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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
5/94

キャラクター1

【第四話】


『キャラクター』


「ミライさーん!」

「ドタバタとうるさいわね」

「ミライさーん! た、助けてー!」

「一体何? どうしたって訳? 何か泣いてるみたいだけど」

「ううう……じ、実はネットの皆に虐められたよぉ!」

「はぁ……?」

「ぼ、僕が小説書いてるって言ったら、じゃ、どんなんだって言うからちょっと見せたら、人に対して使うとは思えないほどの罵詈雑言で僕の存在を全否定してきたんだよぉ! お願いだよ、素敵な未来の力で僕を虐めたあいつらを一人残らず塵も残さず消去してよぉ!」

「いや私そんな機能あるなんて言った覚えないんだけど」

「ええ!? じゃ何の為にそんな小さな胸で僕の部屋の押し入れに居るんだよ!」

「胸は関係ないでしょっ!」

「じゅあ、ポケットの中に何か便利な道具が入ってるんじゃないの……?」

「え、スカートのポケットの中には……あ、輪ゴムと五円玉が」

「がっかりだよっ! ミライさんには胸以外にも色々とがっかりだよ!」

「何がよっ!?」

「グフゥ!(今日の御褒美キター)」

「いいからちょっと落ち着きなさい! えっと、何? 小説見せたら要はつまんないって言われたわけ? そんなの普通でしょ」

「そんな、人の努力の結晶を笑う奴なんてこの健全で正常なる世界に必要ないよ!」

「……まぁとにかく見せて見なさいよ」

「ミライさんなら僕の苦労を分かってくれるはずだよねっ!」

「えっと……うわぁツマンネ」

「うわぁぁぁぁっ!?」

「こりゃネットの人責められないわぁ、だって面白くないモン」

「う、裏切り者ぉぉぉぉ! ミライさんの、非情! 卑劣! 卑怯! 貧乳! えっと縞パン!」

「うっさぃ!」

「オゴフッ(ありがとうございます)」

「で、何て言われたわけ?」

「うう、えっとキャラクターに魅力が無いとか、引っ張っていくキャラが居ないとか、誰が主人公か分かんないとか、ドラマ性が無いとか訳の分かんない事を」

「訳分かんなくはないでしょ、そうね……結構的を得た意見を言って貰えたのね」

「あいつ等人の皮を被った悪魔だよ、僕の考えた理想的なヒロインを魅力が無いだなんて!」

「アンタねぇ……作中でキャラの外見を記述してないじゃない」

「え、でも普通の学校ですよ? そんなピンクとか青い髪とかしてたら校則違反じゃないですか」

「そう言うアニメとかギャルゲ風な色付けの事じゃなくてね、単に可愛いにしても色々とあるでしょ。女の子ならアイドル風とか小動物系とか、幼馴染みたいにずっと一緒に居ても緊張しないとか、お嬢様風に妙に意識してしまうとか、そう言ったカテゴリーとか雰囲気を描写する必要があるわよ、単に可愛いってじゃ情報が少な過ぎるわ」

「成るほど、例えばミライさんみたいに一見幼い努力家な外見をしているのに言動は完全に女王乱舞って感じとかですね」

「女王乱舞ってどういう意味よ、褒めてるのよね? と、それと仕草ね」

「仕草?」

「ほらぁ、貴方もこんな可愛い女の子がそばに居るっていうのに気づかない?」

「何ですかそんなくねったり、足を組んだり、一回転したり首を傾げて上目使いなんかして何時ものミライさんらしくない」

「だぁかぁらぁ、こういう女の子っぽい仕草を描写しろって言ってんの!」

「ほうほう」

「特に美少女を描くんなら、外見だけを可愛いって手放しに褒めるだけじゃなく、どういう仕草がぐっとくるだとか、何気ない仕草に見とれてしまうだとか、あと周囲がうわぁ可愛いって呟くような演出をするとより可愛さが上がるわ」

「いや、でも僕は自分だけがその子の可愛さに気付いているみたいなですね」

「第三者の意見って大事よ、世間の受ける感想って言うのはキャラの受ける印象そのものなんだから、でもそうね、自分だけがって言うなら、逆に世間の評判が悪い、地味とかパッとしないとか、言動が乱暴とかそう言う悪評にしておいて、でも主人公と二人っきりの時は何気無く可愛い仕草をするとかそう言う所に気付ける主人公って感じでやればいいと思うわ」

「おおお、それなら」

「でも、それだけじゃ単に可愛いキャラが出来上がるだけ、魅力的にはまだ遠いわ」

「な、何だってぇぇっ!?」


[続く]


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