時代劇セオリー1
『時代劇セオリー』
「ガス灯が道を照らす。人々は路面電車に揺られる。
新しい風と共に、古い物が錆びつく空気。
何処か霧掛かった、不安の時代。
地面のように様々な物が舗装されてはいるのに、何処か暗さがまとわりつく。
――明治」
「な、何ですか今度は?」
「時代は明治、文明開化に揺れる移り変わりの時代! 時代劇セオリーまずは明治時代よ!」
「それって時代劇って言うんですか?」
「まぁ、時代劇の定義としては、明治維新以前の江戸とそれ以前の時代を描くって定義で、明治時代以降は現代劇となるようね、ちなみに、時代劇でも剣戟をメインにした物をチャンバラって言うわ」
「それで何で僕は、薄暗い古びた喫茶店でコーヒー何かを飲んでいるんですか?」
「あのね、今は明治よ、古びたって言うか喫茶店なんて流行最先端何だから、時代的には日本全体が洋風化って流れになっていたのよね、でもそういう変化は都会だけで、地方は相変わらず古き良き日本文化のままだったらしいけど、それとコーヒーじゃなくて珈琲だから」
「細かい……」
「明治頃の喫茶店は、知識人の社交場であった様ね、その為あまり大衆向けでは無かったのよ、値段も10銭……今で言う千円くらいはしたんだから」
「ひええー、何か珈琲そんなに好きじゃないんですけど、そういう自分が贅沢者に思えてきましたよ……」
「この頃は様々な業種が生まれたりして、結果的に成金が増えたのよね、そういう意味で金持ちのボンボンとか、そう言ったドラ息子的な若者が増えた事も芸術とか文化面では貢献が大きいかもね」
「ところでミライさん、時折なんか白い煙を吐いて居ますけどどうかしたんですか? あと全体的にブリキっぽいし……鋲止めの跡もありますよね?」
「この時代に滑らかに動くロボットが居る訳じゃ無し、蒸気で動く程度が技術的な限界よね」
「フィクション描写にもそんな拘りが……」
「時代劇系は、とにかく歴史考察や資料集めが重要よ、描こうと思った時代の資料には金と労力を惜しまず文献を漁る! 得た知識の分だけ、作品の奥深さやリアリティーが増すのよ!」
「結構ハードル高いんですね……」
「そういう意味では、一朝一夕で書けるもんじゃないわね。スタートを明治にしたのは、時代が近代に近ければそれだけ多くの資料が残っているからよ、明治なら明治村とか行けば、そのまま時代の街並みと化を体感できるしね」
「じゃ、まずは資料集めからですか」
「この辺の時代なら、日本の古典文学を読むだけでも、情景が描かれていて資料になったりするわよね」
「そう言えばスタートはって言いましたけど、何処かに向かうんですか?」
「そうよ、折角だしこれから時代をどんどんと逆行していくわよ!」
「いやもう何処が時代劇なんですか!? それSFじゃないですか!」
「この作品は元々SFじゃないの」
[続く]




