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僕と彼女のリア充ライフ  作者: 一条二豆
第一章 告白
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第十話 数分前

「え、マジで!」


 俺の言葉に真っ先に反応したのは、双葉だった。最初は声を出して笑っていたが、だんだんとおろおろとし出して、最後にはスカートをぎゅっとにぎって縮こまってしまった。


「ほんとに…?」


 双葉は誰かに救いを求めるかのように、きょろきょろと視線を泳がせた。


「え、うん、命令だし…」


 命令を出した佐野本人も驚いているようで、うろたえた様子で双葉に言った。

 それが皮切りとなったのか、一香が急に興奮しだした。


「ちょ、告白すんの! ねえ、双葉! 動画、動画録ってもいい!?」


 なに言ってんだこいつ!?


 急にわけのわからないことを言い出した一香に、俺は絶句するほかになかった。なんで動画録る必要があるんだよ、ただ恥ずかしいだけだろうが!


「え、べ、別にいいけど…」


 そして、双葉もなぜか了承している。…いいのか、双葉よ。突然の出来事に混乱しているんじゃないのか?


 一香が鞄からスマホを取り出している間にも、双葉は落ち着きなく動いていた。


「え、ほんとにやるの? オレ、告白とかしたことないんだけど…どうやってやんの?」

「大丈夫だって! いけるいける!」


 双葉は忙しなく座ったり、立ったりを繰り返しており、それを佐野や相坂が母親のように微笑んでいた。表情だけ見れば、双葉は楽しんでいるように見えるが、空気からそれがとてつもなく緊張をしているということがひしひしと伝わってくる。


 俺はというと、双葉の様子を正座の状態でじっと見ているしかなかった。まあ、俺もそれだけテンパっているということである。こうして、『自分待っていますからオーラ』を出すことが、俺にできる最大の強がりだった。


 とにかく、平常心を保たねば…。


 俺は、そのことと目の前にいる双葉のことで頭がいっぱいになっていた。

 他のことは考えられない、他のことは目に映らない。

 だけど、時間は自然と過ぎていく。俺の頭が真っ白になっているうちに、双葉は覚悟を決めたようだった。


 その顔は笑顔だったが、耳は真っ赤に染めあがっており、彼女がどれだけの勇気を振り絞っているのかが見て取れた。


 双葉が咳ばらいをする。それと同時に、なんの音一つもない空間がそこに広がった。


 息を呑むことすらはばかられる空気の中、双葉はゆっくりと言葉を紡いだのだった。


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