文章力1
『文章力』
「ミライさん、文章ってどうすれば上手くなるんですか?」
「あら、なかなか建設的な質問じゃない」
「ええ、僕もそろそろ無茶な要求や理不尽な提案をしている頃合いじゃないと思いましてね」
「成長したじゃない」
「僕もそろそろ、邪念を振り払い真摯に文章と言う大海に漕ぎ出す事も辞さない訳ですよ。そして誰もが崇め賛美し、何もせずともお金が天から降り注いでくるかもしれないですよ」
「いや邪念だらけじゃない……」
「文章なんて情熱と欲で描く物でしょう!?」
「ある意味真理でもあるわね、では教えてあげましょうか……文章力を上げる秘訣を」
「おおお、お願いします!」
「何だか奥義伝承みたいね、でもそんな難しい事は無いわよ。まずはよく本を読む事よ」
「本なら読んでますよ、沢山ほら!」
「そうね、じゃこの本はどうだった?」
「面白かったです」
「この本は?」
「感動しました」
「もっとよく読めぇぇぇ!」
「ええっ!?」
「どこがどう面白かったとか! 何処がどう泣けたとか! どういう構成で自分は楽しめたとか泣けたとか、そういう細かい読み方をしないと単なる読者のままよ!」
「なんと」
「あと最初は上手く書こうとはせずに、取り敢えず書く事を意識する事ね、好きこそものの上手なれって言うでしょ? 文章力なんて書いている内に上達するもんよ」
「そう言うもんですか」
「何よ不満なの?」
「もっとこう楽々上昇すると言うか、これさえ押さえておけば丸っと安心というか、もう、苦労しない方法とか、後はもう寝てればいい的な」
「……邪念だらけじゃない」
「情熱と呼んでください!」
「まぁその腐った情熱? で、どうこうすればいいじゃないの」
「もうちょっと具体的にお願いします! ただ本を読み込めとか、書きまくれなんてそんなの誰でも言えるじゃないですか、その程度じゃ全然ですよ」
「言ってくれるじゃないの……分かったわ、文章力の神髄! その身に叩き込んでやろうじゃないの!」
「おお、ミライさんが燃えている!」
「でもとりあえずさっきの言い方気に食わないから一発殴るわよ!」
「それでこそミライさんです痛ぁぁぁっ!」
[続く]




