第一話 覚醒?
悠真に弄ばれる日々が続いた。ステッカーはちょっと剥がれ、俺のプライドはズタボロ。だが、ある日、奇跡が起きた。悠真がテキトーに回してた時、「カチッ」と音がして、六つの面が全部揃った!
「マジ!?揃った!俺、天才じゃね?」
悠真はスマホで写真撮りまくり、友達に自慢しまくり。だが、俺の内部ではもっとヤバいことが起きてた。面が揃った瞬間、頭の中にバチッと電流が走ったみたいに「何か」に繋がった。宇宙のWi-Fiでも拾ったみたいな感覚。
そしたら、俺のプラスチックの体がビビッと震えて、テレパシーで話せるようになった!
「よ、悠真。ナイス回転だな。」
「うわっ!何!?誰!?」
悠真は俺を床に落とし、キョロキョロ。
「落ち着け、俺だ。ルービックキューブだよ。」
「…は!?キューブが喋った!?俺、頭イカれた!?」
悠真、パニック全開。まあ、気持ちはわかる。俺も自分がキューブなの受け入れるのに時間かかったし。なんとか説得して、状況を説明した。
・大学生だったけどルービックキューブに転生。
・面が揃うと謎のパワーが目覚める。
・なんか「使命」があるっぽいけど、詳細不明。
「…マジか。めっちゃアニメ展開じゃん。で、俺に何しろって?」
悠真、意外とノリノリ。高校生の好奇心、恐るべし。
悠真と俺はコンビ結成。ポケットに俺を突っ込んで、テレパシーでダベりながら学校帰りにコンビニ寄ったり。で、わかったのは、俺が揃った状態で特定の「パターン」を作ると、異世界へのポータルが開くってこと。そこには、ルービックキューブに転生した魂が集まる「キューブ界」があるらしい。
「キューブ界?めっちゃ行きてえ!」
悠真の目がキラキラ。いや、お前、怖いもの知らずすぎだろ。
ある夜、悠真が学校の屋上で俺を回してパターンを試してると、空がバリバリ割れ虹色の光がドバーッと溢れて、俺たちは吸い込まれた。
目が覚めると、そこはサイケデリックな空間。無数のルービックキューブがフワフワ浮かんでる。3×3の俺みたいなやつから、20×20のバケモノキューブまで!
「新入りか?」
渋い声。目の前に、ステッカーがボロボロの3×3キューブが漂ってる。雰囲気はまるでヤンキー親分。
「俺はレイ。キューブ界の先輩だ。お前、なんでここに?」
「知らねえ!勝手に来たんだよ!」
俺が返すと、レイは「ガハハ!」と笑った(どうやって?)。
「いい度胸だ。なら、試練受けてみねえ?揃えられねえキューブは、混沌にバラバラだぜ。」
試練は「スピード解決バトル」。バラバラにされた状態から、誰が一番早く面を揃えられるかを競う。キューブ自身が意識の力でガシャガシャ回転するらしい。俺、動けないはずなのに、なんか回せる!転生チート、キタ━(゜∀゜)━!
対戦相手は、5×5の自称「プロフェッサー・キューブ」。メガネかけてそうなインテリ口調。
「フン、3×3の凡キューブが私に勝てると思うか?」
ムカつく!悠真も屋上の端で叫ぶ。
「やれ、キューブ!お前、絶対イケる!」
悠真の応援に火がついた。アルゴリズム?知らん!感覚で回すぜ!
続く