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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
32/94

SFセオリー1

『SFセオリー』


「遠い昔、はるかかなたの銀河系で……


 エピソード10

SFセオリー


時は内乱の嵐が吹き荒れるさなか

凶悪な銀河帝国の支配に対し

抵抗する各惑星は、連合艦隊を組み

帝国に対して徹底抗戦の構えを見せる


両戦力は幾度も正面衝突し

やがて資源の枯渇故に停戦を余儀なくされた


そして、両戦力に所属しない第三者が

物資を売りさばく事で富をなすと言う構図が生まれた

所謂トレジャーハンターと呼ばれる彼らは、第三勢力とも呼べるほどに増え

銀河中を巡り資源を奪い合って、逃げ隠れ、時に戦い合っていた

           ――オープニングロール」


「果ての無い広大な宇宙、漆黒の広がる宇宙、危険の絶えない宇宙。

 どれほど人が技術を磨き経験を積み、順応しようと人は宇宙に生身で挑む事は出来ない。宇宙はちっぽけな人間を嘲笑うかのごとく、黒の腕を伸ばす。

 人は、可能な限りの科学と知恵で武装し、星々の大海原を行く。

 人類の英知を結集し作られた巨大船とて、しかしこの海ではちっぽけな存在に過ぎない。

          ――宇宙飛行」


「遂に私達の時代よ! 舞台は未来、近未来! SFセオリーよ!」

「ミ、ミライさん今日はいつになくテンション高いんですね!? SF好きなんですか?」

「何言ってるのよ、元々私未来から来たのよ? SF住人じゃない」

「……え、あー……そう言えば、確かにミライさん未来から来たって言ってましたね、え、じゃ未来から来るのがSFって事なんですか?」

「うーん。未来に行くのも未来から何かが来るのもSFね、語源はサイエンス・フィクションから来ているのよ。科学的な空想ね。だからこれこれを扱えばSFって定義に成るって言うよりは、センス・オブ・ワンダー、一定の対象や考えに触れて感銘を受けたり、不思議な心理低感覚を覚える事が重要に成ったりするわね」

「すいません、行き成り何言ってるか分からないんですけど」

「まぁ現代以前だと、竹取物語とか浦島太郎も、月からの使者とか時間の歪みが描かれている辺りSFと言えなくはないわね」

「定義が広いんですね」

「SFは懐の広さが売りなのよ、まぁとりあえずは空想科学、あんな事良いな、出来たらいいなと色々と考えて、それが現実にあったらどんな結果が生まれるかを推察する事によって扉は開かれるのよ」

「なるほど、でも行き成り冒頭は宇宙空間を宇宙船で移動していますけど、これは推察に沿っている事なんですか?」

「こういった御約束な展開やガジェット何かの説明を省く手法もまたあるわね、スペースオペラとか、複雑で高度な設定を表記しない事により大衆娯楽という枠組みを強化するのよ」

「成るほど、そっちの方が作りやすくて読まれやすそうですね」

「まぁあくまで娯楽小説ならそうよね、でもSFが秘めるポテンシャルは高いから、色々な可能性を模索して損はないわよ、っと言う訳で今は宇宙にいまーず!」

「やっぱり唐突ですね!?」


[続く]


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