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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
48/94

部活セオリー1

『部活セオリー』



「例えば、やりたい事の為に一生懸命だったり。

 例えば、やりたい事の為に四苦八苦したり。

 例えば、やりたい事の為に血が滲んだり。

 例えば、やりたい事の為に努力を惜しまなかったり。

 例えば、やりたい事が出来なくて悩んだり。

 例えば、やりたい事が無くて悶え苦しんだり。

 例えば、やりたい事が多過ぎて悩み苦しんだり。

 例えば、やろうとしている事が無意味に思えてしまったり。

 安心していい、そのどれもが。

 充足した日々だ。

          ――青春」


「さぁ、という訳で部活セオリーよ」

「部活と言う事はやっぱりまた学校なんですね」

「海外を舞台にしてハイスクールでサークル活動を取り扱ってもいいんだけど、多分今一ピンと来ないわよ、読む人の生活様式に合わせた日常描写を心がけるべきね、部活物は特に読者との感覚シンクロが重要なんだから、っと言う訳で放課後よ」

「また授業風景が飛んだ!」

「そんなに授業風景やりたいならドラゴン桜とかみたいな受験物をやる事ね」

「いや別に勉強がしたい訳じゃないですけどね」

「部活動メインなんだしやっぱり授業風景とか、登校帰宅シーンとかは大部分カットに成る訳よ」

「成るほど必要無いシーンは削る訳ですよね、あ、でもリアリティを出すなら自宅のシーンとかいるんじゃないんですか?」

「それこそ感覚シンクロの使い度所よ、上手く主人公と読者の意識を共有出来たなら、描かれていないシーンは読者の方で、自分の記憶と重ね合わせて想像で補って貰えるわ、だから日本の学校を描いた方がいい訳よ、逆を言えば、海外とか異世界を舞台にするならそう言った登校や自宅みたいな日常シーンも入れた方がリアリティ向上に繋がるわよ」

「なら、普通の学校を舞台にする場合は部活動に専念して描けばいいんですね」

「まぁ、自宅に色々と事情があったりと場合によっては描いた方がいい場面もあるけどね、基本的には部活動の身で構成して問題無しよ」

「でも僕大して部活動とか取り組んだ経験ないんですけど」

「まぁ詳しく細かく描きたい場合は経験者に話を聞くとか、自分なりに調べるとか、可能な限り描くテーマの部活動を実体験してみるとか、関連書籍や漫画を読み込むなりの努力は必要よね、特にスポーツ物は多少オーバーに書いても問題ないけど、ルールとか必要な道具とかくらいは最低限知っておくに限るわ」

「場面が部活動だけって聞いて簡単そうに思ったんですけど、意外にハードルが高いんですね……」

「まぁ最近はゆるーい日常系ってスタンスもあるから一概には言えないけどね、最低限の知識だけで文化祭の活躍を目指すって低いハードルでも成り立つのよね、まぁ本格的な知識が無いならそれなりにハードルを下げて描ける力量に合わせた展開を心がける事よ、な、何はともあれほら、さっさと部活動行くわよ」

「あ、ちょっと待って下さいよ、授業終ったばっかりでちょっとお腹空いたんで購買で何か買ってから」

「はぁ? これから部活動って言ってんのに何言ってんのよ」

「いやミライさんこそ何言ってんですか、これから部活動ならなおさら何か食べておいた方がいいじゃないですか」

「あのね、これから私達家庭科室に行くのよ」

「え、もしかして僕たちの部活動って料理系なんですか? 御菓子とか作る料理研究会的な奴ですか? 本格的にゆるーい部活動じゃないですか!」

「確かに料理系ではあるわね、でも果たしてこの部活動がゆるーいかは分からないわよ」

「え、何部なんですか?」

「私達は『闇鍋部』よ」

「!?」



[続く]


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