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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
67/94

異能力セオリー4

[4]


「鐘の音が鳴り響く。

 古都アスライの伝統ある鐘塔が、正午の鐘の音を鳴らす時。

 決着の時が訪れる。

 広場にて対峙する拡張道具使い/エクスツーラー。

 能力の強さが決定打になるとは限らない。

 道具は、上手く使う人物に微笑むのだ。

          ――決戦」


「ふふ、こんな所で出会うなんて奇遇ね」

「あら、それはこっちの台詞よ、さっき捕まえたばかりだってのに! あのバカ本当に使えないわね」

 広場にて、ミライとライセが対峙する。互い鐘と針を持って、ゆっくりと射程を調整し合っている。

「ふふふ、また私の声を追って来たんでしょうけど、誘い込まれた事に築かないとは愚かね」

「なんですって!?」

 ミライが驚いて周囲を見渡す。よく見れば足もとにキラリと輝く、金属針が地面のタイルの隙間に隠されていた。

「さぁコレで邪魔者とはおさらばよ!」

「それはどうかしらね?」

 ライセが手を翳し雷を打ち出すのと、ミライが手に持った鐘を鳴らすのはほぼ同時だった。

 しかし、吹き飛ばされたのはライセだけであった。

「な……んで……!?」

「言ったでしょ? 私の『福音の鐘/エンハンス・ベル』は音を操る、小さな鐘の音を衝撃波を伴うソニックブームに増幅する事も可能なのよ」

「……私の雷が何故……?」

「落雷はライフル弾とほとんど同じ速度で撃ちだせるかもしれないけれど、音は音速、マッハで飛んで行くのよ、発動タイミングが同じでも圧倒的に速度が違うのよ!」

「ふふふ……直接対決では完敗の様ね、でもまだ勝負は終わっていないわよ! こうしている間にも、私の相方がターゲットにペンを渡し終えているはずよ! ソレに向かって雷を落とせば私達の勝ちよ!」

「さてそれはどうですかね」

 ライセの言葉を遮って、僕が広場に姿を現した。

「なっ!?」

 僕の傍らには、捕まえたリンネが抱えられている。

「捕まったの、罠に嵌められたの……」

「そんな……どうして……」

「この子の能力は、どうやら鏡を通して未来を見るようですからね、つまり得られる情報とは視覚情報のみ、それならばミライさんに連絡して足止めをお願いし、その間に僕がターゲットと接触し、事故を装って飲み物を服に掛け、服装を還させて貰い、自分が同じ服装に成れば向こうから酔って来るって寸法ですよ、僕の能力、『手動筆致/マニュアル・トレーサー』は望んだ対象の居場所を描写出来る、それによりターゲットに先に接触する事は簡単でしたからね」

「しかし……ミライと連絡を取り合う暇なんか!」

「だから言ったでしょ? 私の能力は音を操るって。それに通常の能力をさらに拡張できるのは貴女だけじゃないのよ、さっき鐘塔の鐘の音を聞かなかったかしら?」

「まさか!」

「そう、あの鐘の音を媒介に彼と情報交換をしたのよ! あの鐘の音はこの街全体に響き渡るから、彼が何処に居ようと私の名前を呼べば聞こえるのよ!」

「駄目もとでもミライさんの名前を叫んだ甲斐がありましたよ」

「か、完敗だわ……」

「負けたの……」

「よっし、コレで任務完了よ!」

「やりましたね!」

「…………所で、何でアンタそんな……貴婦人御用達のゆるふわ系ドレスなんか着ちゃってるのよ……?」

「だって! ターゲットが女性だったなんて知らなかったんですもん! 仕方ないじゃないですか! 囮になるには同じ格好しなきゃいけなかったんですから!」

「とは言っても……その恰好は無いわー」

「取り敢えず任務に貢献できたんですからこれ以上は触れないでください!」


[続く]


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