噂の事故物件で彼氏を待つ石原さん
俺が昔、住んでいたマンションには幽霊が出ると噂がある部屋があった。俺の隣の部屋で五階の角部屋だ。だからなのか入居してもすぐに引っ越ししてしまう。
面白半分で入居した男もいつの間にか引っ越しして、半年以上も部屋は空室になっていた。
ところが隣の部屋に引っ越したという女の子が挨拶に来たのだ。
「初めまして、石原 美衣子です」
そう言って彼女は引っ越しの挨拶の定番である蕎麦をくれた。
この挨拶に俺はちょっと驚いた。今時、引っ越しの挨拶をするのも珍しいけど、幽霊が出るって噂の部屋に可愛い女の子一人で住むなんて! と。
ニコニコと笑っている女の子、石原さんは大学を卒業して、ピッカピカの新社会人のようだ。地方から来たみたいだから、きっと幽霊が出る噂なんて知らないのかもしれない。わざわざ不動産会社も言わないだろうし。
俺は余計なお世話かもしれないけど、忠告はしておいた。
「あの、石原さん」
「はい。何でしょう」
「あなたが住むあの部屋、幽霊が出るらしいですよ」
「知っていますよ」
思わず俺は「へ?」と言う声が出てきた。その反応に石原さんはクスッと笑って「よろしくお願いいたします」と言って、出て行った。
*
深夜二時。カリカリ、カリカリと音が聞こえる。幽霊が出る噂がある部屋の隣でもこういった音がしたり猫の鳴き声が聞こえたりと心霊現象が起こっている。
普通の人は怖いだけだろう。だが音がするだけだから、図太い俺は気にしないで二年くらい住んでいる。
だけど隣に住む石原さんは怖いんじゃないのかな? 一人暮らしで大丈夫かな? といらない下心がムクムクと出てくる。だが颯爽と部屋に行って「一人で平気かい?」という気障な勇気は出てこない。
恐らくすぐに退去しちゃうだろうな……と、そう思った。
四月も下旬に入りゴールデンウイークは何しようかな? と考えていた仕事帰り。自分のマンション近くで、話している男女を見かけた。
「送ってくださり、ありがとうございます。あの、本当に、ここで大丈夫ですので」
「いや、足がフラフラじゃん。いいよ。部屋まで送るから、何階?」
「いいえ。本当に、大丈夫ですので……」
どうやら飲みすぎちゃった女性を部屋まで送りたい下衆な男とそれを阻止しようとする女の攻防戦をしているようだった。いつもだったら無視しているのだが、女性に見覚えがあって思わず声をかけた。
「あれ? 石原さん」
「あ、郷原さん」
お互いに気づいた時、石原さんの部屋まで送りたい男は「あ、知り合いですか……」と気まずそうな顔になった。そして「じゃあ、俺はこの辺で……」と言ってマンションから足早に立ち去った。
それを石原さんは「お疲れさまでした」と礼儀正しく言った。
「会社の人?」
「はい。そうなんです」
下衆な男が見えなくなった所で、俺が質問をすると石原さんはちょっとため息交じりで話し出す。
「はい。今日は新人歓迎会があって、それでお酒は苦手だって言ったんですけど、遠慮しないでーって言われて、結構飲まされちゃって……」
「最悪っすね」
「それで足元がフラフラになっちゃったから、さっきの先輩に送ってもらったんですけど」
「部屋まで行こうとするのは、ちょっとヤバいっすよ」
石原さんは「そうなんですよ」とうんざりしたような感じで更に言う。
「もしかしたら、みっくんが見ているかもしれないのに……」
知らない名前が出てきて疑問に思い、俺は「みっくんって、誰ですか?」と聞いた。すると石原さんは普通にこう答えた。
「私の部屋にいる幽霊の彼氏です」
石原さんは酔っているためか、マンション近くの生け垣に座って饒舌に事情を話してくれた。
*
石原さんには高校時代に同級生の木下 満【あだ名はみっくん】と付き合っていた。交際は高校卒業してからも続いたが石原さんが大学進学したのに対して、木下 満は家の事情で就職しないといけなかった。
はっきり言って大学生と社会人なんて、意識や考え方などは大きく違ってくる。その価値観のズレに石原さんも耐えられず、大学進学の夏休み中に破局してしまった。
「今思うと、あの頃の私って子供だったんだなって思います」
遠い目をしながら石原さんは当時の事を振り返っていた。
木下 満と破局して連絡も取らず、大学の課題と試験に追われる日々を送っていた石原さん。連絡したいとは思っていたのだが、何となく出来なかったという。
そうして冬になり、正月が過ぎて、二月ごろ。突然、木下 満の母親から彼が部屋で亡くなったと連絡があった。
「ただの風邪だと思っていたのが、違う病気だったみたいで。彼ってあまり病院が好きじゃないから行かなかったんです。それでものすごく悪化しちゃって……、亡くなって……」
お酒の効果なのか、石原さんはちょっと涙ぐみ始めた。
「みっくんって負けず嫌いなんです。だから苦しいのに、親にすら何にも言わない人だから、ちゃんと見てあげないと……って思っていたんです。だけど、それさえも忘れて私はつまんない意地で彼と連絡を取らなかったんです」
スンスンと鼻をすすりながら、「最低ですよね、私」と言った。
慰めにならないだろうけど、「別に最低ってわけじゃないですよ」とだけ返したが石原さんは何も返さなかった。
近くの自販機でお水を買って石原さんに渡す。お水をもらった彼女は涙を拭いてほほ笑み「ありがとうございます」とお礼を言った。ちょっと腫れぼったい目をしていて、鼻水声で痛々しいなと思った。
それを見て守ってあげたいと思う。だけど噂の幽霊であるみっくんが見ているかも、呪われるかもと思って下衆な事は考えないようにした。
しばらく二人で再び、生け垣に座って黙っていたが、俺が「どういった経緯で部屋に住もうと思ったんですか」と聞いたら、石原さんは再び饒舌に語った。
「就職先が決まって部屋を探していた時に、ネットで【幽霊が出る部屋】というサイトにみっくんが住んでいた部屋があったんですよ。死んだ経緯が自殺になっていて違うんだけどなと思ったんですけど、まだ彼がいるんだなって思いました。それでこの部屋に住もうって」
「……住んで一か月近くなりますが、怖くないでしょうか?」
「怖くは無いですね。そもそも彼は人に危害を加える人ではないですし」
「それでも心霊現象はあるでしょう?」
「一回だけありますね。彼と付き合っていた時、結露で曇ったガラスに絵を描いていた事があるんです。私が住み始めてちょっとした後、雨が降って冬並みに寒かった日があったでしょう。それで窓が曇ったんですけど、そこに彼がよく描いていた猫の絵があったんですよ」
普通の人だったら恐ろしいとしか思えないけど、彼女にとっては彼がまだいると思って嬉しいのだろう。普通に心霊現象なのに彼の可愛いエピソードを話す感じで言っているのが、ちょっと歪んでいるけど。
それから気になる心霊現象ついても話した。
「あの部屋って時々、カリカリって音がしますよね。あと猫の泣き声も」
「多分、それはタマですね」
「へ? タマって?」
「みっくんがあの部屋で飼っていた猫です」
「……このマンションってペット不可ですよ」
「隠れて飼っていました。だけど彼が死んだ時、居なくなっていました。逃がしてあげたのかな?」
ちょっと気まずそうに石原さんは答えた。
何というか彼氏の幽霊とルームシェアしているように石原さんは言っているから、恐怖心が無いのかもしれない。というか、彼女はむしろ出てきてほしいようだし。
そして俺も特に拒絶反応を示さなかったからなのか、それ以降も石原さんと会ったらお話しするようになった。
それに伴い彼氏のみっくんから嫉妬の心霊現象が起きるんじゃないかと思ったが、そんな事は無かった。
ただ心霊現象は平気な石原さんだが、社会の荒波と会社の圧がきついようだ。こればっかりは幽霊の彼氏でも対処できない。
特に飲み会になると送ってあげるよと言う野郎が付きまとってくるらしいので、俺がタイミングよく迎えに行くようになった。
「すいません。お迎えに来てくださって」
「いえ、大丈夫です。俺の会社も近いし。というか石原さんの会社って飲み会が多くないですか?」
「やっぱり多いですか……」
「だって俺の会社の部署だって忘年会とかくらいしか無いですよ」
「うちはお酒を飲む人が多いからでしょうか」
面倒くさそうに石原さんはそう言った。そう言いたくなるもの分かる気がする。何せ、月一で飲み会があるのだから。さすがに多い気がする。新人と言うのか飲み会でも気を配らないといけない。上司のコップが空だったら、お酒を注がないといけないとか色々とあるからな。
「なんか、私、色々と世間知らずな事を思い知らされる日々でして……」
「どんな事ですか?」
「始業時間一時間前には会社に来て、掃除するのは言われなくてもしないといけないって」
「面倒なルールですね。というか、先輩が教えてやれよ」
「それで毎日、怒鳴られていて……」
話しを聞いていると、なかなかブラックな会社のようである。俺だったら辞めているけど、石原さんはまだ一年目だからと言って、転職は考えていない様子だ。
「最初の会社は三年勤めろって、大学の先生に言われてたので」
「ああ、ありますね。それ」
今じゃ考えられないけど一年目で転職すると、次の仕事探しの時にすぐに辞めてしまう人と思われてしまうので、嫌でも三年は勤めろというのが昔はあったのだ。まあ、飲み会後に付きまとう奴がいるんだから、それを理由に辞めればいいと思うけど。
ポツリと石原さんは「辛いな」と呟く。
「休日は新人研修のレポート作りを週一で作らないといけないし」
「へ? 週に一回もレポート作りするの?」
「レポートを書くなんて大学までだって思っていたんですけどね。しかもレポート用紙五枚は書けって言われていて……」
というか俺の会社は一年目の時ってレポートなんて書かせないぞ。研修に行ってきた時は書かせるけど、週に一回は多いぞ。何を書かせるんだよ!
なんだか疲れてそうなので、石原さんに「ちょっとどこか気晴らしに行きませんか」と言った。デートでは無いけど、新人からこんなにも根詰めると可哀そうと思ったからだ。
あんまり街を知らない石原さんに、安いスーパーや便利な量販店を案内して、お洒落なレストランで昼食を食べる事になった。
注文した料理が届くまで石原さんとあの部屋の心霊現象について聞いてみた。
「最近は出ませんね」
「俺の部屋では猫が鳴いているのに……」
「私の所にはタマの声は聞こえないのに」
もしかして猫や物音って石原さんの彼氏に嫌がらせなのかな? でも心霊現象も猫の声と壁を引っ掻く音くらいしか聞こえないので実害は無いし、それは石原さんが来る前からあった現象だ。
その時、石原さんが「みっくんも辛かったのかな?」と呟いた。
「一人でこの街に来て就職してみっくんも辛かったんだろうなって思ったんです。友達ゼロだったし」
「そうだったんですね」
「タマも飼いたくなりますね」
だからマンションはペット不可なんですよ! 石原さん! と心の中で呟いた。
ちょっと笑って石原さんは「会いたいな」と呟く。俺的には死んだ彼氏の事を思い詰めるのはやめた方がいいと思ったが、口にはしなかった。だって彼女の中では幽霊としてみっくんはいるのだから。
それから会社の愚痴を石原さんはたくさん喋ってくれた。
「あー、スッキリしました」
「なかなかブラックな会社ですね」
「やっぱりブラックでしたか……」
「そうですね。早めに転職をお勧めしますよ」
俺がそう言うと石原さんもクスクスと笑う。その笑みになんだか可愛いな。ちょっと調子づいて「また何かあればお話し聞きますよ」と言った。
*
昼食が終わった後、電話が鳴った。会話からして会社の電話だったようで、石原さんは再び会社に行かないといけないと言って別れた。石原さん曰く、休日出勤はよくある事らしい。
いや、休日出勤はヤバいだろ……と思いながらも、俺は見送った。
その後、街でブラブラして家に帰ってきてちょっと仮眠を取っていた時だった。
ガリガリガリガリガリガリ、フシャアアアアア!
部屋全体で壁を引っ掻く音と猫の威嚇の声で俺は起きた。部屋を壊すんじゃないかってくらいの引っ掻き音と化け猫じゃないかってくらいの鳴き声だ。
「石原さんに何かあったのか?」
とにかく隣の石原さんの部屋のインターフォンを鳴らすが返事はない。もちろんドアには鍵がかかっている。
俺はドアと叩いて「石原さん! 石原さん!」と呼んで、彼女を気づかせようと思った。だけど反応はなく、そろそろ俺が通報されそうと思った時、ガチャッと鍵を開ける音が聞こえてきた。
半信半疑でドアノブを掴むとドアが開いた。だがドアの前には誰も居なかった。
おかしいと思ったが石原さんを見つけないといけないと思って、悪いと思うが部屋を上がらせてもらった。
すると夕焼けで真っ赤に空をバックに、ベランダの柵に身を乗り出そうとしている石原さんを見つけた。
「石原さん!」
すぐさま駆け寄って石原さんを柵から離して、ベランダから出した。
「待って! みっくんがあっちにいるの!」
「いや、いないって! 正気に戻ってください!」
「いるの! 私、彼に会いたい! 抱きしめたい!」
五階の窓からみっくんが見えると石原さんは訴えるが、俺には見えない。もしかして彼女にしか見えないのだろうか? と思っていると再び石原さんはベランダへと飛び出そうとしていた。
俺は一か八か、キッチンに向かった。綺麗好きな石原さんは塩も綺麗に収納していた。それを手に取って、再びベランダへと走る。
するとすでにベランダの柵に足を乗せて立っている石原さんが見えた。マズイ!
「うおおおお! 出て行け!」
そう言って俺はベランダに入り、石原さんの腰を片手で掴んで、もう片方の手で塩のケースをぶん投げた。塩はケースから出て、雪みたいに落ちた……わけが無く、そのまま落ちていった。
いつの間にか気絶している石原さんを抱っこしながら、ベランダを出ようとすると窓が曇り、きゅ、きゅ、っと文字が書かれていた。
【お騒がせしました】
みっくんだろうか。恋人の痴話げんかに巻き込まれた人に言うメッセージみたいだと思った。
あの後、救急車を呼んで、気絶している石原さんを病院まで連れて行ってもらった。そして俺は五階から投げた塩と塩のケースの自主的に片しに行った。当然である。俺が投げ落としたのだから。
そうして仕事をする日々が始まり、あっという間に月日が流れていった。その間、みっくんの怨念は感じず、猫の泣き声やカリカリと言う音も一切なくなった。
静かな夜が続いていった。
*
そうして二か月後に、ようやく石原さんは退院した。
「色々と申し訳ございませんでした」
石原さんは深々と頭を下げた。
あの日の夜、ベランダから身を乗り出していた時、石原さんは夢を見ているような感じでまさか自分が五階にいるとは思いもよらなかったようだ。
「あの日、お昼に会社に行って、ミスを怒鳴られて、もういい帰れって言われて、悲しくて家に帰ってきたんです。それで、自分の部屋に入った時、フワフワした夢を見ていた感じになったんです。そんなはずないのに。それで自分は高校時代によく行っていた公園の入り口にいて、みっくんが手を振っていたんです。だから公園の柵を乗り越えようと思えませんでした」
だけど公園の柵は高すぎるし(ベランダの柵だからな)、妙な力(多分、俺)で引っ張られたりと、なかなかみっくんに近づけず焦っていた。だが突然パッと目の前が真っ暗になって意識が無くなってしまったらしい。
そのまま石原さんが気絶して入院している時、みっくんとお話しをしていたようだ。
「何の話をしていたんですか?」
「私が辛そうだったから一緒にいてあげようと思って現れたって。だけどそれは私が死ぬことになるから、やめようと思った。たくさん未練はあるし、私といっぱい思い出を作りたかったけど、もうここに居たらいけないって。もうここから出て行くけど、私には幸せになってほしいって。引き留めたりしてごめんねって」
そう話すと石原さんはポロポロと涙を流した。それを聞いて俺はホッとした。良かった、ちゃんと成仏したんだなって。
泣いている彼女をそっと抱きしめる。しばらく泣いた後、彼女は俺から離れて言った。
「私もちゃんとお別れできました。夢の中だったけど、みっくんにさよなら、また生まれ変わったら、会おうね。って言えてよかったです。郷原さんには色々とご迷惑をおかけしました。そしてありがとうございました」
そう言って頭を下げた。俺は「いやいや、当然のことをしたまでですよ」と漫画などの霊媒師でも何でもないのに、そんな事を言った。
でもみっくんが石原さんを連れて行かなくて良かった。
それからもう一つ、石原さんに変化があった。
「それから私、仕事を辞める事になりまして……」
「え! なんで?」
「原因不明で入院していたので、会社が理解できないと言って休業届を受理してくれなかったんですよ。それで有休も休みも使い切っちゃって……」
別に悲しそうでも無さそうに話す石原さん。うーん、さすがブラック会社。
ブラック会社に未練なんて持たない方がいいな。次の求人を探していこうと俺はアドバイスした。
別れ際、「あの後、タマの心霊現象は起こっていますか?」と石原さんが俺に聞いた。
俺が「起こっていないです」と言うと石原さんは笑って答えた。
「タマも成仏できたんですね。私も引きずらないで生きていきます」
石原さんはそう言ってほほ笑んだ。幽霊の彼を一緒に暮らして嬉しそうにしていた彼女だったけど、本当はちゃんと成仏してほしかったんだなと思った。
こうして俺の隣の部屋の幽霊の噂は消えていった。
これは蛇足だけど。
石原さんと交流していくうちに数年後、正式に付き合う事になった。住んでいたマンションを引っ越した。交際は順調に進んで結婚して、男の子と女の子の双子が出来た。
幸せで大変な毎日ではあるけど、ちょっとだけ不思議に思っている事がある。
「あー! また負けたああああ!」
地団太を踏んで悔しがる息子はママである石原さんの元に行って腰に手を回してむぎゅッと抱きつく。
そう、この双子の息子、かなり我慢強く負けず嫌いでママっ子なのだ。
「そうやって怒って悔しがっているとパパが遊んでくれないよ」
そう言われて再び俺に挑む息子。普通のテレビゲームなのだが、息子は真剣そのものである。
ゲームをやりながら俺は思う。
……もしかして、みっくんが生まれ変わっているのでは?
ママである石原さんは何も言わないけど、負けず嫌いな息子の扱いには俺以上に手慣れている。ちなみに俺はライバル視され、いろんなゲームを挑まれる。
「もう一回!」
そう言って俺の隣に座ってゲームのコントローラーを握る。絶対に勝つと言う意思が伺える。俺も手加減したいが、すると「真剣にやって!」と理不尽に怒られるのだ。
生まれ変わっているのでは、と思ってしまう理由はもう一人の双子の女の子もそうだ。
前世が猫だったのではってくらい、生まれた時から猫が大好きで猫の柄の物をよく好んでいるのだ。
今だって猫の学校という訳の分からない遊びを一人でマイペースに遊んでいる。
……この子も前世はみっくんが飼っていたタマって猫だったんじゃないのか? 猫って何回か生まれ変わるって言われるし……。
でもこれだけで生まれ変わっているのでは? と思わない方がいいかもな。
それに生まれ変わっていても、俺の子供だ。ママも含めて全員幸せにするって決めている。