プロット3
[プロット3]
「今回は元々ある物語から逆算して作っていくわけだけど、まぁこの桃太郎のプロットをさらに簡略化するとこんな感じね」
[例]
□起(事の起こり)
桃から桃太郎が生まれる。
※主人公の登場
□承(起った後の続き)
鬼退治に旅立つ
※主人公の目的の提示(及び物語の大筋が開始される)。
□転(物語の転機)
犬猿雉をお供にする。
※目的を達成する為の努力
□結(結末)
鬼を倒し、財宝を手に入れる。
※目的達成に対する障害、そして障害を乗り越え達成する。
「っと、こんな感じにまとめられるわ。これが所謂あらすじって奴ね」
「随分とスマートに成りましたね」
「物語の展開として必要な物を残した結果ね、逆に言えば、此処に残ったエピソードが、物語を展開していく上で外せない要素と言う事になるのよ」
「お爺さんとお婆さんとか、きび団子とか消えてますけど」
「確かに桃太郎としては大事な要素かも知れないけれど、話の展開上それらはどうしても必要? 代替不可能な要素? それを変えてしまうと桃太郎と言う物語が成り立たない?」
「いや……そう言う訳じゃないですけど」
「例えば、極普通の家庭で育った桃太郎や、きび団子じゃなく、交渉や手合せで家来を集める桃太郎が居てもいいじゃない? まぁそれを言ったら、桃からじゃなくてもいいし、退治するのが鬼である必要もそうなんだけど、プロットや構成の組み方は人それぞれ、正解って言うのが無いわ」
「でも、わざわざ区切る必要ってあるんですか?」
「おありよ、こうする事でテンポを良くするのよ。まぁ例えば、桃から生まれて、赤ん坊時代、幼初期、子供時代、青年期を長々とやって、ようやく鬼退治へと出かける桃太郎ってどう?」
「何か、気が長くなりそうな話ですね」
「物語はテンポ良く進めないと、読者に飽きられてしまうわ、その為には物語を進める上で必要そうじゃないエピソードや展開はなるべく排除するべきよ」
「でも、何が物語に必要で何がそうでないのか、見極めが大変じゃないですか」
「そういう時は、伏線を用いるのよ」
「伏線?」
「[プロット]が物語の設計図なら[伏線]は物語の神経ね」
「そんなに大事な要素なんですか」
「まぁ折角だし桃太郎に置いて、伏線をピックアップするなら」
□タイトル「桃太郎」→桃から生まれる主人公
□お婆さんに黍団子を作ってくれるように頼む→犬猿雉を仲間にする道具
□鬼退治に行く→実際に鬼が島に鬼が出てくる
□犬猿雉を仲間にする→鬼を退治する戦力
「等が挙げられるわね」
「これはどういったまとまりなんですか?」
「関連性と言えばいいのかしら? 一つの例として特定のキーワードを鉤として、何回かそのワードを提示しておく、そしてある一点でそのワードを物語進行の鍵とするのよ、例でみるならタイトルと主人公の出征の秘密を重ねたり、お婆さんにきび団子を作るように言って、仲間を集める際の重要なアイテムとするとかね」
「同じ単語を使う訳ですか」
「そう、キーワードや重要そうなトピックは、何度もその単語を登場させる事で印象付けたり、重要度を高めさせるわけ、そうやって読者の意識下にその単語を浸透させておいて、後々にその単語を進行に重要な要素にしたり、問題解決の決め手に用いれば、伏線は回収されて読者にも重要なキーワードが一つ解決されて納得の展開となる訳。勿論桃太郎では三人のお供を仲間にしている通り、同じキーワードを複数の展開に用いるってやり方もあるわね」
「でも、展開毎に色々と新しいキーワードとか新展開を持ってきた方がいいんじゃないですか? 何か同じ展開とかマンネリに成りそうな」
「読者はさほど重要じゃない用語は覚えちゃくれないわ、覚えて欲しい単語は繰り返し使わないと意味が無いわよ、それに一回問題解決に使用してもう用済みと思った要素が別の問題解決にも使われたら、読者の不意を突けるでしょ?」
「確かに」
「小説とは! 読者と作者の戦いよ! 戦いは書く前から始まっているのよ! プロットの段階で敵を翻弄し意表を突く仕掛けを施さずしてこの戦い、勝ち抜けるほど甘くはないわよ!」
「おおお! なるほど、でも勝って、どういう状況を勝って言えるんですか?」
「そりゃ勿論、相手に面白いと言わせたもん勝ちよ」
「か、カッコイイ!」
「じゃ、これからより攻撃的に、相手に面白いと言わせるプロットの作り方を教えるわよ!」
「了解ですっ!」
[続く]




