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僕と彼女のリア充ライフ  作者: 一条二豆
第二章 初デート
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第二話 約束

 あけまして、おめでとうございます。


 年は明けて、もう暦は一月の上旬。ケーキやらチキンやらと十二月に感じたクリスマスムードはとうに過ぎ去り、街中はまったくのお正月ムードへと切り替わっていた。

 店の入り口には門松や大きな鏡餅が飾られていたり、年明けの大セールの看板がでかでかと掲げられていたりと、目を開けば「お正月ならでは」でいっぱいだった。


 俺は普段外出をほとんどしない。理由は外を歩くのが面倒臭いからとかファッションに自信がないからとか、挙げたらキリがない。ましてや、お正月に外出などもっての他である。家でぐーたらする時間を減らすだけでしかない。


 でも、今年は状況が少し違った。


「で、どこ行こうか」

「んー…、どうしよっか」


 俺の隣で可愛らしく頭を悩ませているのは、先日俺の彼女になった杉下双葉だ。スタイル抜群でオシャレも完璧(俺主観)な彼女が、俺の彼女になっただなんて、日が経った今でも、実感が伴っていなかった。


 あの日から後、俺は祖父母に家へと帰るため、香川を離れて愛知へと戻っていた。そのため、付き合った以後、彼女とは一度も会えなかったのだけれど、すぐに関係が崩れてしまうのが怖かった俺は、ある約束を取り付けておいた。


 帰ってきたらデートに行こうぜ、と。


 そして、今日俺は彼女とデートをすることができたのだ。後から気づいたが、これが俺の人生初のデートとなる。武野遙々、不覚にも初めてを奪われてしまいました!


 しかし、どこにデートに行くかで本当に困った。香川には高校生が遊びに行けるような場所が数えるほどしかない。しかも、どこも何かパッとしない感じで、かなりの時間場所選びには迷ってしまった。


 結局、俺たちは瓦町駅から近い、日本一長いと有名な商店街に行くことにした。日本一長いといっても、シャッターが閉まっているところもちらほらあり、東京のアメ横みたいに人がわんさかいるなんてことも全くないので、そんなことは気にも留めたことはないのだけれど。


 俺と双葉は、朝が弱いという彼女たっての希望で一時に駅のスタバで待ち合わせ、少し談笑した後、商店街をぶらぶらして適当な店に入ろうということになった。


「この辺だとゲーセンがあるかな」

「でも、ゲーセンお金めっちゃ使うしね…」


 双葉の言う通り、ゲーセンに行くとお金が手から水が零れ落ちるように消える。

 気づいたら両替しすぎてお札がどんどん無くなっていくという…おそろしや。


「で、どうする?」

「…ちょっと、お腹減ったかも」

「じゃあ、なんか食べるか?」

「…やっぱり減ってないかも」

「どっちだよ…」


 双葉の釈然としない返事に、俺はため息を吐いた。

 でも、双葉は心の中でどうするかを決めたらしく、大きく頷いた。


「よし、食べよう! なんか食べよう!」

「そうか、じゃあなに食べる?」

「え、うーん…」


 俺がそう尋ねると、双葉は再び頭を抱えてしまった。

 さすがに、双葉ばかりに決めさせるのは駄目だよな…。


 俺はそう思い、双葉に提案をした。


「なら、クレープ屋行かないか? 確か、もう少し歩いて行ったらあったよな?」

「あー…いいね、そうしよっか」


 というわけで、俺と双葉は最初にクレープ屋に行くことになった。


 クレープ屋に行こうと言うのは、実は最初から決めてたけどね。



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