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僕と彼女のリア充ライフ  作者: 一条二豆
第一章 告白
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第九話 運命の時

 始めてから三十分ほど経っただろうか。ゲームは盛り上がりを見せ始め、皆のテンションは相当ハイになっていた。俺も、いつの間にか緊張が解け、素直にゲームを楽しめるようになっていた。

 奇跡的に、俺と双葉は一度もかちあわず、特にわだかまりのないまま、ゲームは進行していた。


「じゃ、次。王様だーれだ?」


「はい、私!」

「また相坂かよ」


 ゲームはこれで十五ターン目だが、これで相坂が当たったのは、通算七回目である。半分くらい相坂が王様ってどうなってんだ。不正を疑うぞ、俺なんてまだ一回しか王様やってないのに!


「えー、どうしよっかな…」


 相坂も、七回目となると、ネタに限界を感じてきているらしく、命令を頭を抱えながら考えていた。

 三分ほど経つと、相坂が何かひらめいたらしく、ひょこっと立ち直ってきた。


「じゃあ、三番がコンビニにジュース買って来る」

「また俺!?」


 半ば悲鳴のように声を上げたのは、端島だった。ちなみに、こいつが命令の餌食になるのは通算八回目。お前ら、端島になんか恨みでもあんのかよ…。

 さすがに八回目ともなると、あきらめがつくのが早くなったのか、端島はため息をついて立ち上がった。


「で、なに買ってこればいいんだ?」

「俺、缶コーヒー」

「私、オレンジジュース」

「ウチも」

「じゃあ、私はオランジーナ!」

「オレも缶コーヒー」


 罰ゲームのため、俺たちは気兼ねなく端島に注文をしていった。ちなみに、お金は自分たちで払うので、奢ってもらうわけではない。


 ちなみに、オレというのは双葉の一人称である。なぜかは知らないが、初めて会った時からこんな感じだ。


 端島は、俺たちから小銭を受け取ると、コートを羽織って、そこそこの距離があるコンビニへと向かうため、玄関を出ていった。


「じゃ、拓斗が戻ってくるまで、このメンバーでやろう!」


 一香は割り箸を一本よけると、すぐさま第十六ゲームを始めた。

引いた札は、また王様じゃなかった…。しかし、王様ゲームの楽しさはそれだけじゃない。さて、次はどんな命令が来るのだろうか。

 俺は子どものようにわくわくしながら、次の命令を待っていた。


「王様だーれだ?」

「ウチだ」


 どうやら、次の王様は佐野らしい。佐野の命令は、ありがちなものばかりだから、無難と言えば無難だけれど、時折恐ろしい命令もあるから、ちょっと緊張する。


 しかし、俺の楽しい楽しい王様ゲームは、いや、皆にとって楽しい王様ゲームは、ここで終わってしまうのだった。


 佐野は少し悩んだ後、何でもない調子で言った。


「じゃあ、一番が四番に真剣に告白」

「え!? オレ一番なんだけど」


 …え?


 俺は耳を疑った。

 今、なんて言った?

 双葉が、一番だって?


「え、四番誰―? 私、二番なんだけどー?」


 一香が面白そうに笑っているが、そんな彼女とは反対に、俺の心臓の鼓動は加速を始めていた。

 これは、今さっきまであったわくわくに似た緊張ではない。…胸が締め付けられるような、恋ゆえの緊張だ。


 俺は勝手に震えている、札を持った右手を見ながら、できるだけ自然な声で言った。




「俺、四番だ…」





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