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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
14/94

プロット4

[プロット4]



「じゃ、テクニックを教えていくわよ。まずは一つ。物語はオチから逆算して作る」

「え、結末を最初に書くんですか?」

「そうよ、まぁ正確にはその物語を通してやりたい事、一番書きたい事を最初に書いておくのよ、そうすれば展開を其処に集約する事が出来るわ」

「え、でも書き始めた最初の方はそこまで構想出来てませんよ」

「お前は虫プロダクションか! 書き始めてから後半の構想考えんじゃないわよ、展開頭ん中に入ってんじゃなかったんかい!」

「いや、でも書きながら最後の方のイメージを固めていくって感じで」

「だから途中からグダグダになるのよ、物語に置いて重要なシーンはなるべく早めに用意しときなさい、その間の、さして重要じゃないシーンくらいは書きながら考えてもいいけど、特にキャラクター同士の何気ない会話とかなら、会話の方向性だけは決めて置いて内容自体はキャラが固まってから考えてもいいしね」

「成るほど、重要なシーンを先に作って、ストーリー進行の道しるべにする訳ですか」

「そう、そうする事で話の方向性がおかしくなる事もある程度抑えられるわ。次に主人公の思想に対立する敵や障害を用意する」

「敵キャラですか? でも普通の学園物じゃ出しにくいですよね」

「これは悪役と言う意味の他にも、主人公の目標達成の前に立ちはだかる困難も指すわ、問題なんて何も起こらない平和な話なんて読んでても面白くないじゃない」

「え、でも最近は日常系と言うジャンルがですね」

「黙りなさい! 非日常も書けない癖に日常系を語るんじゃない! ああ言うのは非日常を書けた上で応用して書く物なのよ、日常と言う平凡な枠組みの中で如何に飽きさせないように小規模のエピソードを起こす必要があるんだから」

「結構難しいんですね」

「日常を扱っている為に、書ける人は書けるんだけどね。でも、何も考えずに書いていると他の物が書けなくなるわ。此処はしっかりと構造を理解した上で書く事をお勧めするわよ」

「なるほど、で、障害ですね」

「そうそう……桃太郎で例えるなら、桃太郎が旅立つと言ったらお爺さんが反対して、近くの山の主を倒せるまでは許さんと言ったとか、お供を仲間にする為にそれぞれ別の要求をしてきたとか、後は明確に鬼って言う敵も居るわね、鬼を倒さないと金銀財宝は手に入らないし、そもそも鬼を倒す為に旅立ったわけだし」

「クエスト形式ですか」

「そうそう、次々と難題をこなしていく事で主人公の成長を描く事も出来るわ、特に一度課題をこなしたら、次の課題はソレより難題、もしくは前の課題をこなさないとクリアできない様な作りにするとさらにいいわね、これは何も冒険活劇に限った事じゃないわ」

「でも、そうやって次々と課題を提示して行くだけだと、物語が淡々となりませんか」

「そういう時に、登場人物を利用するのよ、例えば課題が仲間を手に入れる条件だったり、課題に主人公の生い立ちに関連する項目だったりと、その課題を絶対に受けなくてはいけない、もしくは避けては通れなくする工夫を施すわけ」

「やっぱりそれってただ課題を淡々とクリアして行くだけに成る気が」

「避けられなくする方法として、その障害が主人公の目的や信念に相反する物にして、主人公が精神的に見過ごしておけないと言うやり方もあるわよ」

「犯罪とか不正とかですかね」

「それは主人公によりけりだけど、後は単純に巻き込まれたという形ね状況をマイナスからスタートさせる事で、プラスへと持って行かせるように仕向ける訳」

「強制的にイベントを起こす方法って色々とあるんですね」

「何の目的やイベントなく進むよりは、絶対に何かしらイベントが起った方がいいでしょ。他にも色々とあるけど、まぁ今回はこの辺にしておきましょう」

「分かりました! プロットって大事なんですね」

「分かってくれたなら嬉しいわ」

「ところで、今日はその……何か足りなくありませんか?」

「え? 結構長めにやったと思うけど、何か忘れた事あったかしら?」

「いえ、お仕置きと言うか、褒美的な……」

「……そうね、私もこの辺でマンネリ回避の為に、鞭ばっかり振るってないで、たまには飴も与えてあげた方がいいと思うの」

「そ、それは……?」

「だから怒ってばかりじゃなくて、褒めて伸ばそうかと思ったわけよ、今日は良くやったわよ♪」

「はぁ……ありがとうございます」

「何でちょっと残念そうなのよっ!?」



[続く]


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