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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
77/94

モチベーション4

[4]


「さて、最後は禁断の技法を紹介するわよ」

「改まってなんですか……悪魔と契約でもするんですか?」

「ある意味近い所があるわね、最後にアンチテクニックを教えるわよ」

「アンチテクニック……ですか」

「アンチテクニックって言うのは、通常では小説を書く上で禁忌とされている技法をあえて使用すると言う方法よ」

「え、それって大丈夫なんですか?」

「まず大丈夫じゃないわね。少なくとも素人が下手に手を出せば、大災害は必須よ、大やけどを負う羽目になるわ」

「そんな危険な……それがモチベーションの維持につながるんですか?」

「いい? アンチテクニックとはいわば成功例が非常に少ない、皆が避ける方法なのよ。逆に言えば、それで成功すれば一気に技術が向上する訳よ」

「なんと!?」

「他人の如かれた安泰なレールの上を微温湯に浸かりながら進むのが嫌ならば、あえて茨の道を自分で切り開くのよ! 勿論並々ならぬ努力と、挫折が待っているわ、書けたとしてもアンチテクニックと言うだけで見向きもされない事だってある。でも、其処に辿り着くまで荷費やした苦労の質は、普通に格以上に貴方の力になるはずよ! そこで改めて王道の路線に戻るもいい。アンチテクニックを極める為に、再び努力するもよし。小説にルールなんて無いのよ!」

「ただひたすらにカッコいいですね!」

「こういうタブーを犯すと言う禁忌の蜜は、作者に非常に楽しい時間を提供してくれるわ。ドッキリを仕掛ける様な楽しさよね。でも、アンチテクニックというのは扱いが難しく、明確なデメリットがあるから使わないようにしようってされた技な訳よ。それだけ危険なんだから、扱いには気を付けてね」

「恐ろしいですね……ちなみに具体的にアンチテクニックってどういった物があるんですか?」

「そうねー。とりあえず視点移動だとか、登場人物過多とか、夢オチとか、バッドエンドとか、叙述トリック、主人公交代、等々ね。他にも回想を挟むとか、子供時代から描くとか、擬音を多用するとか。膨大な設定を書き連ねるとか、時系列をバラバラにするとか」

「結構ありますね」

「基本やっちゃ駄目な事をあえてやろうとするんだから、それこそ面白くなくなって当然、面白くしようとするならかなり努力が必要よ」

「そうですね分かりましたそれは止めときます」

「じゃあなん為の説明だったのよっ! とは言うけどそれが賢明よね」

「まぁでも、そういうやり方があるって事は覚えておいて」

「まぁ多分やらないですけどね」

「いやその内やれよ」

「やらない方がいいって言ったのミライさんじゃないですかっ!?」

「それでも挑戦するのが男でしょ!」

「理不尽!?」


[続く]


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