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第〇話 色と混沌の目覚め
昨日まで、俺は普通の大学生だった。名前?まあ、覚えてる限りじゃ「タカシ」って感じ。講義サボって友達とファミレスでダラダラ、夜はスマホでゲーム三昧。それが俺の日常だった。なのに、目が覚めたら…何これ!?
俺、動けない。体がカクカクしてる。見える範囲(どうやって見えてるんだ?)には、赤、青、白、黄色、緑、オレンジのステッカーが貼られたプラスチックの面。
「マジか…俺、ルービックキューブに転生した!?」
「うお、懐かし!ルービックキューブじゃん!」
振動で声が伝わってくる。俺を手に持ってるのは、高校生っぽい男。背が高め、黒いパーカーにイヤホンぶら下げたクールなやつ。名前は悠真。近くの友達が「悠真、早くしろよ!」って呼んでた。
「これ、揃えるのムズいんだよな。ちょっとやってみるか。」
悠真はニヤリと笑って、俺をガシャガシャ回し始めた。いや、待て!お前の指、雑すぎ!赤い面を揃えようとしてるっぽいけど、青と緑がぐっちゃぐちゃ!やめろ、俺の体がストレスで爆発するって!