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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
8/94

キャラクター4


『キャラクター4』



「色々と言ったけど、まだまだ魅力とは言えないのよね」

「えええっ!? っと、驚いては見ましたが、どうしてですか? 外見もしっかり描写して、内面も作って特技も役割もあれば十分じゃないですか」

「駄目なのよそれじゃ、個性的なキャラは作れるかもしれないけど、魅力的な、人を惹き込むキャラとまではいかないわ」

「えー、そもそも魅力的なキャラって何なんですか?」

「魅力的なキャラとはっ!」

「おおっ!」

「それは如何にして生まれるかは作者自身にも分からないわ、しいて言うならば偶然、その場の勢い、宇宙の意志、とにかくある時急に、あ、何かこのキャラ面白いな勝手に動いてくれると不意にキャラクターが作者の手を離れて勝手に動き出す、それこそ魅力的なキャラの産声なのよ」

「何かオカルトじみてますね」

「魅力的なキャラが主役やヒロインとは限らないわ、下手をすればただのわき役ややられ役の場合だってある、そう……魅力的な、勝手に動くキャラはそうそう狙って作れるもんじゃないのよ」

「な、なんと……」

「でも、幾つかのセオリーはあるわ。まず作者が作り出す数々の困難をものともしない、登場人物たちが一目を置く頼りに成る立ち位置、そう言う役割に結構多いわね。何より活躍させる場所が多いし、重要な役割を持つから読者にも印象がいい。そして大人なポジジション」

「大人って……主人公の両親とか?」

「いいえ、立場的な大人では無いわ。ある意味諭す立ち位置と言うのでしょうか? ある意味キャラクターよりも作者的なメタな場所に居るからこそ、作者のメッセージが籠る為に作者自身も感情移入して結果として良く見えるのよ」

「例えば、探偵とか?」

「……そういう明確な謎を解く立ち位置じゃないわね、むしろ問題を提起したり、答えをはぐらかしたり、むしろ現場を引っ掻き回す、でも的外れな意見は言わない、ある種謎めいた立場のキャラなんかは結構いいわね、トリックスターは物語とは無関係に自由に動きがちだから、それだけでも魅力的よ、ただし、主人公にそう言う立場を与えるのは不味い」

「何でですか?」

「主人公が物語のルールに沿わないと、色々と破綻するのよ。もしくは主人公自体がルールに組み込まれている事もあるわね、あくまで主人公は物語の中心、だからあまり自由に動かすとルールがあやふやになっちゃうわ、ご都合主義に見られる事もあるし」

「ルールと言うのは一体どういった?」

「簡単な例で言うなら、主人公が一般人だとするなら、トリックスターは怪しい発明家って所かしら。その物語におけるルールは一般常識とか物理法則ね、で、トリックスターの発明家は発明と言う手法で、そのルールを変える。そして主人公が発明家の発明に翻弄される姿が面白い訳だから、その時に主人公は物語のルール、一般常識や物理法則を守らないと面白くないわ」

「じゃ、主人公は魅力的に出来ないんですか?」

「出来なくはないわ、でも難しいわね。やるとするならば主人公を二人用意するとか、バディ(相棒)物にして二人組で動かすとか、第二者視点を用いるなどの工夫が必要よ」

「むむむ、容易では無いんですね……」

「やっぱり主人公って読者が感情移入する先だからね、かっこよく描く事は出来ても読者自身が惚れる様な魅力的に描くのなら客観的に見た方がやりやすいのよ、もし主人公を魅力的に描きたいなら、その傍らに一人、読者が感情移入できるような相方や普通の感覚のキャラを一人用意するべきね、そこが読者の受け皿になるわ」

「魅力的なキャラ一人では駄目なんですか」

「シャーロックホームズもワトソンと言う引き立て役が居なければただの変人よ、トリックスターな立場のキャラは結構常識とは違う行動原理を持っていたりするから、補佐と言うか一般人の意見を用意しないと読んでいる方も読み辛くなるわけ」

「でも、そこまで自由に動かれるとなると……作者としてどう扱っていいか困るんじゃないですか? 折角のストーリ無茶苦茶にされそうで」

「馬鹿ね、無茶苦茶にされていいのよ」

「ええなんでっ!?」



[続く]


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