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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
76/94

モチベーション3

[3]


「うーん、他に何かあるかしら?」

「何かないんですか? こう、もうこれさえこなせば困る事無く、悩む事も無く、すらすらと話が浮かんで止め処無く筆が進むような、そんな素晴らしい技法は!」

「何か図々しいわね……もう、脱法的なドラッグの症状みたいじゃないの、それこそ酒を飲んだ勢いでとか進めるくらいしか……」

「そんなぁ」

「そうね、執筆の深淵に触れれば、楽しさは増すわね」

「何ですかそれ、オカルト的な?」

「プロが何で沢山作品を掛けるか分かる?」

「プロだからですか?」

「プロは沢山のテクニックを知ってるからよ。比喩や勅諭や、キャラの立て方とかギャグの作り方、詩的表現や心理描写とか、色んなテクニックを知って居れば、色々と面白く作る算段が立てられるでしょ?」

「むぅ、確かにそこまで実力があれば、色々と作れそうですね」

「そうなのよ、アンタが今詰まっているのは単純に実力不足なのよ、十分に実力っていうか、テクニックよね、こういう時にどういう話に持って行けば読者が惹きつけられるとか、こういったミスリードで読者の意外性を突けるとか、経験と技術があれば、書いていて面白くない、何か無駄だなって思うシーンなんか一切なくなるわけよ。むしろ、何か中だるみするような、無駄と思える病者を書いている時点で、そう言うシーンを面白くするテクニックに欠けているんだから、勉強あるべきなのよ」

「そうなんですか……僕には面白くする技術が足りていなかったんですか……」

「まぁ、そう言うのは書いていく内に身に付く技術だから、今は気分転換しつつ、情報を集める事ね、楽しくないのに無理に進めても面白く書けるかは微妙なんだから。それよりは楽しく書ける状況を維持し続ける事が優先よ」

「小説は面白く書いてなんぼですからね」

「そう言う事よ、主人公やヒロインが悩んだり迷ったり葛藤したり苦しんだり、仲間が重傷を負ったり死んだり裏切りにあったりして、心に傷が鷹揚なシーンを楽しんで掛ける様日々努力あるのみよ」

「いやミライさん、それはそれで凄く偏った被虐趣味の様な気が……」


[続く]


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