プロット1
『プロット』
「よし完成です! これぞ僕の最高傑作です!」
「…………」
「もうアレですよ、ミライさん! コレが世に出てしまったら、恐ろしい事になってしまいますよ! そんな感じなくらいの傑作です!」
「…………にを、やっている……」
「さぁ、早速この話を投稿しないと」
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁっ!」
「おぶぅ!?」
「…………お前、何をやっている?」
「え、何をって……ミライさんに教わった通りに小説を書いたんですよ、御蔭で傑作が出来上がりました!」
「貴方これ本当に傑作って思ってる?」
「はいっ! この全620ページにも及ぶ超大作の第一章こそ、僕が生み出した最高傑作の」
「ゴミね」
「そう粗大ゴミってゴミじゃないですよっ!?」
「あのねぇ……620ページも書いて未完とか、そう言う事は置いておいて……今まで何を聞いていたの?」
「え、教わった事を全て此処に詰め込みましたよ?」
「詰め込み過ぎじゃー! 情報はちゃんと拾捨選択しなさいよっ!」
「え、でも技術やテクニックは入れれば入れるだけ面白くなるんじゃ?」
「だからってむやみやたらに入れてもねぇ、ちょっとプロット見せて見なさいよ」
「え? プロット?」
「そう、構成……って、まさか作ってないの?」
「ふふふ、大丈夫です、展開は全て僕の頭の中に入って居ます」
「そう言う事言う奴に限って、碌な展開が入って居ないもんなんだけどねー。まぁ分かったわ、だからこんなにも無駄にページが多くて、無駄なシーンが大量にある、誰も読まねぇよこんなモンってくらいバランスの悪い作品が出来上がるんだわ」
「え、そんなっ!?」
「そんなじゃないわよ。何でプロット書かない訳?」
「え、だって面倒くさいじゃないですか、大体の展開は書きながら考えればいいのに、そんなわざわざ筋書き書かなくたって」
「全部頭に入っているなら何も文句は言わないわよ。でも、ほら物語が冒頭から全然進まないで、本筋に関係ない会話ばっかり続くし、急に展開が動き出したと思ったら途中で詰まって、結果的に何にも解決できてないじゃない」
「そ、それは……物語のオチをどう受け取るかを読者に委ねた結果で」
「単に思いつかなかっただけを何を偉そうにっ! いくら読者でもそもそも無いオチを受け取る事なんて不可能よっ!」
「そ、それとプロットの何が関係あるんですかっ!?」
「大有りに決まってるでしょ! これらの問題は全て、貴方がプロットを書かなかったために起こった出来事なのよ!」
「な、何だってぇぇぇ!?」
[続く]




