8/9
告白
『水姫様、私はまだ神気を上手く操れないのです。 加えて土地勘もない場所では護りたくとも護れません。 どうか力をお貸し下さいませ』
神気を浴び母様、もとい水姫の力が蘇る。
『共に此の地を守護する者として……もう一つお願いがあるのです』
疾風はくるりと雫の方をむいた。
『私は一瞬で、そこにいる雫に恋をしてしまいました。 どうか共にあることを許して頂けますでしょうか』
真摯な告白に、母様は頷き、雫は赤くなった。
『疾風様。 雫を頼みます』
姿を消す間際、祭りにいってらっしゃい、と母様に告げられ、雫の浴衣が淡い水色の花模様に変わる。
あわせて誂えた朱色の帯とリボン……そしてゲタに雫が笑った。
『疾風様』
『疾風でいいですよ』
照れ臭そうに笑う。
そっと手を繋いで歩き出した。




