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プロローグ

この作品は作者でもどうなっていくか分からないものです。ですので投稿していくのは不定期の中でも不定期なものとなると思います。要は作者のやる気次第です。

ご了承ください。




 寒さが身にしみる冬のこと。

ある少年がもうすぐ何十年に一度しか見られないという流星群を見に少女を誘った。

少年は流星群について熱く少女に語っている。

宇宙や星空に関して少年は強い興味を持っているようだ。

そんな少年の様子に驚きながらも、少女は微笑んで嬉しそうに頷いた。

その時の少年と少女はワクワクしながら日を心待ちにしていた。


 そして流星群が降るという当日の夜。

少年はココアの入った水筒を持ち、少女は二人が座れるくらいの広さのシートを持って丘を登っていた。

丘には二人以外誰もおらず、多くの人が見る場所とは違い少年が一人で見に来ている特別な場所だ、と少女に語っていた。

二人は流星群が来る間、「まだかなー」「もうすぐくるよ。でも夜は少し寒いね」

ただ話し合っているだけで二人は楽しそうに笑った。今日何があったか、給食のどれが一番おいしかったかとか、そんなちょっとしたことでさえ。話しているだけで、寒さを忘れるくらい少年と少女は体の奥がポカポカするのを感じ合った。


 話しているうち、待ちわびるその瞬間まで時が流れて行った。










 一瞬、一筋の光が空を駆けた。


「あ、流れ星だ!」


「え?どこ?…わぁ、見えた!空が流れ星でいっぱい!」


数えきれない程の数多の星々が、空というキャンバス一面を覆うように走り去る。星は地球に向かって、大気圏の摩擦により燃え尽き消える。まるでシャワーのような勢いでその輝きを、存在を燃焼させていた。

流れ星の大群が空を覆い尽くしているのを見て、二人は目を輝かせる。


―――――星が、降る。 


それを見た少女が「ねえ、●●くん」


「ん、どうしたの?」


「流れ星が消えるまでに願い事を唱えると、その願いが叶うんだって」


「そうなんだ。でもたしか3回言わなきゃダメなんでしょ?」


「別に3回口で言わなくていいのよ。心の中で言うの」


「…分かった。やってみる」


 彼らは願った。少年はほころんだ顔で、少女は思いつめたように。


このとき少年は知らなかった。


少女には叶えたい願いがあったことを。


少女は知らなかった。


少年がささやかな願いを抱き、一心に叶えたい気持ちで満たされていたことを。


 しかし、二人に降りかかったのは流れ星だけではなかったらしい。

そう、不幸も舞い降りてしまったのだ。




 少年の父親が転勤することになった。

3月初めということもあって転校した時新学期から入れるのも良いタイミングだから、ということらしいが、少年は今通っている学校を離れ家族全員で引っ越すことに決まった。


 引っ越す前日、学校で少年は父の転勤でほかの町へ引っ越すためクラスのみんながお別れ会を開いてくれた。

クラス全員が彼と仲良く別れがたかったこともあって、励ます声を聴き少年は声が震えるのを抑えられなかった。先生もクラスのみんなも、

「引っ越したところでも友達いっぱい作れよ!」「ほかの学校に行ってもお前ならすぐ人気者だって!」「」「」 ……

と少年を励ましてくれた。



このとき少年は思う。



お別れを告げないといけない人がいることを。



少年の思いを告げるべき相手。




クラスのお別れ会が終わった下駄箱近くに。少女は少年が来るのを待っていた。


 


「明日、引っ越しちゃうの?」


「うん。父さんが、テンキンってやつがあるからだって」


「…………」

少女は黙ったまま、とても悲しそうな顔をしている。今にも泣きだしてしまいそうなほど、うつむいたまま。それを見た少年は何とか少女に笑っていてほしくて、


「前に見に行った流星群で、ボク、お願いしたよ」


「……何をお願い、したの?」


「うんとね、うんと」

少年はモジモジしながらも、気恥ずかしくしていても、言うべきことは決まっていた。

大きな声で少女の目を見てはっきり言った。


「●●ちゃんと一緒に居たいって、お願いしたの!!」


「えっ・・・」

少女は顔が茹でたタコの様に顔が真っ赤になってしまい、少年が見たかったのとは違うものになってしまったが、続けた。


「だからね、引っ越ししても、きっとまた会える!これが最後じゃないんだから!」


少女はその言葉を聞いて、少年の顔を見て、「本当?また会える?絶対に?」


「絶対会えるよ。お星さまに願いごとしたんだから」


 少女は少年と再会できると信じ合えるまでお互いに言い合った。

何十年に一度しか見れない"流星群"のお星さまなんだから、普通のお星さまとは違うと。

お星さまに願ったのだから大丈夫だ、と。理屈じゃなく、お互いに信じられる何かを共感したかった。それが二人を繋ぎとめる唯一のものなのだから。



 やっと安心したらしい少女は、少年が決意して言ったときの様に少年に言った。

「また会えたら、そのときはわたしの願いごとを叶えて欲しいの」


「願いごとを、叶える?」


「うん。●●くんとじゃなきゃ、無理なものなの!」


「分かった。約束する!」「絶対よ、絶対叶えてもらうんだからね!」


そのときの少女の顔が印象的だったのを少年は覚えている。


寂しさと喜びが混ざり合ったような笑顔だった。


 





少年はその後引越し、少女の町を去って行った。


少女との約束を持って。


 





そして少年は高校1年生になった年に。


偶然にしてはおかしい、そんな出来事が待ち受けていた。





 

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