空白日記
短編の二作目です。
あんまり、上手くはありません。
見てくれたら嬉しいです。
それは、中学校の頃だったように思える。
過去の記憶は美化されるもので夕焼けのような
図書館だったような記憶しか残っていない。
僕は図書委員長だった。
「先輩」
そんな風だったと思うのだが、
当時、一つ下の後輩で図書副委員長だった彼女は話しかけてきた。
「な、なに?」
ぎこちないことは自分で分かっていた。
それは、僕が彼女のことをまるで知らない所に由来するのだろう。
委員長が副委員長を知らないというのもおかしな話だが、僕らはこの仕事に就いて、わずか三日であったのだ。
「本のことなんだけど」
「うん」
「この本の中身を見てください」
そう言われ渡されたのは本だった。
表紙には何も書かれてなく、
表紙をめくるもただ真っ白だった。
「な、なんなの? これ」
「空白の本です」
彼女の説明はそのままだった。
「私が昨日、家にあったのを引っ張り出しました」
「家から…」
家にあったらしい空白の本。
一体全体これはなんなのだ?
疑問は湧くばかりであった。
「濡らしてもムダ。燃やしてもムダ。汚してもムダ。なにしてもムダな本だから」
そう言って彼女は
「これで交換日記をしよう」
と言ったのだ。
「は? 交換日記?」
驚きが隠せなかった。
「そ、交換日記。先輩との交換日記って憧れてたんだ」
「それは先輩なら誰でもいいのか? ならいくらでも」
「ダメッ!」
僕の言葉を遮ってまで、
彼女は僕の言葉を否定した。
「先輩じゃなきゃダメ。他の誰でも無い。図書委員長と交換したいな」
「……どうして僕なんだ? 」
疑問だった。なぜならば、僕は彼女は全く知らないのだから。
「んー、一目惚れ?」
「あー。一目惚れね……って、えっ!?」
これまた、以外な答えだった。
「そ、そんなことはどうでもいいんです!」
「どうでもいいって…」
「交換日記で私のこと書いてあげますから、やりましょうよ? 交換日記」
「う、うん。僕で良ければ」
「ありがとうございます! もう、私は書いたので、今日、先輩が持って帰って」
どうしてそこまで交換日記にこだわるのかを聞いてみたかったのだが、それもまあ、後々分かることなんだろう。
「それでは失礼します!」
彼女が図書館を去った後、僕はノートを見た。
ノートにはこう書いてあった。
"大好きですっ!"