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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
29/94

推理セオリー4

[4]


「闇が渦巻く。殺意が渦巻く。

人と人、生と死、全てが事件の周りを渦巻いている。

 この謎を、解けや紐解けと心が騒ぐ。

 誰かが殺され、誰かが殺し、誰かが解く。

 謎が渦巻く。

          ――推理」


「では最後に私なの。私の時も部屋のとびらにはかぎが掛かっていたの」

 赤髪の少女リンネは、相変わらず無表情で台本を読み上げる。

「話の内容は、よくきたねーとかそう言う感じだったの、あ、あとあめくれたの」

「その時の主の様子は?」

「慈しむような眼で見てきたの、へんたいなの」

「それ以外には?」

「……そう言えば、上着を着ていたの」

「上着?」

「死んだ時は着ていなかったの」

「きっとその時は寒かったんでしょう」

 ライセが口を挟む。

「貴女が最後に主に会ったのなら、貴女が殺したんじゃなくて?」

「……それは事実無根なの」

「貴女の体格なら、部屋に鍵を掛けた後通風孔から外に出る事も可能だわ」

「……通風孔まで手が届かないの」

「それんひ貴女の背格好なら主も油断する」

「……そもそもナイフの位置が高すぎるの」

「貴女の後に誰も主とは会っていないのよ!」

「まぁとにかく、その後の動きを教えてくれない?」

 ミライさんの言葉に頷いて、リンネは言葉を続ける。

「その後は個室に戻ったの、停電になって晩餐会場に行って……主は死んでいたの。指示を受けて電話してみたけれど繋がらなかったの」

「その子が嘘をついて居るかもしれないわよ?」

 ライセが喰いつく。

「私も殺気確認したけど、電話は通じなかったわ」

「その子が電話線を切ったのかもしれない!」

「でも扉の施錠はどうするの?」

「そんなのは、氷と糸を使えば誰だって出来るわ」

「確かに、でも扉にそんな後は見受けられなかったわ……」


「確かにあの少女が容疑者としては一番怪しいですけど、犯行が可能とは思えませんね、台本読みながらですし」

「騙されちゃいけないわよ、そう言うギミックも犯人が使う手段の一つと捕えなさい、一見ボーっとしていて、何のとりえも無さそうな人が犯人だったりするのよ、まして幼女なんて典型的なミスリードだわ」

「え、じゃじゃあ犯人は」

「まぁ待ちなさい、推理セオリー最大の見せ場はこれからよ!」


 そう言ってミライさんは立ち上がり宣言した。

「私には、誰が犯人かもう分かったわ」

 探偵のターンが始まる。


[続く]


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