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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
54/94

寓話セオリー2

[2]


「ある時、旅人が道を歩いて居ました。

 そこに北風と太陽が居合わせました。

 そしてどちらが旅人の上着を脱がせるかで、力比べをする事になりました。

          ――北風と太陽」


「さぁあの旅人の上着を脱がした方が勝ちよ」

「今度はこういう展開ですか北風ミライさん」

「苗字っぽく言うんじゃないわよ」

「これも太陽である僕の勝ちパターンな奴じゃないですか」

「そう言って居られるのも今の内よ、じゃまずは私から行くわよ、食らえ北風攻撃!」

 北風であるミライさんが力いっぱい風を吹かせます。

「風が吹いてきたようね、何だか寒いわ」

 当然旅人(ライセ)は上着をしっかり押さえてしまいます。

「ほらやっぱり駄目だったですね、じゃ次は僕が」

「まだまだ! 私の実力はこんなもんじゃないわよ! 強風!」

 北風はより強い風を吹かせます。

「か、風が強くなってきたわね!」

「ほらやっぱり此処は僕の出番ですよ」

「ええい、まだまだよ! 豪風!」

「ちょ、待っ! 前に……進めな!」

「諦めましょうよ!?」

「私の辞書に撤退の二文字は無いっ! いっけぇ颶風!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

「ああ、吹き飛ばされた!?」

「しゃっ! 勝った!」

「いや旅人の上着を脱がすんでしょう!?」

「細かいわねぇ、じゃ次の旅人はアンタからやってみなさいよ」

「まだ続けるんですか……」

「ほら次の旅人が来たわよ、さぁアンタやってみなさいよ」

「ああもう、えいっと」

 太陽の光が、旅人を燦々と照りつけます。

「……暑いの」

 旅人(リンネ)は汗を掻きながらも。

「……でも、このていどダイエットにはちょうどいいの」

「あれ脱がない!?」

 さらに太陽は強く輝きます。

「……この日差し、お肌にわるいの、しがいせんを防ぐためにも素肌のろしゅつは避けるべきなの」

「ば、馬鹿な! 太陽の光が効かない!?」

「ハハハハァ! なら次は私の番よ、こんなちっさい旅人ならあっという間に地平線の彼方へ送ってあげるわ!」

「だから上着を脱がせる勝負なんでしょう!?」

 北風が、力いっぱいに風を送ります。

「……むぅ、風がつよくなってきたの、でもこんなこともあろうかとおもりを持ってきていて正解だったの」

「なんのまだまだ風力は上がるわよ!」

「……手ごろな木にロープで自分をしばるの」

「これでもかっ!」

「こんな時は近くの建物か地面に穴を掘ってひなんするの」

「最・大・風・速!」

「地中深くのシェルターに潜れば、地上のどんな悪天候にもたいしょかのうなの」

「はぁはぁはぁはぁ……」

「風が止んだの、焦らず気長に待つ事もたいせつだったの」

「……あの、旅人行っちゃいますけど……?」

「どうしろって言うのよ……」


『教訓:思い通りにいかない事もある。備えあれば憂い無し?』


[続く]


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