異能力セオリー1
『異能力セオリー』
「古都アスライには様々な人が訪れる。
独特の彩色タイルで覆われたドームは見事としか言いようが無く、東洋の特色を交えつつも、西洋宮殿の様な豪華さを併せ持つ街並み、特に大聖堂の巨大な鐘の音が街中に響く様を一目見ようと、観光客が押し寄せる。
民族衣装の名残を持つローブを纏った寺院の関係者、スーツ姿のビジネスマン、ラフな格好の観光客と、それに紛れる怪しい人達。
――古都ワラ・キュ・アスライ」
「さぁ着いたわね」
「何ですかここは? 何だか賑やかな……観光地ですか?」
「そうよ、古都アスライ。今回此処にある異能力者が入り込んだと機関から報告があったわ」
「異能力者とか機関とか……」
「こういった異能力系って、以外にも長々と冒頭で能力設定とか説明すると冷める物なのよね、だから最初から能力の説明とかはせずに物語を展開するに限るのよ」
「場所がこんな異国の地なのは?」
「学校とか舞台だと、日常に紛れ込んでくる非日常の演出が面倒なのよね、だったらもう、非日常側で日常に溶け込む組織目線で書いた方が楽って感じ」
「成るほど、だから紛れ込む為にこんな民族衣装っぽい恰好なんですね」
「今回、此処に潜り込んだ異能力者は、此処に観光に来ている要人の暗殺を企てているわ、そして私達はそれを阻止する為に派遣されたのよ」
「な、何か物騒ですね……そもそも異能力者って?」
「それは」
ミライが何かを言いかけた時、何処からともなく幾つかの針が飛来し地面に突き立った。
「……!? 危ない!」
咄嗟にミライは僕を押しのけて飛び退いた。
その瞬間、それまで僕等が立っていた場所に激しい音と共に落雷が発生した。
バチバチと雷は地面に突き立った針に収束され、そのまま消え去る。
「……今のは……?」
「落ち着いて聞きなさい、異能力者の攻撃に間違いないわ」
「え、じゃあこの街に潜伏しているって言う僕等のターゲットですか!? 行き成り攻撃してきましたけどっ!?」
「だから落ち着きなさいって! 組織から私達の情報が漏れるとは考えにくいわ、もしかしたら適当に放った攻撃かも知れないわよ、そうやって行動してみて私達の反応を見ているのかも……」
そう言っている間に、僕等の足元に再び針が付き立てられる。
「いやミライさん、これ確実に僕等を狙って……ってああ、もうあんな所に逃げてる!?」
「アンタも早く逃げないと黒焦げよっ!」
「ひやぁぁぁぁぁあああああ!?」
降り注ぐ落雷の中を、僕等は必死で逃げだした。
[続く]




