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時姫  作者: 久保坂かの
3/8

誰かと囲む食卓

朝ごはんのことです。

調べてみたらこの時代の人ってお米ばっかり食べていたみたいです。

(たぶん?)

さてさて、この江戸時代に来て2日目になりました。昨日の夜まで身を包んでいた黒いからすみたいなセーラ服の変わりに身を包むのは淡いみずいろの浴衣だ。色無地で大人っぽく飾り気はないものの上品さがある。黄色の帯とあわせてもケバケバしくならないのが高級感の証である。これって絶対高いよね!?なんか申し訳ないな・・・。「娘もほしかったのよねぇ~」なんて都和子さんはいってくれたのだが。


それにしても、私は以外にもここが好きなようでまだ一歩も外に出たことがないのに、妙な安心感を満喫していた。心に引っかかるのは家にいる家族と学校や世間の微妙な評価だったりする。寂しいとかはとくには感じない。それよりも、新たな生活に、誰も私のことを知らない世界にわくわくしている。心配なのは飼い猫のことだけだが、おばあちゃんがお世話してくれているだろう。と、いうわけで私は今日はなにをしようかと考えているのだ。少し優雅でしょう?でも、私って変わり者なのかな?


「ご飯多い・・・」

土間ではもくもくと白い湯気がたち、お米がつやりとふっくらとたきあがっていた。しかし、その量が半端じゃない。よくもまあ、朝からこんな重労働ができるものだ。夕ノ介は。炊飯器のスイッチ一つ押すだけじゃないのだから。え?都和子さん?あちらで寝られてますけど!?女なのに、母親なのに、子供に家事させて寝られてますけど!!でも、そんなお姿もお綺麗です。


さて、ようやく朝ごはんにしようかというとき、ぴったりなタイミングで都和子さんが起きてきた。腹時計なのか長年の勘なのか、私には検討もつかないが、すごい特技(?)だと思う。そして、並べられたお茶碗に並々をはるかにこえて、こんもりつがれたお米に満足そうな笑みをむける。夕ノ介が育ち盛りなのがうれしいのかな。うんうん、やっぱり、お母さんなんだ。都和子さん。しかしーーーーーーーわたしの思いを見事に裏切ってくれるのが都和子さん。な、なんと、そのお茶碗の前にすわったー!!えぇ!?それ、朝から都和子さんが食べるの?っていうことは・・・あとの2つに目を向けると、案の定1番少ないところに夕ノ介が座っていた。いつの間に!?っていうことは・・・ここに座れってことなのかな?夕ノ介と都和子さんの間だ。とりあえず座ってみんなで手をあわせる。

「「「いただきます」」」

声が重なった。

「おいしい!!」

心からの言葉だった。初めて知った。自分だけのために用意されたご飯を誰かと囲む食卓で食べるのがこんなに楽しいって。でも、本当にご飯粒だけなんだよね・・・。


後片付けぐらいは自分でやりたい、と言ったのだが夕食作ってといわれ、やらせてもらえなかった。さて、これから何をしよう?そんなことを考えているのが楽しかった。


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