プロット2
[プロット2]
「な、何だってぇぇぇ!?」
「ああもう煩いわね、いい加減その大仰に驚く芸風飽きられてきてるわよ」
「まぁそうかもしれないですけど、今度なんか考えときます。で、プロットって大事なんですか?」
「当然よ、面白い話を考えるとなれば、プロットは必要不可欠! 特に生まれ持っての文才も無く、魅力的なキャラクターが書けず、奇想天外な物語を考えられなくても、プロットに魂さえ込められれば、面白い話は書けるわ!」
「何か、プロットって凄いみたいですね」
「そうよ、まさしく話を面白くする魔法なのよ」
「ま、魔法っ!?」
「ええ……そうね、面白くする以外にも、読み易さ、進行調整、キャラクター管理その他様々な利点を与えてくれるのよ。例えば映画のキャストは皆、その場で即興で演技をして台詞を考えてはいないでしょ?」
「そりゃ当然ですよ、映画は脚本がありますから」
「じゃ、何故貴方は小説に脚本を用意しないの?」
「え……だって、二度手間じゃないですか」
「あら、映画は当然用意するのに?」
「だって、映画は演技じゃないですか、その人に実際に起きた出来事じゃない訳で」
「あら、なら貴方は自分とは全く関係ない他人の思考や行動を、台本も無しに全部完璧に演じる事が出来るのかしら?」
「そりゃ無理ですけど」
「小説だってそうよ、自分が生み出したキャラとはいえ赤の他人な訳。演技をする前に事前に台本くらい用意しないと、思った通りには動かせないわ。その為のプロットなのよ」
「何か……分かる様な、分からない様な……」
「そうね、プロットはとても一言で説明できるもんじゃないし、順を追って段階的に説明して行きましょう」
[例]
むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが居りました。
ある日、お婆さんは川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。
お婆さんは桃を家へと持って帰り、桃を切ろうとすると、中から赤ん坊が出てきました。
二人はその子供を桃太郎と名付けて大切に育てました。
すくすくと育った桃太郎は、ある時二人に、鬼が島に住む鬼退治に出ていくと告げ、お婆さんにきび団子を作って貰うよう頼みます。
桃太郎は、旅立ちました。
途中、犬猿雉がきび団子を貰う代わりにお供になります。
鬼が島に着くと、犬猿雉の活躍もあって桃太郎は見事鬼を退治します。
桃太郎は、鬼の金銀財宝を荷車一杯に載せて村へと帰りました。
「えっと、桃太郎ですよね?」
「そうね、日本五大昔話ね」
「こんなのわざわざ説明され無くても知ってますよ」
「知ってるからこそ、プロットの説明に使いやすいのよ、じゃ、今からプロットにしていくわね」
[例]
□起
むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが居りました。
ある日、お婆さんは川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。
お婆さんは桃を家へと持って帰り、桃を切ろうとすると、中から赤ん坊が出てきました。
二人はその子供を桃太郎と名付けて大切に育てました。
□承
すくすくと育った桃太郎は、ある時二人に、鬼が島に住む鬼退治に出ていくと告げ、お婆さんにきび団子を作って貰うよう頼みます。
桃太郎は、旅立ちました。
□転
途中、犬猿雉がきび団子を貰う代わりにお供になります。
鬼が島に着くと、犬猿雉の活躍もあって桃太郎は見事鬼を退治します。
□結
桃太郎は、鬼の金銀財宝を荷車一杯に載せて村へと帰りました。
「っと、こう分ける訳ね」
「起承転結ですか」
「まぁあくまで一例だけどね、他にも序破急とか色々とあるけど」
「これが何なんですか?」
「プロットとは構造体よ! ストーリーの設計図!」
[続く]




