3、ステータス確認
さっと風がほおを撫で、青々しい香りが漂う。
「おお、ついたのか」
周りには見渡す限り木があった。
おかしい。『草原』に送ると言ってなかったっか?ここはどう見ても『森』だ。
とりあえず、この世界には『魔獣』がいるという話だったのでまずは安全確認をしないと。しかし俺は狩人でもなければサバイバル経験もない。
ここで期待するのはさっきの祝福。確か『空間把握を行う』みたいなことを言ってたはず。つまり地形以外もわかるのでは?という期待がある。
なんか3dの座標を見るような感覚で見れたら......
「うお!」
一気に情報が流れ込んできた。どこに木があってどこに昆虫のようなものがいるのかまでわかる。これはすご......
ズキッ
「うああぁああ!」
【スキル[情報整理]がレベルアップしました】
やばいやばいやばい頭が!
「〜〜〜〜! 〈とま、れ〉」
............ようやく頭痛が引いてきた。本当にやばかった。頭を鈍器で殴った後脳を直接掻き乱されたような感じだった。さすがは天使の祝福。本人は下っ端だとか言ってたけどこんなの人間には使えないだろ。そもそも、植物の葉っぱの枚数なんてわかる必要ないだろ!
機能を簡略化しろ!
まあ、そもそもの祝福を発動した理由の魔獣だが、それらしきものはいなかった。しかし、それを塗り替えるほどにまずいこともわかった。
そう、近くに街などないのだ。体感だがさっきの空間把握は1kmくらい。しかし、その範囲に街がないどころか人影一つなかった。
やはり、天使に感覚は多かれ少なかれ人間とずれているようだ。
「............ふざけんなあぁぁぁ!」
よし、ここはまず、ステータスを確認しよう。さっきスキルがレベルアップって言うアナウンスがあったし! (現実逃避とも言う)
「〈ステータス〉」
目の前にウィンドウが現れた。
リク フルオカ (古丘 陸)
【種族】 人間(16歳)
【レベル】 2
【生命力】100/120
【魔力】110/110
【魔法属性】無属性
【スキル】 [ステータス閲覧] [算術 レベル8] [情報整理 レベル6] [高速思考 レベル2]
【特殊スキル】 [全言語理解]
【祝福】 [下位天使の祝福] [%#の&=]
【称号】 [異世界からの旅人]
順番に見ていこう。まず名前の部分だがこの世界は名前→名字の順番らしい。まあ、名字があるのは貴族だけらしいが。
次に種族人間。これは正常だが16歳って何だ。俺は28だぞ? まさかの若返り? 待てよ、そういえば俺は『転生』するって言われたな。ってことはマジで若くなってる? さすが天使!若くなる実害なんてほぼないし、酒が飲めない程度だがそもそも酒は好きじゃない。よし、ここは喜ぼう。
レベルと生命力、魔力はよくわからない。なんせどれくらいが平均なのかとか知らないし。生命力がへってるのは気になる。まあ恐らくさっきの頭痛のせいだと思う。しかしなんか弱そう。レベル2は絶対低いだろ。
魔法属性は何も魔法が使えない無属性。残念だ。非常に残念だ。物凄く残念だ。せっかくの異世界転生、夢の魔法を一度でも使ってみたかった。
スキルの部分に[情報整理]とかあるけど、さっきは『レベルアップ』って言ってたから元からあったんだろう。現代人は物凄い量の情報の中で生きているって言うからそれが原因だと思う。ステータス閲覧って何だ?
[ステータス閲覧]
全ての人が保持しているスキル。自らのステータスを閲覧できる。他者には見えない。
おお、詳しい説明が出てきた。こんなのもできるのか。じゃあ【特殊スキル】は?
【特殊スキル】
スキルの中でも神や天使に与えられたものの分類。
じゃあこの[全言語理解]は天使からもらったのかな? でもそんな権限はないって言ってた気がする。ってことは『終の大天使』からか? 『全て言葉は〜』とか言ってたのはこのことか。これは正直とてもありがたい。相手の言ってることがわからないってやばいからな。ここだけは感謝できる。
称号の部分はそのままだろう。実際に地球から来たし。
問題は祝福。[下位天使の祝福]はわかる。実際さっき使った。しかし[%#の&=]は読めない上にまったく身に覚えがない。
[%#の&=]
『¥#大*-』によ@『対…(%』の一?。$属/が¥@可=に]>。
説明も意味不明。一部は読めるけど大半は読めない。一部読めるのも間違ってる可能性がある。これはバグかね。異世界人が入ってきたことでうまくステータスが見れないとか?
とりあえず全体的に見て、俺は雑魚という結論に至った。レベルは2の上に戦闘系のスキルゼロ。意味のわからない[%#の&=]は置いといてとりあえず弱そう。
さて、現状を振り返ろう。今俺は『魔獣』入る世界の森にいる。そして俺は雑魚。近くには人も街も何もない。
うん、結構まずい。