあまり喋らないようにして待つしかなくなったのだ。一人で廊下に立ち続けているのは、周りの目とかが気になって少々辛いのだけれど。

 でも、双葉と喋るためだから背に腹は代えられないし、なにより彼女と話せば苦労なんてどこふく風なのでいいんだけれど。


「お前、なんでいっつも挨拶が『おはよう』なんだよ?」

「なんか、適当に」


 一か月は経ったが、相変わらず彼女の考えていることは理解できない。理解できるようにならなければと焦る反面、彼女のことを理解できる人がいるのかという疑問もある。


「そういえば」


 双葉はロッカーから取り出した教材を鞄にしまいながら、ふと思い出したように言った。


「なんか、一香が班を合体させようみたいなこと言ってたよ」

「班を合体?」


 一度では意味が理解できず、俺は双葉に続きを促した。


「武野は班、決まったの?」

「ああ、一応」


 結局、俺がもたもたしている間に班はどんどんと決まっていき、俺の班は余りものの集まりみたいなものになってしまった。だからといって修学旅行が終わったわけではないし、これを機に仲良くなれればと思うことにした。


「それで、オレたちの班と一香たちの班がばらばらになって、いつもの四人で再編成しようって話になって」


 双葉は二組で、一香は一組だ。つまり、別々のクラスの班がごちゃまぜになるということだろう。いつもの四人というと、杉下姉妹、佐野、相坂のことだろうか。


「で、皆気を使ってくれてさ…武野も入れようって話になって」

「なるほどな…」


 噛み砕いて言えば、班員をばらばらにして新しく班を作ろうってことか。

 しかし、そうなると二つほど問題が浮上してくる。


「勝手にそんなことしていいのか?」

「駄目だと思う」


 駄目なのかよ…。


「でも、なんとかなるんじゃない?」

「…まあ、それは置いといたとしても、俺の班の面子はどうするんだよ?」

「ああ、それなら一緒に回ろうって話になってるよ?」

「え? いいんだ」


 てっきり、俺だけ外れろみたいな無茶ぶりをされると思っていたので、少し安心した。さすがに同じ班のメンバーに、彼女と回りたいからルールを破ってくれとは言えない。


「じゃあ、今度班の皆に聞いてみるよ」

「うん、お願い」


 彼女と、より長く一緒にいられる。


 それが可能になるかもしれないというだけで、下がり気味だった俺の修学旅行に対するモチベーションがぐんと上がったのだった。


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