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僕とミライの傑作小説  作者: cry-me
12/94

プロット2

[プロット2]



「な、何だってぇぇぇ!?」

「ああもう煩いわね、いい加減その大仰に驚く芸風飽きられてきてるわよ」

「まぁそうかもしれないですけど、今度なんか考えときます。で、プロットって大事なんですか?」

「当然よ、面白い話を考えるとなれば、プロットは必要不可欠! 特に生まれ持っての文才も無く、魅力的なキャラクターが書けず、奇想天外な物語を考えられなくても、プロットに魂さえ込められれば、面白い話は書けるわ!」

「何か、プロットって凄いみたいですね」

「そうよ、まさしく話を面白くする魔法なのよ」

「ま、魔法っ!?」

「ええ……そうね、面白くする以外にも、読み易さ、進行調整、キャラクター管理その他様々な利点を与えてくれるのよ。例えば映画のキャストは皆、その場で即興で演技をして台詞を考えてはいないでしょ?」

「そりゃ当然ですよ、映画は脚本がありますから」

「じゃ、何故貴方は小説に脚本を用意しないの?」

「え……だって、二度手間じゃないですか」

「あら、映画は当然用意するのに?」

「だって、映画は演技じゃないですか、その人に実際に起きた出来事じゃない訳で」

「あら、なら貴方は自分とは全く関係ない他人の思考や行動を、台本も無しに全部完璧に演じる事が出来るのかしら?」

「そりゃ無理ですけど」

「小説だってそうよ、自分が生み出したキャラとはいえ赤の他人な訳。演技をする前に事前に台本くらい用意しないと、思った通りには動かせないわ。その為のプロットなのよ」

「何か……分かる様な、分からない様な……」

「そうね、プロットはとても一言で説明できるもんじゃないし、順を追って段階的に説明して行きましょう」



[例]

 むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが居りました。

 ある日、お婆さんは川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。

 お婆さんは桃を家へと持って帰り、桃を切ろうとすると、中から赤ん坊が出てきました。

 二人はその子供を桃太郎と名付けて大切に育てました。

 すくすくと育った桃太郎は、ある時二人に、鬼が島に住む鬼退治に出ていくと告げ、お婆さんにきび団子を作って貰うよう頼みます。

 桃太郎は、旅立ちました。

 途中、犬猿雉がきび団子を貰う代わりにお供になります。

 鬼が島に着くと、犬猿雉の活躍もあって桃太郎は見事鬼を退治します。

 桃太郎は、鬼の金銀財宝を荷車一杯に載せて村へと帰りました。



「えっと、桃太郎ですよね?」

「そうね、日本五大昔話ね」

「こんなのわざわざ説明され無くても知ってますよ」

「知ってるからこそ、プロットの説明に使いやすいのよ、じゃ、今からプロットにしていくわね」


 

[例]

□起

むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが居りました。

 ある日、お婆さんは川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。

 お婆さんは桃を家へと持って帰り、桃を切ろうとすると、中から赤ん坊が出てきました。

 二人はその子供を桃太郎と名付けて大切に育てました。

□承

すくすくと育った桃太郎は、ある時二人に、鬼が島に住む鬼退治に出ていくと告げ、お婆さんにきび団子を作って貰うよう頼みます。

 桃太郎は、旅立ちました。

□転

 途中、犬猿雉がきび団子を貰う代わりにお供になります。

 鬼が島に着くと、犬猿雉の活躍もあって桃太郎は見事鬼を退治します。

□結

 桃太郎は、鬼の金銀財宝を荷車一杯に載せて村へと帰りました。



「っと、こう分ける訳ね」

「起承転結ですか」

「まぁあくまで一例だけどね、他にも序破急とか色々とあるけど」

「これが何なんですか?」

「プロットとは構造体よ! ストーリーの設計図!」



[続く]


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