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第十三話 帰還
調子戻り、俺が端島と談笑していると、ようやく玄関のドアが開いた。外に出てから、五分くらい経ってのことだった。
「もういいよ…って、あれ、端島帰ってきてたんだ」
玄関から顔をのぞかせてきたのは、相坂だった。
「おう、買って来たぞ」
端島は片手に下げていたレジ袋を掲げて見せた。それを見て、相坂はズビシッと音なるかと思わんばかりのグッドポーズを決めた。
そんなやりとりもほどほどに、俺と端島はやっと家の中に入ったのだった。
リビングでは、双葉が鏡を見ながらメイクの仕上げをしているようだった。どうやら、涙で落ちてしまったメイクを直すのに時間がかかっていたらしい。
ずっと泣いていたのだとしたらどうしようと思っていたものだから、また一つ俺の不安が消えた。
その後、何事もなかったかのようにゲームは再開した。
王様ゲームに飽きると、人狼ゲームやWeeをして遊んだ。
でも、俺の頭の中には、双葉の涙がしこりとなって残っていたのだった。