死唄
死唄
昨日
首をくくった
場所を見て
蛆虫の中に瞳を見る
薬瓶の命を見る
私の存在を消去したい
血の色は
実は空虚な
墨のように
昨日の私の忘れ物が今日は
遊び道具に
昨日の葬式の思い出を餌に
饅頭を食べる
空を
見上げれば
私の死体を見る
何処でも良い消える場所を確保して
長い長い行列の中に昨日死んだ人を見る
私の席から見えるビルからは
よく人が落ち
長い長い呼吸の後に私の魂は死を思う
誰かの威圧の中に死を思う
知らない人の後をつけて死の
授業を聞く
暴言の嵐の後
死の雨が降る
何処でも良いから逃げたい物だ此の世以外で
見えないカゲに怯える
人生でした
無かったことを逢ったことのように思い
合ったことは鉛のように私を地面に沈め
それでも生きながら土葬された私の魂は
目まぐるしく
早鐘を打ち
汗をかく時
長い長い修行の果てに絶望を
見る虚像の雲
苦しみに血まみれになり
笑う顔
誰もいない個室で
死を見つめる
ただ、それは人との距離を取る為の休憩に過ぎない
見えない敵に刺された午後は見えない傷をいやす
消えた人を追い
知らない人を追い自分はいずこ
知らないチラシを追い
崖から落ちる
逃げ込んだ先で落ち着くのは不幸のせい
見た目の猫に
噛まれて
現実逃避の
幻燈を、つけ
夜ねむる
身に知らない
ハンカチを拾い
靴をなくした場所で靴を一生探す広場
逃げ出そうとした足はとうにないことに気が付く
目くじらを立てた瞳は、私の事を
見たのだろうか
時限爆弾を抱えた私の命は、昔に無い事を知らない
恐怖に怯える事に慣れた時、怯えない物を恐怖とみる
地獄に行けば地獄を悩み天国で地獄を探す
されど自分の悩みは自分、起因にしたいものだ
思ったことは思わずにはいられず
思わないことを
思えば
思ったことになる
消えた人生は
始めからそこにいない
めまぐるうしい流れの中で善意は悪意に代わる
善人の笑顔と
悪人の笑顔は
個人で決まる
でたらめに歩き疲れ果てた時
一つの生物が居
妙な事を口走り
妙な事をしたい
昨日死んだ道路の後は
月夜に照らされた我が家は冷たく笑いさえしない
逃げた先に逃げ込んだ先に
逃げる言語が
長い長い溜息は部屋を渦巻き
毒となり
隣人を殺す毒となる
目まぐるしい死の中で生が押しつぶされる
笑う元気は
笑わない人に
足の裏に、消えた思いは踏みつぶされる事なく
死を思い
死を忘れ
生に殺される
逃げるほどに
生を見
キーボードの中で
殺戮が叫ぶ
嘘につけられた
心が、三十年後見つかる
知らない声に
振り返れば
誰もいないことに気が付く
私は、死を
見つめることで
生に見放され
消えた湯気を追い
幽霊として現れ
長い長い
長い長い
その長さが長い
消えた鬼を
探して
消息を絶つ
霧深い
記憶の探訪の中
赤い鳥居を見る
雲から落ちた少女はコンクリートに散る
別れを笑われ
死別を忘れ
ただ無意味に笑うしかない
記憶を、落とした
あたりを、爆破して
噴煙の中に怪物を
思い出す
記憶の中に、誰もいない部屋にいる
一人を見る
ないものを探し
あるように錯覚し
結局どこにも
目新しい
記憶の中
招き猫が笑う
ヒーローは
遅れて
殴りに来る
見ず知らず
道さえしらず
行先、知らず
誰もいない教室で笑う君を見た
声さえ出せず
ただただ
逃げたと言われてもそれが
普通
歩くたびに家が燃え止まる度に雨が降る
知らないことが自分を救い、知ってることが私を殺す
繰り返し繰り返し私自身も途中でしかない
とどまることのない嘘が
体に穴をあける
真実は常に心を殺し孤独の安らぎは独でしかない
昨日別れたまま二度と戻らない人
私は生きていますか
私は私ですか
見たこともない
ビードロの中
私は一生その瓶から出られません
その人は私の知り合いではありません
私は私の知り合いでしょう
流し台に捨てられた私の血は
たらたらと私を渦巻く魔法陣となる
あなたは私のことを知っていますか
私はあなたのことがわかりません
私の隣には、私がいて
あなたの隣には誰かがいるようです
苦い記憶に封をして
固い固いチューイングガムの中で眠る日々
誰かの寝息で起きる夜
テレビの中に私の死体がぶらりと
揺れます
明りはいずこに
死臭の香水を
振り掛け踊る
輪舞に私の
肉はバラバラにおつる
骨だけの骨格となれど
その性は変わらず
赤い血の中から
生まれ
赤い血に変わる
されど
灰皿に落ちる
赤い鼻血は
白くくゆらせて
ぽたりと落ちる
葬式の明かりの中
業火の灰は
ゆっくりと
踊る
長い長い飲酒の果て
アルコールは引火し
だれよりも
よく燃える
目をつぶし
声を切り取り
ただテレビの音が
耳を落とす
腐りきった、わが心は
それでも、明るい
世の中でぷかりと漂う空中地雷
見えない夜に嗚咽を漏らし
ただ無駄な財布を開き
傷口から小銭がポトリ
時間に追われ
逃げ込むポリバケツには、同じ人間の時間が渦巻き嗚咽する
北から逃げた
南なしらず
西ても酷い
東ずむ、ただただ
向こうから誰か来た
あっちから誰か来た
私は、ここで立ち止まる。今誰かがぶつかった
北から来た病原菌が、南の知らぬ患者へと巣くい東西の人は来た事すらみな知らないだと
命を細切れにして
池にまくと
人の顔をしたような魚が泳ぐらしい
テレビの中に踊る蛸は
私の遠い記憶の物語
それを切り離しても
その作品の名前を知ら
やあと
昨日会った人に声を掛けたら壁だった
私は電車で考えた
人と知らず
物と分からず
ただ考えが無機物と化し
昨日の無残な私は
今日の
私でしかなく
目の前の私の首は
私にもう絞められている
私を
私を
殺すのは
誰あれ




