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此処は、賑やかな町よりも少し離れた所にあるアパート。そのアパートの4階の角部屋があるOLの女性の家だった。
その女性には、1ヶ月ほど前まで付き合っている男性が居たのだが、男性の束縛が日に日に強くなって終いには…
「お前仕事やめろよ。」
そんな事を言われ始め、休日は家に居なければ怒鳴られる。ウンザリした女性はその男性に別れを告げ、このアパートに引っ越して来た。
だが、別れを告げた男性はその事に納得がいかず、ほぼ毎日女性に付きまといストーカーの様になって居た、警察に捕まえて貰おうにも確定する様な証拠など何処にも無く途方にくれて居たが、引っ越して来たこの家だけはまだ知られて居ない、それが女性の唯一の救いでもあった。
「えぇー!…本当に大丈夫なのそれ?辛くなった言ってよ、助けになれるかもしれないし。」
同僚の友人に別れた男性の事で困っていると相談したら、助けになると言われ少し安心した。相談に乗ってくれた友人と帰りに飲みに行き、ほろ酔い気分で家までの暗い夜道を歩いていると、突然背後から腕を掴まれた。
「っ!何!?離してよ!」
突然の出来事にパニックになって、掴まれた腕を必死に振り払おうとして掴んだ犯人の方を見ると、何と最近ストーカー紛いの事をして居るあの男性だったのだ。
「何なの?離してよ!もう私に付きまとわないで!」
「なぁ、頼むから戻って来てくれよ。俺に何か悪いとこがあるなら直すからさ。な?頼むよ。」
「何言ってるのよ!私はあんたの束縛する所が嫌いなの!もう、離してってばっ!」
ようやく掴まれた腕を振り払い、男性に背を向けて家までの道をひたすら走って逃げた。家の玄関に着いた頃には肩で息をして居て、すっかり酔いも冷めてしまっていた。その日はもう何も考えたく無くなり、お風呂に入って眠りに着いた。
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「えっ、大丈夫だったの?何もされなかった?しつこいね、その人。…あっ!ねぇねぇ私さ、ストーカーに着いて昨日調べたんだけど一番興味を失わせる方法があったんだ。」
「どんなの?そんなのがあるなら次会った時に試してみたい。」
「えっとね?貴方の名前なんて知りません。人違いじゃ無いですか?って言えば結構ストーカーには効くらしいよ!」
「へ〜、ありがと!やって見るよ。」
そんな事で無くなるものなのかとも思ったが、ストーカーには効くものらしいので藁にもすがる思いでそれを実行してみようと考えていた。
結局その日も昨日と同じ様に飲みに行き、帰りに心配だから家まで送ろうか?と聞いてきた友人に大丈夫だと伝え、帰った。
すると、昨日男性に腕を掴まれた場所の近くにある薄暗い路地に男性が立っていた。
「おい、待てよ!」
「離してください。私は貴方の事なんて名前も知りません!人違いです!」
そう言うと、また女性の腕を掴んでいた男性の手の力が緩まって簡単に振り解ける様になって居た。
その為、走り出す勢いで手を振り払い同じ様に帰って行った。
「…俺の事を忘れた?なら、思い出させてやるよ。…待ってろよ?」
走り去る女性の姿を見ながら呟いたこの言葉は、必死に走っている彼女の耳には届いてはいなかった。
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「本当?!よかったじゃん!これでもうストーカーされなくて済むね?私も安心したよ〜。」
2日間、あの言葉を言った後男性は女性の前に姿を現さなくなった。
来なかったとしても、1日だけだったあの男が2日も現れないと言うことは諦めたんだろう。そう思い、感謝を言うついでに居なくなったと報告すれば、友人は手を握りながら喜んでくれた。
それからは、特に何も無く平和な日々を過ごして安心し切っていて、もうこんな事は無いだろうと思っていた。
その日は、仕事が夜遅くまで続き日を跨いでようやく家に帰ることが出来た。溜息を吐きながらバックから鍵を取り出し、鍵を開けてドアノブを握ると…すうっと、ライトに照らされて出来た自分の影が大きくなった。
驚いて振り向こうとしたが、口を押さえられながら抱えられ鍵の空いた家に入ってしまった。
「んー!んん〜!?」
「暴れるな。暴れたり大声を上げると…殺すぞ?」
その一言で、全身が凍りついた様に動かなくなった。畳の上に降ろされ、恐怖で少しでも多く距離を取ろうと後ずさって、壁に背が着いた所で止まってしまった。
怖くて震えながらも相手の顔を見ると、居なくなったと思っていた男性がナイフを持って立っていた。
「ぁ、あんた…なんで居るのよ!」
「お前が、俺の事を忘れたって言うから、思い出させてやろうと思ってな?」
そう言うと女性の口に小さなボールを入れてガムテープをし、さらにその上からタオルで猿轡の様に縛った。
女性は恐怖でされるがままの状態で、ガタガタと震えながら目からは涙を流していた。
「お前がな、俺の名前を忘れたって言うんだったら、思い出させてやるよ。思い出したら呼んでみろよ?」
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約1ヶ月間、アパートの大家が引っ越して来てから殆ど部屋へ出入りして居ない女性を不審に思い、合鍵で女性の部屋に入るとドアを開けた瞬間酷い異臭を放つ部屋に眉をしかめながらも、薄暗い室内を歩きリビングへ向かった。
女性の部屋を訪れた筈の大家が、奇声を上げながら走って出て来るのを見た住民はどうしたのかと大家に聞いた。
だが…
「部屋に、部屋…し、ぃがぁー!警察を、早く!」
と、余り要領を得ない事ばかりで話にならなかった為、取り敢えず警察を呼んでいる間に大家を落ち着かせた。
その後、警察が到着し女性の部屋へ入り何があったのか見て見ると、そこには…
ナイフで首を掻き切って死んでいる男性と…
…この部屋の住人であろう、全身の顔から足の裏までビッシリと、誰か男の名前らしき物が隙間無く掘られて、所々白骨化している…男女の死体が見つかった。
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ーーそのアパートは、今でも残って居るらしいがこの部屋だけは当時のまま…鍵が多く付けられ開けられない様厳重に閉ざしたままだと言う。
如何でしたか?
投稿する前に読んでもらった所意見が半々に割れたので、投稿しようか迷って居たんですがどうせなら投稿してしまおうと思いそうしました。