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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
82/94

感情を揺さぶれ4

[4]


「さて、続いては空気よ」

「え、空気ってCO2的な?」

「それは二酸化炭素、空気は窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム、メタン、クリプトン、二酸化硫黄、水素、一酸化炭素、キセノン、オゾン、二酸化窒素、ヨウ素等を含む複合気体で……ってそう言う物質の事を言ってるんじゃないわよ! この場合、雰囲気とそう言う事を指しているのよ!」

「はぁ」

「もっとその世界に触れて居たい、浸って居たいと思わせる様な空気を作り出す事が出来れば、ファン獲得は目の前よ!」

「それは素晴らしいですね」

「勿論食う気なんて曖昧な物、そう容易く作り出せはしないわ。ある意味計算じゃない部分も多分に含む事になる。それこそ作者のセンスとか、ノリとか、テンポとか、独特の世界観だとか」

「もはやほとんど具体性が無いですね」

「こればっかりは、こうすればいいってやり方は出来ないわね。しいて言うなら、自分が一番はまった作品、一番熱狂した作品を思い返して、その作品の何に一番惹かれたのか、自分はどういう世界に魅了されるのかを十分に理解し研究した上で、自分の作品に当てはめて作ってみるといいわ」

「そう言う熱狂した作品が無ければ?」

「それこそ勉強不足よ、もっと沢山の作品に触れて見るべきね。とにかく空気を作り出す事は大変よ、ほんの些細な表記や言い回し、説明の仕方や風景描写だけで決まる事も有るんだから。それでもあえて言うならば、世界観を緻密に作って、丁寧に描く事ね。表現を繰り返し推敲して、読み易く、分かりやすく、それでいて濃厚に仕上げる事が、遠回りのようで近道よ」

「難しいのですね」

「でも、これが読むうちに深層心理に働いて、何となく心地よくしてしまうのよ、それに空気作りは、頑張ればどのような話でも出来るから意外に侮りがたいわよ」

「どのテクニックも、効果は高そうですが難しそうです」

「そりゃ勿論上級テクニックだからね、難しいのは当然、むしろ人を楽しませようと思うなら、このくらいのハードルは越えられなくちゃよ」

「ううう、頑張ります」

「そうよ、頑張る事よ」

「ところで今回全然笑い所なかったんですけど、それは良いんですか?」

「う、ぐ……まぁ今回はシリアス回って事で」

「オチも全然つかないんですけど」

「ま、まぁその代り為になる回と言う事で……」

「それはハードルを下げてるんじゃないんですか?」

「うっさいな! じゃアンタ今から一発ギャグで場を盛り上げて見なさいよ! さぁ、ほらほら!」

「そんな無茶ぶりをする人が、よくここまで感情を揺さぶれと言えましたねっ!?」


[続く]


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