文章力3
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「それで、他には何かないんですか?」
「何か偉そうね……まぁ良いわ。あとは自分なりに参考になる様な、むしろ手本となる文章を見つける事ね、ゴールも見えずに努力するのは大変だからね、目に見える目標を見据えた方が努力はし易いんじゃない?」
「確かにそうですね」
「まぁ上手い文章を幾つか目にしたり模写している内に、自分のテンポとか、ノリが見えてくるはずよ、そういう自分なりの調子を掴めるようになれば、かなり文章力も上がるんじゃないかしら」
「テンポとノリ……ですか」
「その辺は人それぞれあるから一概には言えないけどね、分かりやすい例で言うと、クラシックを聴きながらだと文章が進むって人も居るし、賑やかなロックとかを聴くと文字が浮かんでくるとか、それぞれに合った執筆環境ってのがある訳よ、そういうやる気スイッチ的なのを見つけられれば、かなり上達するんじゃないかしら」
「なるほど、あ、分かりましたよミライさん、僕はヒップホップのテンポが合うようです、ほら見てくださいよ!」
「読み辛いし分かり辛いしで却下だわこんなの! 何よ出だしの地の文、Yo Yo 今日はいい天気とか、行き成り斬新過ぎるわい!」
「え、でもコレがボクスタイルですよ」
「完全に音楽に引っ張られてるじゃない! あくまで自分の世界を作るのが大事よ! 他人の世界に引っ張られてフワフワしている内はまだまだよ!」
「Yo Sey Hey Hoo !」
「それ止めて貰える!? 何か腹立つんだけど! あと韻も踏めてないし、リズム乗ってないし! アンタB-Boy向いてないわよ!」
「そんなこんなにもノリにノってるって言うのに!」
「そう言うのを自分に酔ってるって言うのよ」
[続く]




