推理セオリー4
[4]
「闇が渦巻く。殺意が渦巻く。
人と人、生と死、全てが事件の周りを渦巻いている。
この謎を、解けや紐解けと心が騒ぐ。
誰かが殺され、誰かが殺し、誰かが解く。
謎が渦巻く。
――推理」
「では最後に私なの。私の時も部屋のとびらにはかぎが掛かっていたの」
赤髪の少女リンネは、相変わらず無表情で台本を読み上げる。
「話の内容は、よくきたねーとかそう言う感じだったの、あ、あとあめくれたの」
「その時の主の様子は?」
「慈しむような眼で見てきたの、へんたいなの」
「それ以外には?」
「……そう言えば、上着を着ていたの」
「上着?」
「死んだ時は着ていなかったの」
「きっとその時は寒かったんでしょう」
ライセが口を挟む。
「貴女が最後に主に会ったのなら、貴女が殺したんじゃなくて?」
「……それは事実無根なの」
「貴女の体格なら、部屋に鍵を掛けた後通風孔から外に出る事も可能だわ」
「……通風孔まで手が届かないの」
「それんひ貴女の背格好なら主も油断する」
「……そもそもナイフの位置が高すぎるの」
「貴女の後に誰も主とは会っていないのよ!」
「まぁとにかく、その後の動きを教えてくれない?」
ミライさんの言葉に頷いて、リンネは言葉を続ける。
「その後は個室に戻ったの、停電になって晩餐会場に行って……主は死んでいたの。指示を受けて電話してみたけれど繋がらなかったの」
「その子が嘘をついて居るかもしれないわよ?」
ライセが喰いつく。
「私も殺気確認したけど、電話は通じなかったわ」
「その子が電話線を切ったのかもしれない!」
「でも扉の施錠はどうするの?」
「そんなのは、氷と糸を使えば誰だって出来るわ」
「確かに、でも扉にそんな後は見受けられなかったわ……」
「確かにあの少女が容疑者としては一番怪しいですけど、犯行が可能とは思えませんね、台本読みながらですし」
「騙されちゃいけないわよ、そう言うギミックも犯人が使う手段の一つと捕えなさい、一見ボーっとしていて、何のとりえも無さそうな人が犯人だったりするのよ、まして幼女なんて典型的なミスリードだわ」
「え、じゃじゃあ犯人は」
「まぁ待ちなさい、推理セオリー最大の見せ場はこれからよ!」
そう言ってミライさんは立ち上がり宣言した。
「私には、誰が犯人かもう分かったわ」
探偵のターンが始まる。
[続く]




