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7、見えない大鎌

とりあえずさっき確認したところ、街は大体ここから斜め右にしばらく歩いたところにある。早速人間のいる街へ行きたいのだが............なんだろうこれ。

 

 俺が悩んでいたのはさっきの祝福で確認したこと。風の流れや空間の状況的に『俺の斜め上』、つまり空中に何かあるのだ。

 しかしなにも見えないし、影もない。強いて言うなら木があるだけ。


 だけど、確かに何かがある、というふうに祝福が知らせていた。


 不思議だ。今までこんな反応はなかったから異世界には空中に何かが浮いている、とういうわけでもないだろう。


「魔力残量、〈ステータス〉」



【魔力 650/700】



 魔力自体は十分あるのであそこに試しに〈火球〉を打ってみるか。石を投げてみようにも俺にはそんな能力はない。


「〈火球〉!」


バフッ


 なんてこったい。届かないではありませんか。じゃあどうしようも......そうだ、確か[炎魔術]のレベルが2に上がってたはず。


「【魔術スキル】の〈ステータス〉」



【魔術スキル】 [生命魔術 レベル2] [魔力回復速度上昇 レベル2][炎魔術 レベル2]



「続いて、[炎魔術 レベル2]の詳細を」



[炎魔術]

 炎を操る魔術。

  レベル1 〈火球〉 (拳大の炎を打ち出す、必要魔力45)

  レベル2〈熱刃〉 (炎でできた刃を飛ばす、必要魔力100)



「よし!」


 ガッツポーズをしたくなる。予想通りレベル2で新たな魔術を覚えてる。

 なにもなければそれでよし。


「〈熱刃〉!」


ドチャッ


 今度はしっかり当たった。そして、何かに当たったと同時になんかが落ちてきた。ぱっと見鳥のような外見。ただし鉤爪がとても鋭くまるで死神の鎌のよう。

 さっきの祝福で確認したところにうち、そして落ちてきた。


 まさかこの魔獣が謎の見えない物体!? 隠れてたってこと? つまり、このまま俺が進んでたら.......


【レベルアップしました】

【称号[儚幻の大鎌]保持者の討伐を確認しました】

【一部のスキルが譲渡されます】

【スキル[儚幻]を獲得しました】


 自分の想像にゾッとしていた所でアナウンスが聞こえてきた。スキルの譲渡? 前にゴブリンを倒した時はそんなのなかったぞ?

 いや、その直前に『称号[儚幻の大鎌]保持者の討伐』とかいう単語が聞こえた。つまりなんらかの称号をこいつが持ってたからスキルが貰えたのか?


 そもそもの称号が物騒すぎるだろ。なんだ『大鎌』って。確かに死神の鎌みたいだと思ったけど、まさかそんな称号だなんて思わなかった。


 一応、この森を抜けて街へ行くまで戦闘がないとは限らないからさっきのスキルを確認しておこう。


「【スキル】の〈ステータス〉」




【スキル】 [ステータス閲覧][儚幻][遇ノ智庫][算術 レベル8][高速思考 レベル3][苦痛耐性 レベル3] 



[遇ノ智庫]

スキル所持者の得た全ての情報、全ての体験、それに伴う五感や感情の動きを記録、処理する。記録された情報は望むように自在に引き出せる。



[儚幻]

 その存在はまるで夢のように消え去る。

 スキル[隠密][隠蔽][武器庫][鑑定][幻覚]などが統合された。



 かなりやばいスキルだった。

 

 さっき祝福の後の頭痛が消えたのはやはり[遇ノ智庫]のおかげだったらしい。このスキル、言い換えれば『自分が一回知ったもの全て覚えられる』ってことになる。その上自由に引き出す検索機能。人間コンピュータみたいだ。

 でも使い方がいまいち分からん。祝福の性能から考えて『目の前の木の葉の数』とかもわかってたはずだけど......


〈目の前の木の葉の数は10572枚です〉


「え!?」


 なになに今の。明確に何かの声が聞こえた。


〈本音声ははスキル[遇ノ智庫]の効果で、あなたの質問に答え、あなたにのみ聞こえます〉


 まただ! これがスキルの効果。凄まじいな。


〈凄まじい、とは日本語における形容表現です〉


 別に聞いてねえ。


〈聞いていない、とは......〉


 黙りなさい。



 

 ひとまずこれは置いといて、[儚幻]はさらにやばい。いや、これはもうぶっ飛びすぎている。[武器庫]なんてよくわからないのも付いている。念のため、さらに細かく調べてみる。



[隠密]

 気配が消え、音などがしなくなる。


[隠蔽]

 このスキルのレベルより、低い又は同等のレベルの[鑑定]を阻害する。


[武器庫]

 念じれば視界の範囲のものを異空間に保管し、好きな時に取り出せる。


[鑑定]

 生物、物の情報を把握できる。


[幻覚]

 自らの姿を好きに変えて相手に見せることができる。また、相手から見えなくすることも可能。


 

 やっぱりだ。[儚幻]、このスキルは『暗殺特化』と言える。

 まず、[隠密][幻覚]でよっぽどのことがなければ気付かれない。[隠蔽]で自分のスキルを把握させず、[鑑定]で相手の実力を把握する。最後に[武器庫]から自由自在に武器を出し入れしてグサリ。

 

 と言っても俺はそんな身体能力ないので宝の持ち腐れだ。このスキルではなにも攻撃できないし、護衛みたいな人がいれば無意味だ。

 

 ただしこれをさっきの空を飛べる鳥が持ってるとすると最悪だ。だから[儚幻の大鎌]なんて称号がつくんだ。


 それにしても[武器庫]というスキルが含まれているらしいが要するにアイテムボックスとか異空間収納とか言われるやつだろ。


 試しに目の前の鳥の死体に使ってみる。[武器庫]!


 おお、消えたなんの違和感もなく突如なくなった。じゃあ、出てこい!


ドン


 無事に出てきた。

 収納!


 すごい! まごう事なきチートスキルだ!



 

 今度こそ、今度こそ、街へ行こう。


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