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養殖人間  作者: こじも
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昨日、親父が再婚したそうだ。

 あらそう。そりゃおめでたい。

 出会いは?

 加齢臭の克服方法は?

 ところで今日の晩飯はまだ?

 言いたいことは指で数えられる程あったが、その代役として半開いた口を用いた。

「という訳で、よろしく」

 親父は言った。

「聞いてないぞ」

 反感を素直に表してみたのだが、

「そりゃ、言ってないし」

 親父はさらっと受け流した。元々、大人としての責任感が希薄な男だ。五十過ぎにして行動がアグレッシブなのも悩みの種になる。今回のように。

「明日から新婚旅行に行ってくるから」

 ………まぁ、別にいいけど。勝手にしてくれ。

「飯はいつものようにコンビニ弁当でも買ってくれ」

「金は置いて行けよ」

「なんで? お前、バイトしてるだろ?」

 バイトは好きなものを好きなように買うためにやっているのだ。生きるためじゃない。

「置いて行け。新しい嫁に陰湿な嫌がらせをされたく無ければな」

 化粧品の中身がいつの間にかブラックコーヒーになってることだってあるんだぜ。

「それは困る。彼女は精神的に強くは無いからな。あまり負担を掛けんでやってくれ」

「冗談だよ。でも、数週間分の飯代をバイト代だけで賄えないのは事実だ」

「わかったよ。仕方ないな。当分の生活費は……そうだな、あの子にでも渡しておくか」

「あの子?」

「気にするな。何にせよお前に金が渡るようにはしておくさ」

「わかった。そうしてくれ。で? 今日の飯は?」

「棚にカップ麺が入っている」

 やれやれ。またカップ麺か。そう思いながらも俺は台所の戸棚に向かった。この二年間、俺たち二人は台所にあるレンジと給湯ポッド、炊飯器以外の機器にはほとんど手を付けていない。

「あんたと結婚するという物好きは料理が出来るのか?」

「もちろんだ。うまいぞぅ、彼女の手料理は」

 そりゃあ、週の半分以上をカップ麺とコンビニ弁当だけで生活していれば大抵の飯は旨く感じるさ。俺は無邪気に声を弾ませた親父が少し、不愉快だった。

プラスチックの容器に湯を入れて台所を出ると、親父が座っている食卓が見えた。縦二メートル、横一メートルほどの長机だ。数年前までは家族で飯を食うのにぴったりの大きさだった。使われることの無くなった椅子が空白を強調する。

 ………手料理、か。

「まぁ、楽しみにしてるよ」

「あ? 何か言ったか?」

「いや、何も」

 カップ麺の湯気に腹がやかましく騒いだので、勢いよく麺を啜った。


 それが昨日の話。そして今日である。

 鳴り響く目覚まし時計を叩き潰さんが如くコブシを振り上げたのだが、残念ながら金属を相手取れるほど鍛錬を積んでいなかったので激痛の洗礼を受けた。

文字通り、叩き、起された気分。

 俺はダラダラと制服に着替える。今日から高校の新学期だ。春になったとは言え、まだ肌寒い。冬の野郎はよっぽど名残惜しいようで、窓を開けると吐息が白く舞った。

床に放り出されたマフラーを拾って、部屋を出る。家の中は静かだった。先日言っていた通り、親父は新婚旅行、別名ハネムーンへと旅立っていったのだろう。蜜のように甘い時間が過ぎれば幸福感は月の如く欠けていくとも知らずに。

 あいつのことだ。朝飯も用意してはいないだろう。仕方なく俺は深夜に炊いておいた冷めた米を炊飯器の中から無造作に掴み出して学校へと向かう。

 はずだったのだが。

 米に塩を混ぜる。予定はなかったのだが。

「あっ―――――ます」

 見知らぬ女がそう言った。というか良く聞き取れなかった。

 台所でエプロン姿を晒すその女性。

俺の脳内記憶センターに勤めている受付嬢に聞いてみたのだが、やはり知らないと言う。となると、目の前にいるこの女性は完全に他人ということだ。受付嬢がサボっていなければ。

しばし目線を交わしあう我々。

………しまった! と思った。

この奇怪な現象の顛末に俺は気がついた。

どうやら、俺という人間は一夜にしてどこにでもいる平凡人から、眠っている間にそこかしこを徘徊する超絶寝相の悪い夢遊病者へと変貌を遂げたようだ。

つまり、ここは他人の家。

寝ながらにして玄関の扉を開け、どこからかこの家に侵入したのだろう。しかし、寝ていてもちゃんと靴を脱いでお邪魔しているあたり、我ながら律儀なものだ。

最初から靴を履いていなかった説は脳内刑務所にでも叩き込んでおこう。

思考を整理した俺は目の前に佇んだ女を見直す。

幼い、少女だった。

中学生ぐらいだろうか。若干丸顔だが、整った顔立ちをしている。垂れ気味の目と眉からはキツイ印象がごっそり取り除かれ、見る者に警戒心を無くさせる。そして、潤いに満ちた白肌は「これが若さだ!」と主張しているかのようにピチピチと張っていた。化粧に(まみ)れた同級生とはえらい違いだな。髪は首筋で素っ気なく切り取られた短髪。前髪は緑のピンで留められ、白い額が恥ずかしげに覗いている。

「あ、あの………」

 少女は沈黙に耐えきれなくなったのか、口を開く。

「わ、わたし、雛芥子沙織と言います……。 そ、その、今日からよ、よろしくお願いします……」

 ん? よろしくお願いします? 何を? というか声ちっさ。

「俺は昇。蒲焼昇だ。よろしくお願いします」

 とりあえず返しといた。意味はわからなかったけれど。

「いや、まぁ、じゃあ俺はさっさとおいとまするんで」

 自宅へと。この子の親が登場する前に去ったほうが良いだろう。

「あっ…… そ、その、朝、ごはん………」

 言って、差し出される綺麗な三角形型のおにぎり。彼女の声は相変わらずか細かったが、これは「食え」ということだろうか。

「お、米しか……なく……て……」

 まるで口を開く度に苦痛を感じているかのような話し方だった。聞きとるのも一苦労だ。

 緊張しているのか、少女の頬はほんのりと赤みを帯びていた。

 ……う~む。さすがにこれを受け取らないのもちょっとなぁ……。

「限界か。現実逃避も」

 ぼそっと、呟いた。

「へ?」

「いや、こっちの話」

 俺は差し出されたおにぎりを受け取る。熱くもなく、冷たくもない、程よい温度だ。

 よだれが物欲しげに口腔内を渦巻いていたので、遠慮なくパクつく。

 うむ………旨い。塩がきいてる。

 腹が満たされる感覚と共に現実が舞い戻ってくる。

 目に映るのは見慣れたリビングで、この米は俺が昨日炊いた物で、そしてここは間違うことなき我が家だ。当たり前のこと。なにせ、俺は先ほど自分の部屋で自分の制服に着替えたばかりなのだから、思い違いするはずもない。

 ただ、親父に対する反抗心、抑えきれない怒りに似た感情が俺の認識を否定していたのだ。

「あの野郎、覚えてろよ」

「え!? あっ……す、すみませ……」

 何を勘違いしたのか、雛芥子沙織が慌てて謝罪の言葉を口にした。

「いや、君に言ったんじゃないよ」

 彼女は顔を俯けるだけだった。表情はわからない。何とも、やり辛い子だ。

「君、お母さんの名前は?」

 地面とにらめっこしてやや落ち着きを取り戻したのか、少女はドモりながらも何とか聞き取れる声量で俺の問いに答えた。

「お母さん? え、えっと、成留(なる)……雛芥子成留(ひなげしなる)、です」

「ああ、そう……」

 親父と再婚した人が、確かそんな名前だった気がするよ。


「聞いてないぞ」

 呼び出し音が途切れた瞬間に俺はそう言った。耳元に当てているのは携帯電話。話し相手は当然一人しかいない。もちろん、親父だ。しかし、悲しいかな『留守番電話サービスに……』という音声が聞こえた瞬間に俺はケイタイを放り投げたくなり、寸での所で思いとどまって通話終了ボタンを力任せに連打することでようやくのこと正気を保った。

「やれやれ……」

 はぁ。と息を吐く。溜息は幸福を逃がすと聞くが、結局は深呼吸と同じ要領だ。脈打つ心臓を落ち着かせる作用ぐらいはある。行動後の心境が決まって諦念で固定されてしまうのは偶に傷だが。

 と、そんなことより……。

「何でそんな後ろを歩くのかな」

 現在通学途中。後方を振り返って問いかけると、水をぶっかけられた子犬のようにビクッと体を揺らして雛芥子沙織が俺を見る。であろうと思ったのだが、彼女の目線はアスファルトの地面に固定されたままで微動だにする気配がなかった。背中に背負ったリュックサックの持ち手を小さな手がギュッと握りしめている。……この恥ずかしがり屋さんめ。

「…す……せん……」

 彼女の声は緩やかな風で転がる小石の音に掻き消された。まぁ、それでも何となく、すみません、と言ったのだろうと予測はついたが。

「謝らなくて良いよ。別に責めているわけじゃない。少し聞きたいことがあるんだ」

 言って、彼女の方に近づこうとすると、その少女は歩くスピードをやや落とした。

なんと。それは近づくなという意思表示か。そこまでされるとゴムボールのようにしなやかな心を持つ俺でもさすがに傷を負うぜ。

仕方なく、俺は立ち止まる。彼女も足を止める。

「君のお母さん、えっと、成留さんだっけ? は俺の親父と結婚したんだよね」

 こくんと、少女は頷く。

「つまり君はその人の連れ子ってこと?」

 もう一度、こくん。

「なるほど。そうなると君は俺の妹になるわけだ」

 …………………。ふむ。頷かないな。どうやら何もかも受け入れているわけではないようだ。そりゃそうだ。全国津々浦々、俺の妹なんて称号を欲しがる奴など草の根をかき分けてもいやしないだろう。逆に言うなら俺だって欲しくはないが。

「まぁ、わざわざ言うことでも無いけど、別に俺と親しくする必要はないよ。どうせ来年になれば大学に入ってこの街を出ていく予定だ。だから君とあの家で一緒に暮らすのは多くとも一年。その間は俺のことを邪魔だと思うことが多々あるだろうけど、それぐらいは我慢してくれ。一年たてば君の母親と親父で三人暮らしだ。それならまだ落ち着けるだろう。……あっ、だから親父とはそれなりに仲良くしてやってくれよ。バカだが悪いやつじゃないからさ」

 言って、俺は前方に向き直る。伝えたいことは伝えた。言葉の捉え方は彼女次第だが、少なくとも相互不干渉でいたい、という意図を読み取ってくれたなら幸いだ。突き詰める所お互い、ただの他人なのだから。にしても、成留さんとやらも酷いことをする。いきなり自分の娘を他人の家に放り込んで自分は旅行とは。たぶん、親父が強引に誘ったのだろうが、それでも男がいる家に女の子を置いていくのは、些か人間性を疑う所業だ。

 雛芥子沙織の様子を横目で見ると、相変わらず地面を睨みつける作業に没頭しているようで、俺の発言に対する返答も無い。彼女は母親の行動をどう考えているのだろうか。まぁ、なんにせよ、俺の知ったこっちゃないか。

 俺の仕事はこいつを転入先の中学校まで道案内すること。それだけだ。

 再度、数メートルほどの絶妙な距離感を保ったまま俺達は歩き始める。

 吹きつける風が若干強くなったような気がして、俺はマフラーをキツく巻き直した。


「ここがお前の通う中学校だ」

 たぶん。

如何せん、彼女は驚くほどしゃべらないので、どこの中学に通う予定なのかさえ、聞き出すことが出来なかった。この学校に連れてきたのはエプロンの下に着ていた服がここの制服だったからだ。

早朝、おにぎりを食べ終わって、俺が今度こそ家を出ようとしたその時、彼女は何か言いた気にこちらを見つめていた。しかし、残念ながら渦巻く言葉の大群に脳がショートしてしまったようで、彼女は口を半開いたまま固まってしまった。その様子が少し面白かったので俺は無言のまま見つめ返していたのだが、何を思ったのか顔を真っ赤に染めた少女は台所からリビングへと走り去ってしまった。

それから一分もたたないうちに戻ってきた彼女の手にはおしゃれっ気の欠片もない地味なリュックサックがあった。再度訪れる無言の時間。

さすがに気まずくなった俺は彼女を置いて玄関へと向かった。するとどうだ、後ろに一定の間隔を開けてぴったりと着いて来るではないか。まるで冒険序盤の勇者にでもなったような気分だ。仲間にするには彼女は少し頼りなさすぎると思うのだが。いや、それを言うなら俺のほうが勇者には向いてない、か。

「もしかして、道がわからないのか?」と訊いてみると、数秒の間があって彼女は微かに頷いた。

なんだ、そんなことか。と思い、現在に戻る。

雛芥子沙織は中学校を見上げて何故か涙目になった。

「怖いのか?」

 見知らぬ土地、見知らぬ環境で佇む内気な女の子の心境を察して、俺は言った。

 ふるふると、彼女は首を横に振る。その目にはデコピンすれば吹き飛びそうなほど弱弱しい決意が感じ取れた。

 頑張らなくちゃ、なんて、役に立たない励ましを心の中で連呼している彼女の脳内が容易に読み取れるというものだ。

「職員室まで着いて行ってやろうか?」

 そんなことをすれば俺のほうが完全に遅刻してしまうが、まぁ、別に構わないだろう。言い訳ではなく、正当な理由がこちらには切って捨てるほどある。朝、自宅で目を覚ましたら見知らぬ人間がいたのだ。日常を過ごせと言うほうが無理だろう。

 しかし、少女はまた首を振って俺の提案を拒絶した。意外と、見た目よりその決意は固いのかもしれない。

「そうか。それじゃ、頑張れよ」

 俺は彼女の背中をそっと押した。一歩、前に足を踏み出す。

 …………………………………………二歩。やっとか。

 カタツムリと肩を並べるほどの速度で、雛芥子沙織はトボトボと歩いて行く。なんとも頼りない背中だ。本当に大丈夫かな。……いじめとかに遭わないと良いけど。

 校門から彼女を見送りながら、俺はそんなことを思った。

 校舎まで半分ほどの道のりを消化した時、ふと、彼女が振り返った。遠目ながらも俺と目が合う。無視するのも心が引けたので、俺は片手を上げて振ってやった。

 ほっとしたように肩を落とす彼女。

そして、ほんの少し、まばたきをすれば見逃してしまいそうなほど微かに、手の平で掬う水のように僅かに、彼女は微笑んだ、ような気がした。

 前に向き直り、少女は歩き続ける。

 ………なんだよ。そんな顔も出来るんじゃないか。卑怯なやつ。

 彼女の笑顔を見て一瞬、ドキッとしてしまった自分を誤魔化すように、俺はそう呟いた。

 校舎に辿り着いた雛芥子沙織はこちらをもう一度、振り返った。

 今度は俺が何かする前に、彼女の方から手を振ってきた。胸のあたりで小さく、それでも、しっかりと。

「やれやれ。こりゃ完全に遅刻だな。俺が」

 そんなことを小声で言いながら、俺は手を振り返した。


 県立岩重東高等学校。その校門にて。

人生の先輩、ただの老害、救世主、ラスボス、、邪魔者、空気、片想い、恋人、下僕――――、表現の仕方は様々あるが、俺のこいつ等に対する印象は一つに固定されている。

ただの不良だ。

「の~ぼ~る~く~ん。今は何時かなぁ? 信じないよぉ? 先生、信じないよぉ? 路地裏でヤンキ―に絡まれてる女の子を助けてたら遅刻しちゃいました、なんてイイワケが本当に通用すると思ってるのかなぁ?」

「誰もそんな言い訳はしてませんよ。ララちゃん」

こいつのせいで俺は教師という人種が総じて、クズ野郎なのだと認識するようになってしまった。今年、その足先から頭頂までどっぷりと三十路へと浸かる二十九歳。身長百七十を超えた巨体に似合わず、(あや)(つじ)ララという可愛らしい名前を戴いてしまった哀れな人。

「だぁれがララちゃんだこらぁ! 綾辻先生だろうがよぉ! 確かに私はちゃん付けで呼びたくなるほど可愛いし、小動物系だがな!」

!?!?

「なんだその顔は!」

 どごふっ。殴られた。

「先生、知ってます? 最近はモンスターペアレンツってのが巷で流行しているそうなんですよ……」

「お前の親父は飲み友達だから大丈夫。むしろ褒められる」

 親父への不満は毎時加速度的に増大していくばかりである。

 そんな親父と高校からのツレ(親父はその時四十歳前後のはずだが、一体どうやって知り合ったんだ?)だと言い張るのが目の前にいるこの出来そこないの人格をした女。

名前だけ見ればアニメに登場するヒロインのように想像出来なくもないが、悲しいかな現実とはどこまで行っても現実のようで、夢なんてものは鼻息で吹き飛ばされてしまったらしい。視界を傲岸不遜に遮るのは身長百七十を超えた、ただのオバサ――――――。

「おい」

 すみません、訂正します。モデルのようなスタイルをしたお姉さん。

「モデムのようなスタイル?」

「どんなスタイルだよ!? ネットに繋がんの!? というか地の文にまで入ってこないでくれる!? 読み違えてるし! やり辛いし!」

「おう? なんだ、興奮するなよ。お前らしくも無い」

……確かに。柄にもなく熱くなってしまった。唯一たる安寧の居所を失って慌ててしまったようだ。

「で? なんで遅刻したんだ? 私だって理由を聴く程度はやぶさかではないぜよ」

 ぜよ? なんだ? 土佐弁を馬鹿にしているのか? 貴様ごときが簡単に使って良い言葉ではないぜよ。 

「朝起きたら謎の女の子が半裸で俺の体に馬乗りしてましてね」

「殴るよ?」

「すみません。間違えました。空から女の子が降ってきて――――――」

 どげふっ。本日二度目。

「ちょっとマジで、私まで始業式に遅刻しちゃうから真面目に答えてくれる?」

 仕方ないな。まぁ、先刻の発言は半分嘘で半分本当なんだけども。

「いやね。実は最近、親父が再婚したようでして」

「ほう。……………へ?」

「只今絶賛新婚旅行中でして」

「…………マジで?」

「マジで」

 ララちゃんは少なからずショックを受けたようで、切れ長の目をさらに釣り上げた。

「再婚って、あの、なに? 結婚するやつ?」

 それ以外に何があるというのか。彼女は予想以上に動揺しているようで、そっぽを向いてぶつぶつと、

「えっ、いやだって、そんな話一言も……」

 と呟いた。

「俺だって昨日聞いたばかりですよ。ララちゃんが知っているほうがおかしいと思います」

「昨日って……お前また適当なこと言ってるんじゃないだろうな」

 指をポキポキと鳴らすララちゃんを見て、俺はただならぬ気配を感じ、慌てて否定する。

「いやいや、今度は本当ですって」

「そんな重要な事を以前から知らない訳無いだろ」

「いやいやいや、知ってる方がむしろおかしいでしょ。だって、親父の事ですよ?」

「ふむ……」

 上目で考え込むララちゃん。

「確かに、そうかもしれないな」

 これで納得されるのも変な話なのだが。まぁ、親父はいつでもどこでも恒常的にいい加減な男であるということだ。

「それで……結婚相手は……?」

「さぁ、俺もまだ会ったこと無いんですよね」

「むぅ。気になるな」

 悩ましげに言ったララちゃんはふと腕時計を確認し、溜息を吐いた。

「あ~、もう始業式始まってんじゃん。仕方ない。昇、詳しい話はまた後で聞いてやるから、とりあえず体育館に行ってこい」

 彼女は無造作に校舎の向こうを親指で指す。

「了解です。では」

 ララちゃんの言葉に逆らう理由も特に見つからなかったので、俺は言葉通り体育館へと急いだ。

ララちゃんと実の無いようで枝すら無い会話を繰り広げたせいで、体育館に到着したときには校長の話が半分ほど終わっていた。長々しく、そして面白みの無いそいつを聞かなくて済んだのは有り難い限りだが、残念ながらララちゃんに感謝する気は一切ない。

 はてさて、数百人の生徒がパイプ椅子に座っている中、俺は堂々と肩で風を切りながら歩いていく……はずも無く、いそいそと腰を屈めて早足で目的地へと急いだ。

 三年三組出席番号六番。それが校門の掲示板へと張り出されていた不肖わたくしめの今年度の地位であった。すなわち前から三番目、左から六番目のパイプ椅子が俺の居場所となる訳だ。

椅子に座って鞄をどこに置こうか迷っている俺に対して、気だるげに響く声があった。

「お前さぁ、新学期早々から遅刻ってどんだけやる気ないんだよ」

 目線だけそちらに泳がせる。

「おう、お前か。あまりの不憫さに無意識下で目を逸らしてしまっていたよ」

「なに? 不憫ってなに? デブって言いたいの? 春先より体に付着した肉の塊が増加したのが哀れだって? 年が明ける前に死んどけば良かったのに、ってそう言いたいの?」

 いや、そこまで言うつもりは無かったのだが、

「うん」

反論するのも非常に面倒だったので頷いておいた。

「否定しろよ! 予想外だよ!」

「うるさいなぁ」

 鞄の位置を椅子の下へと定めた俺は眉を寄せて返答する。彼の名前は鏑木壮。同級生だ。知り合ったのは半年前だが、一応、唯一の親友と呼んでも良いかもしれない。いや、やっぱりやめとこう。俺のなけなしのプライドが傷ついてしまう。

「時に昇。お前は春休みに何をしていた?」

 どこか自慢げに壮が尋ねてくる。その顔、煩わしい。

「バイト」

「なんとしょうもない! 高校最後の春休みをそんなことで費やすとは……」

「悪かったな」

 俺だってやりたくてやっていた訳では無い。人手不足を理由に無理やり詰め込まれたのだ。そういえば昨日も一時過ぎまでバイトで、家に帰ったのは深夜二時。そこから親父と話をして、飯を食って風呂に入って、寝たのは結局三時過ぎだ。

 しかも目覚めてみれば見知らぬ女の子が家にいて、学校まで送ってやらないといけなかった。こう見えて俺も初対面の人間に対してはある程度緊張するし、キャパシティなんてモノが三ビット程しかない屑脳はすぐに疲れる。今も心なしか身体がだるい。

 そう考えると急に眠たくなってきた。

「それに比べて僕は――――――」

「すまん。その話はまた今度にしてくれ。俺は少し寝る」

「は? ちょい待てって……」

 目を瞑り、隣で肉の塊がやかましく囀っているのを無視した。壮の愚痴が良い子守唄になったのか、俺はものの数分でプール中央ぐらいの微妙に深い眠りに沈んでいった。

 気が付いたら始業式が終わっていた。体育館の出口近辺がざわついている。生徒達はそれぞれ自分の教室へと向かっているようだ。

「やっと起きたか。俺達もさっさと教室行こうぜ」

 隣で壮が不機嫌そうに言った。そういえば結局こいつの春休みにチョメチョメとかいう話を聞きそびれてしまった。まぁ、いいか。大した話でもないだろう。

 そんなことを考えながら、俺は壮と共に生徒達の群衆へと混じる。

 と、そのとき、

「あっ、おい! 蒲焼!」

 不意に自分の名字を呼ぶ声を聞いた。そちらに目を向けると、

「うえ………」

 嫌な奴に見つかってしまった。俺に近づいてくるそいつを一言で表すなら、そうだな、いちびったギャル男と言ったところか。奇妙に着崩した制服に茶髪のロン毛。ジャラジャラと身に着けたアクセサリー群が目を焼く。インドア派の俺からすれば正直言ってあまり関わりたくない人種なのだが……。

「よお! 久しぶりだなぁ! 元気してた?」

「桐矢……。いや、元気では無いね。常に疲れてる」

 今はお前のせいでな。無遠慮に肩に腕を回してもたれかかってくる桐矢に俺は若干の苛立ちを覚える。気安く身体に触れられるのは好きでは無い。

「ハハ。相変わらずだな。まだあのバイトやってんの?」

「一応ね」

「そうかそうか! んじゃ今度また顔出すわ。そんときはまたよろしくな」

 お前のような若くて礼儀知らずな奴は、上司の機嫌が悪くなるから二度と来ないで欲しい。とは言えなかった。

「ああ。出来る限りの範囲でな」

「おう! じゃあな!」

 言って、桐矢は目の前の群衆を押しのけながら体育館の出口へと消えていった。

「昇。お前ってあいつと仲良かったっけ?」

 壮が桐矢を目で追いながら言った。

「いや、全然。嫌いだよ、死ぬほどね。けどあいつ、この前バイト先に来たからな。一応、客だ。それなりの対応はしとかないと」

「バイト先というと、あれか?」

 壮は明確な単語を口にすることを躊躇ったようで、言葉を濁す。

「そう、あれ。ホント、面倒ばっかりだよ」

 はぁ。と一息。

「ふぅん。お前も大変だなぁ」

 そう。大変な訳ですよ。やれやれと、首を振る。

「人生って、面倒だよなぁ」

「確かになぁ。もっと楽して生きたいよなぁ」

 はぁ。と二人してもう一つ溜息。

 体育館を抜けて、頂上に達した太陽が目に入ってくる。ポカポカ陽気とはいかないまでも、震えるほどの寒さは消えていた。

 まぁ、なるようになるか。なんて、目を細めながら太陽を見上げて思う。

 俺は壮と他愛ない会話をしながら教室への道をゆったりと歩いた。


 放課後、俺は謀らずも今年度の担任教師となったララちゃんに呼び出され、登校時に言いそびれた遅刻の理由を詳しく説明することになった。形だけの呼び出しだったようで、俺の話は思いの他すんなりと受け入れられた。いやぁ、めでたし、めでたし。

 はてさて、煩わしい用事も済んだところで俺はダラダラと校門へ向かう。久しぶりに学校へ来たが、半日授業ということで中途半端に身体がだるい。なんてことを考えていると明日からが辛いんだろうな。

ぼうっと、上の空でそんなことを考えていたらいつの間にか校門に辿りついていた。右、左と首を振ると、壮が道路の向かい側で突っ立っているのを発見。

「おう。遅くなった」

 とりあえず謝罪の意を込めたフリをして声をかける。

「遅いわよ、ホントに! せっかくの半日授業が台無しじゃない」

「ん?」

 壮の後ろから予想外の返答が来たので、回り込んで見てみるとちっこい人がいた。

「おっ、()()か。いたのか。壮の巨体……いや、ブ体が邪魔で気付かなかったよ」

「ブ体ってなに!? そんな日本語あったっけ!?」

「ブタみたいな体臭がするってことでしょ。言い得て妙ね。死ねこのクソデブ」

 少し辛口なちびっこ娘、(やつ)()()()はこんにゃくのようにブヨブヨした壮の腹をゲシゲシと蹴りつけた。

「ちょ、やめろって。汚れるだろ。というかブタみたいな体臭じゃ無くて体型のことだろ! 僕そんなに臭くないし!」

「いや、体臭の事だけど?」

「のぼる、おまっ……裏切ったな!」

「別に良いじゃないか。ブタはああ見えて意外と綺麗好きな生き物らしいぜ。結局のところ臭いけど」

「そう、あんたも結局のところ臭いのよ。あたしの靴が汚れたわ」

「いじめだよ! 君達平然としてるけどこれはれっきとしたいじめだからね!」

「あっそう」「だから?」

「関心うすっ!」

 身体全体を使って喚くブ体は発汗作用に優れていたようで、飛び散る滴を避けるように俺と夏弥は一歩、身を引いた。それに気付いた彼の心はそれなりに重傷で、俺は愕然と俯いた丸い頭を心の上っ面で哀れんだ。

 はてさて。ひとしきり壮をネタにして遊んだところで、俺は夏弥に向き直る。

「で? 夏弥はなんでここに? 俺に何か用?」

「別に。暇だったからあんたの家でゲームにでも付き合ってやろうと思っただけ」

「なるほど。つまり……同性の友達がいないから構ってくれよ、と?」

 なんとなくそんな事だろうと思った。

「いるし! 一人だけ友達いるし!」

 ここで無理に見栄を張らないところが彼女らしい。それでも友達が一人だけとか、声を大にして言える事ではないと思うのだが。今回のクラス別けは大変な綱渡りだっただろうに。

 夏弥は普段、あまりおしゃべりでは無い。むしろ無口だ。典型的な内弁慶。家族や俺達の前ではべらべらと良く口が回る癖に、見知らぬ他人には警戒心剥き出しというか、いや、というよりも単純に緊張しているだけか。とにかく他人の前では無言で無音なのだ。目立ちたくない、などと本人は言っているが、容姿は端麗、流れるような艶のある漆黒の長髪、視野に入れない方が難しいというものだ。一部では『深窓の令嬢、のちっこいから』などと呼ばれている事を彼女は知らない。

「あれ? そういえば美奈は? お前らいつも二人でワンセットなのに珍しい」

「あいつは……」

 夏弥は苦虫をすり潰したように眉を顰めた。

「予備校よ!」

 ふんっ、と鼻を鳴らしてそっぽを向く彼女。

「あら~。さすが、真面目だねぇ」

 そんなことをぼやいてみると、

「いや、どうかな。やっちゃんに絡まれるのがメンドクサくて、こっそり他の友達と遊びに行ったのかも」

 壮が余計な事を言った。ちなみにやっちゃんというのは夏弥の事だ。『八瀬』の「や」と『夏弥』の「や」を取って一石二鳥(?)らしい。美奈だけに許された呼び名だが、俺達も案外よく使う。主にからかう時に。壮は先ほどの仕返しのつもりだろうか。立ち直りの早いやつだ

「はひゅっ!」

 しかして、その代償はデカイ。

 喉のどこから絞りだしたのか。世にも珍妙な音を発して壮は地に蹲った。どうやら俺の反射神経では追い切れない速度で彼は局部に致死的な一撃を受けたようだ。

「ちゅ、ちゅぶへた……だいひなほこ。のぼふ、たすへて」

 俺の足を掴んだその手を振り払う。人に頼る前に病院へ行くべきだろう。

「おい。お前今なんつった……あ?」

 髪の毛を鷲掴みにした小さな手がサッカーボール大の丸い顔面を持ち上げた。おいおい、まるでヤクザだな。目が据わってるよ。怖いわぁ。

「な、なんれもないれす。ごめんなはい」

 自分より一回り小さな女の子に跪く壮はとても哀れだったが、俺にはどうする事も出来なかったので、同情するだけに留めておいた。かわいそうになぁ。

「あっ、そうだ」

 ふと、ある事が頭を過って俺は声を上げる。そういえば、あいつ……。

「んあ?」

 ド太い声と共に夏弥がこちらを睨みつけた気配がしたが、ちびりそうだったので目は合わせなかった。

「いや、何でも無い」

 余計なことは話さないようにしよう。何が狂犬と化した彼女を刺激するか分からない。

「それより、ウチに来るなら早く行こうぜ。折角の半日授業なのに時間がもったいない」

「む。それもそうね」

 本能の内から一握りの理性を掴みだした夏弥は俺の言葉に頷き、壮をその手から解放した。悪魔から逃れた彼はその解放感に安堵するでも無く、ただ恐怖に身を震わせていた。からかいから、いじめへ(夏弥の事だよ。俺じゃないよ)。いじめから、ただの暴力へと変化した瞬間だった。

 まぁ、そんなのはいつもの事だから、放っといて。

 俺は地面に放り出していた手提げカバンを持ち直し、家路へと向かう意図を明確にする。それに倣って夏弥が乱れた衣服を手で(なら)し、遅ればせながら壮もノソノソと立ち上がった。

 我が家は住宅街に隣立している。学校からそう遠くは無いのだが、入り組んだ、そして似通った住宅の迷路の中で自宅を見つけ出すのは案外難しい。いやもちろん、俺は迷う事無く辿りつける。もう十数年そこに住んでいるのだから。しかし、驚くなかれ、今日はニューカマーがいるのだ。しかも、わざわざ登校時に道案内をしてやったにも関わらず、地面ばかり見て、周りの景色など全く気にかけていなかったけしからん輩が。

 中学校の入学式は高校よりも早く終わったはずだ。転校のあいさつやら何やらで、他の生徒よりは遅くなるかもしれないが、普通ならもう家に着いている頃だろう。それでも、まだ辿り着いていないというならば……。

「……心配するほどでもないか」

 迷ったとしても適当にグルグル住宅街を回っていれば帰れるだろうさ。

「なに? さっきから独り言ばっかり」

 先ほどよりも大分大人しくなった夏弥が訝しげにこちらを見る。

「いや、別に。帰ってみればわかるさ」

 百聞は一見に如かず。あいつを見たら夏弥と壮は何と言うだろう―――。

「ふぅん。新しいエロ本でも仕入れたの?」

「は? 何でそういうことになるんだ?」

 唐突な夏弥の暴言に疑問符を投げかける。

「だって、あんたいっつもその辺にエロ本放り出してるじゃない? そこで私は考えたわけよ。もしかしたら、あんたにも羞恥心というものがあって、昨日買ったエロ本を使用後、一応どこかに隠そうとした」

 使用後って……それで良いのか女子高生。

「ふむふむ。それで?」

「それでね。ほら、あんたって面倒臭がりじゃん? 途中で隠すのも面倒になって、やっぱりその辺に放り出してしまった。その出来事を今思い出して、『夏弥と壮がウチに来たら昨日のエロ本見られちゃうなぁ。でもまぁ、いっか』と思った。どう? 図星でしょ?」

 夏弥は嬉しそうにニヤけて、そう言った。

「うん。驚くほど見当違いだな」

「またまたぁ。隠すなよぉ。買ったんでしょ? エロ本。ね、ね、どんなやつ? 鬼畜系? 鬼畜系買ったの!?」

 目玉をグルグル巻いて鼻息を荒くする夏弥。正直言って気持ち悪い。何故お前が興奮しているんだ。買わねぇよ、鬼畜系は。

「え? 昇、エロ本買ったの!? マジで!? どんなの!?」

 うわぁ。壮が会話に入って来ちゃったよ。結局エロ本買ったことになっちゃってるし。

「ねぇ、どんなことしてた? やっぱり縛ってた? 縄? 触手? ねぇ、触手!?」

「貸して、貸して、貸して、貸して、貸して、貸して、貸して、貸して、貸して―――!」

 何ともやかましい奴らである。もういいや、買ったことにしよう。ほら、俺って面倒臭がりだから。

「買ったけど、ジャンルは鬼畜系じゃ無くて、ロリ女子高生黒髪長髪の貧乳系だから」

「なんだ。そうなの」

 がっくりして頭を垂れ、落ち込む夏弥。そんな彼女を壮が見下ろす。

「は? それ夏弥じゃん。なんだ。やっぱ俺、その本いらねぇわ」

 その言葉を自然と言えてしまうのがお前の良いところでもあり、悪いところでもある。

「なにそれ。どういう意味?」

「え、あっ……」

 夏弥の詰問に壮は今更ながら口を手で覆う。

「あたしじゃヌケな――――――」

 言いかけて口を噤んだ夏弥の顔は活火山のように真っ赤だった。大方言葉にする前に頭の中で妄想してしまったのだろう。あらんことを。彼女の奥底に内包された乙女が復活した瞬間だった。猥談も積極的に参加する彼女だが、さすがにこれは想定外だったようだ。

夏弥が固まっている間に、壮は脱兎のごとく走り去って行った。デブの割に意外と素早かったりする。

「あっ、こら! 待て……!」

 我に返って、慌てて壮を追う夏弥だったが、対照的に彼女の足は遅い。彼女は生粋の運動嫌いだ。体を動かすのは壮を殴るときだけだろう。パンチの速度だけは群を抜いているんだけどな。ドスドスと地面を揺らしながら走るデブと、それを追ってノタノタと足を縺れさせるチビのコンビは傍から見ると中々にシュールな光景だった。

 俺は二人を追い掛けるようにして、早足になる。思いのほか、予定通りに二人が動いてくれた。これで下校時間が短縮される。十数分もすればウチに着くはずだ。

 実際、ああは言ってみたものの、やはりあのニューカマーのことが気に掛かっていた。例え、今日知りあったばかりの他人と言えど、今は我が家の住人だ。親父がいない状況で、あの子に何かあれば全て俺の責任になりかねない。娘を放り出した、見ず知らずの義母のように無責任な人間とは違うのだ。

 やるべきことはやらなければならない。当然のことだ。

 そんな事を耽りながら、最後の力を振り絞って速度を上げた二人の後ろを小走りで着いて行った。


 ~ 素直になれない彼 ~

走りつかれた壮は俺の肩に手を置き、激しく息を吐きながら、途切れ途切れに呟いた。

やっぱりさっきの本、こっそり貸してくれ。

初めての投稿です。すみません。

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