恋愛セオリー1
『恋愛セオリー』
「桜舞う、緩やかな坂道を僕等は学校へ向かって歩いて行く。
穏やかな風が、待ち受ける甘く時に酸い生活を予感させるように吹く。
新しい季節、新しい学校、新しい友達、新しい風がそんな予感を運んでくる。
――登校」
「さぁ、甘酸っぱい青春をこの手に! 今こそ青少年の青少年による青少年の為の恋愛セオリーよ!」
「はぁミライさん、今度は学校ですか……」
「そうね、恋愛要素自体は何処出でも使えるから、余計な要素は今回排除して単純に恋愛モノとしての舞台として学校を選んでは見たけれど、別に南海の孤島でも砂漠でも北極でも成層圏外でも恋愛は出来るわ」
「まぁどうでもいいですけどねー」
「な、何か今回はいつにもましてテンション低いわね?」
「学校ってアレですよ? 虐めの温床で自殺未遂者と犯罪予備軍共が弱肉強食的な社会の縮図的競争社会を形成して、あらゆる手段を駆使して即物的享楽に耽りつつ目減りして行く空間ですよね?」
「どうググったら学校ってキーワードでそんな言葉が出てくるのよっ!」
「ああ、アレですか。危機的状況下での男女は恋愛に発展しやすいって奴ですか? でもそれって持続力ないんじゃないですか?」
「どの風景を拡大解釈すれば学園生活を危機的状況下に誤変換できるわけよ……あ、もしかして学校嫌い? あんまりいい思い出無かったりするわけ?」
「いいですか、そもそも全くの他人を一緒くたに一つの部屋で管理しようとする事自体が間違っているんですよ。家畜じゃないんですからもっと個々の品質を活かすような、そう盆栽の様な育て方をですね」
「いや植物の方が家畜扱いより劣ってねって突っ込みはさておいて……ははーん、つまり学校に良い思い出が無い訳ね、でもそんな貴方に朗報です! ある程度描写にリアリティは必要だけど、妄想の中くらい幸せで楽しい理想的な学園生活を夢見ていいのよ!」
「そ、そんな馬鹿な! 学校に……あんな牢獄に、幸せた楽しさなんてある訳が無い!」
「いい? 妄想の中なら、不良や意地の悪い教員や、差別的な目で見る同級生や、黴菌の様に接触を避ける女子何か登場させなくていいのよ。優しく頼りに成る担任と、気さくで接しやすい同級生と、何かにつけては妙に親しく話しかける女生徒とかで構成しちゃっていいのよ。学園ドラマなら別だけど、恋愛に嫌な現実は持ち込まなくていいんだから」
「そ、そうなんですか?」
「そうよ、むしろ美少女ばっかりでクラスを構成しちゃっていいのよ、頼りに成る姉御肌な先輩や、甘えてくる下級生や、大人っぽい女教師と戯れちゃっていいんだから」
「ミ、ミライ先生……ボク、恋愛がしたいです……」
「…………ま、まぁいいわ。じゃまた後でね」
「え? どこ行くんですか?」
「恋愛は出会いからよ、だから出会いのシーンをするには、まず一旦はけないといけないでしょ」
「え、ミライさんが出会い相手なんですか?」
「……何よ、不満があるって訳?」
「ちょ、ミライさん目が怖い! いや、そう言うのってどういう相手と出会うか分からないから面白いわけであってですね? ここまで苦楽を共にしたミライさんと初対面の振りをするのはさすがにちょっと無理が……」
「そうね、確かに今更初めましてって言うのは抵抗があるわね、じゃ私達は幼馴染って設定で」
「ああ、(何かいじめっ子の幼馴染が成長して腐れ縁的な)イメージが合いますね」
「ああ、の後の妙な間何よ?」
「えっと、幼馴染って事は呼び捨てで呼んでいいんですよね?」
「そんなのわざわざ確認取る必要無いでしょ、呼び捨てでも綽名でも勝手に呼べばいいわ」
「怒りません?」
「何を今更」
「じゃ、貧乳チビとか偉そうなんだよ小粒とか言ってもいいんですね!」
「それとこれとは話が別じゃぁぁぁっ!」
[続く]




