見習いになりました。。
「それで、時姫っていうのは何をすればいいの?」
時は、暗がりと明るさのちょうど中頃。茜色と闇色が見事に溶け合った空は辺り一面を包み込んでいた。月は金色に輝き、その光が窓に差し込んで影を伸ばしていた。しかし、まだまだ瑠菜とクロリン達の話は終わらない。
『言っておくけど、あんた、まだ正式に時姫になったわけじゃないわよ。』
「はい?」
さっきと言ってることちがいませんか?そんな私の心境を察したのかクロリンは
『あんたはこれから試験を受けて、その結果で時姫になれるかどうか決めるのよ。審査をするのは、わたしの上司よ。』
「えっと、じゃあ今は・・・」
『時姫見習いってとこかしらね。』
見習いって久しぶりに聞いたよ。最近あんまり使わないよ、ね?しかし、夕ノ介には馴染み深いようで「師弟関係は(以下略)」云々(うんぬん)言っていた。
それはさておき
「それで、試験ってなにするの?」
『それは、ひ・み・つ、よ。』
「え?それじゃ、試験にならないじゃない!!」
いじわるされているのかな?
『ちがうわよ。詳しいことは言えないんだけど、強いて言うと、一ヶ月間、江戸でホームステイしなさい、ということよ。』
「「ほ、ほーむすてぇ?」」
わかりやすく夕ノ介と都和子さんは意味不明なことになっていた。さすが親子!
「一ヶ月間ここに暮らす、ということ。らしい」
「あら~そんなのいくらでもどうぞ!むしろうちの子になって!!」
マイペースの都和子さんはおいておいて
「そんなのしてたら、夏休み終わっちゃう。」
『それについては大丈夫よ。試験が終わったら、合否関係なく‘平成の昨日”にかえるから。』
「なら、いいけど。」
『それで、時姫が何をするか、だったわよね?』
「うん」
『時姫は自由にタイムスリップできるの。ただし、行ったからには問題を解決しないといけないのよ。だって、もともとはリリシアが「災いがこれ以上おきないように」という思いでつくった時姫だもの。そのタイムスリップには他の信用している人を連れて行くこともできるわ。ただし、信用していない人は結界にはじきだされるから注意が必要ね。あと、あんまり時姫ということを知られるのは危険よ。世の中には時姫を狙っている連中もいるから。』
「すごいんだね。」
『そんなものじゃないわ。凄いのよ。他にも、寿命が短くても1000年だったりもするわよ。』
「1000歳!?そんなに生きたらしわくちゃになるわねぇ。あたしはちょっと・・・」
ですよねぇ。
『何言ってるのよ。そんなのもたないから、肉体的成長は20そこそこでとまるわよ。』
「それならいいけど・・・寂しくない?」
『安心しなさい。さっき言った、信用できる人は同じように生きれるから。』
「へぇ~」
『と、いうわけでガンバレ☆』
「へ?」
『必要になったらくるから。じゃー』
「じゃー、じゃない!!必要ですからー、勝手に帰るなー!!」
あっという間に、クロリンは宙に浮かんで、薄くなって、透けて、きらきらの粒になって消えてった。
もしかして、私、結構面倒事にまき込まれた!?