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2、今度こそ異世界へ

「あなたの転生の目的はは一定の発展を遂げた文明に対してその文明の人間からは生まれないであろう発想を導入し該当の文明の発展を加速させ新たな可能性を生み出すことです」

「はい?」

「つまり発展に向けた文化交流です」


 なんか一気に学校とか会社とかのイベントっぽくなった。


 てっきりよくある神様のミスで死んじゃったとか不幸な境遇に同情してとか善行を積んだ特典として、とかなのかと思った。まあよく考えたら神様のミスはともかく不幸たと言われれば否定できる生活だったし、善行を積んだかと言えばそうではない。犯罪レベルのことはしてないが、誰かにイタズラとかよくやったし。


 しかしようやく『12枚』もとい『終の大天使』の言った意味がわかった。『停滞よりも歩みを。汝はそのための一石となる』って言うのは、歩み=文化の発展、そのための一石=文化交流の要員、ということだと思う。


 しかし大きな疑問が残る。転生。つまり俺は死んだの?


「......俺は死んだんですか?」

「はい。死因は「言わなくていいです」

「そうですか?」

「はい。今それを覚えてないので。下手に思い出して混乱したくないですし」

「.....そうですか」


 さっき俺は不幸ではないと言ったが幸福で満足しているということでもなかった。死んだと聞いてもそうか、と思う程度。

 友達は少ないし、両親は悲しむだろうがどうしようもない。


「では次にこの世界について説明しますね。ざっくりと地球との違いを述べるとこの世界には『魔力』を用いた『魔法』があり、『スキル』という能力があるといった感じです。地球のゲームのような『ステータス』も存在します。『スキル』や『レベル』は努力すれば増え、強力になります」


 魔法がある。存在するのか。高度に発展した科学は魔法と区別がつかないっていうけどそんなんじゃなく本当に魔法なのか。


「さらに全ての生物は魔力を持っています。また、動物から独自に進化を遂げた『魔獣』というものも存在します。動物との大きな違いは魔力を用いた技術を使うことです。」


 ん?魔法と魔獣の使うのはなんか違うのか?


「魔獣の使うものは『魔術』、人間の使うものは『魔法』と呼ばれています。」

「魔法と魔術の違いはそれだけですか?内容がちがったりは......」

「ああ、人間の魔法は個人の持つ『属性』に左右されますが魔獣の使う魔術は属性に左右されません」


 属性なんてものがあるのか。ゲームみたい。


「ちなみに属性ってなにがあるんですか?」

「魔法の属性は火属性、風属性、土属性、水属性、光属性、闇属性、天属性、無属性があります」


 やっぱゲームみたい。でも天属性と無属性って何だ?


「天属性?」

「天属性は神や一部の天使の祝福、加護によって使えるようになる属性の総称です。例えば代表的なのだと聖属性などですね」


「では無属性は何ですか?」

「いわゆる魔法の才能のない人です。才能がないと言っても二人に一人程度ですが。属性がないので何も魔法を使えません。スキルが使えるかは努力次第です」


 なるほどね。無、の属性じゃなくて属性がないのか。それに、天使がいるくらいだから神もいるのか。


「何か質問はありますか?」

「さっき神の祝福って言ってましたけどどうやったら貰えるんですか?」

「そうですね、結論から言うとほぼ無理です。」

「無理?」


「はい。そもそもの神と天使について説明しますね。まず、天使はそれぞれ神に仕えています。天使は翼で階級がわかるという話はしましたね?」

「はい」

「天使の翼は2枚、4枚、6枚の三種類があり、枚数が多いほど『下位』、『中位』、『上位』と言う様に上がります」


「神は、基本1柱が一つの世界を管理しています」


 つまり天使は上中下の三つに分かれてるのね。それで天使は神に仕えている、ということか。

 あれ?


「さっき俺があった『最高位』の『大天使』はどうなんですか?」

「大天使は少し特殊で、神の誰にも仕えていません。神の上に立つ、それこそが最高位の天使です。あくまでこれは例外で他の天使はどこかの神に仕えます」


 つまり『大天使』はいくつもの世界のトップっていうことなのか。物凄い偉いんだな。あんななのに。


「祝福の話に戻ると、神の祝福は基本天使に与えるもので人間向けではないんです。一つの世界に神はひと柱なので人間にかけてる余裕はありません............天使の私、ですら休みのはずなの今誰も手が空いてないせいで.........」

「最後の方なんて言いました?」


 なんかボソボソ言ってて聞き取れなかった。


「また、スキルにも天使から与えられるものがあります」


 ガッツリ無視したな。



 だいたいここまでの話は理解できた。スキルも天使からもらえるらしい。やっぱり転生特典とかないのかな。ありがちな小説とかだと無限収納とか鑑定とか、全属性魔法とか創造魔法とか経験値10倍とか。夢が膨らむ。


「大丈夫ですか?」

「............はい!」


やばいやばい。ちょっと妄想が。


「なんか転生の特典スキルとかないんですか?!」

「はい?」


 話を飛ばしすぎた。


「いや、天使からもスキルをもらえるという話だったので何か転生者へのスキルがないのかと思って」

「......それは私からということですか?」

「はい」

「...........私の翼を見てください。何枚ですか?」

「翼ですか?2枚ですよね?」

「はい。つまり私は下位天使。下っ端なんです。そんな、私に、権限があるわけいでしょう!」


 地雷だった。触らぬ神に、いや天使に祟りなし。しばらく黙っていよう。


「いいですか? 下っ端も下っ端、神や上位天使にこき使われ、それなのに人間からの信仰も大してない! 世界を管理するなんて大仕事! その割に天使も少なく手が回らない! 銀河の100や1000じゃないんですよ! 銀河どころか銀河団、超銀河団! それが、何個も! それに加えて次元も考えなきゃいけないから休みなんてほぼほぼない! いいですか? やっと取れた1/1000000000秒の休暇を時間を歪めて少しでも長く休憩したいんです! それも今こうして消費され! しかも、上司である天使や神に休暇の話を直談判使用にも私以上に忙しくて捕まらない! 『上位者の義務』どころか私の平穏な生活すら!」


「......レアルスさん、落ち着きましたか?」


 ハアハアと息を荒くしている。よっぽどブラックなんだな。ていうか今休暇中なんだ。お仕事ご苦労様です。しかしそう都合よくチートスキルはもらえないか。残念だ。


「そうだ! あなたの名前は?」


 まだ暴走は治ってなかった。


「......古丘陸です」


「この世界で名字があると貴族だと思われるからリクと名乗りなさい。そしてリク! あなたも天使になりませんか! いやなりなさい! 常に天使手不足の天界はあなたを歓迎します! 今なら『年中無休』で『年中無給』!」


 普通年中無休って店に使う単語だろ。その上無給。誰がそんな条件で就職しようと思うんだ。


「落ちついてください。そもそも俺は人間ですよ。天使になんてなれるんですか?」

「失礼しました。クソ上司もとい上位天使への要求が口から出てしまいました。そして、天使になれるのかという質問ですが、人間でもなれます」

「なれるんですか!」

「先程『レベル』があると言いましたが一定のレベルになり、そして特殊な『称号』を得ることによって天使になります」


 称号か。なんか厨二病っぽい格好いい称号とかなのかな。


「どんな称号なんですか?」

「すみませんがそれは機密なので回答できません」

「では、どうやってステータスを見るんですか?何か専用の道具があったりするんですか?」

「ステータス、と唱えることで見ることができます」


 ワクワクするな。どんなステータスなんだろう。


「ステータス!」




シーン



 何も起こらない。滅茶苦茶恥ずかしい。何で?


「あの、リク? ステータスを見るのは一種のスキルですが、この空間は私が全てのスキルを無効にしているので見れませんよ?」


 ......先に言って欲しかった


「ちなみに『レベル』はステータスの生命力、魔力、に関わり『スキル』は個別に上がります」






「それより、この世界のことで何か質問はありますか?」

「正直まだよくわかってないんですが」

「これ以上説明するより、実際に見て、体験した方が早いですね。それではこれからあなたを異世界へ転生させますね。」

「どこに行くんですか?」

「少し街から離れた草原ですね。ああ、私の祝福を与えましょう。私の祝福の効果で地図のようなものを表示することができます。スキルを渡さなくてもこれで街までは迷いません。『空間把握を行う下級天使レアルスの名において旅人への祝福を』」


パッと身体が光った。これが祝福なのか。


「ありがとうございます!」

「では実際に送りますね。30秒ほどすると転移されます」


 今度は一瞬ではなく結構長く身体が光ってる。『終の大天使』みたいに一瞬で落とされるとかじゃなくてよかった。しかし結局祝福貰えたし一様チートなのかな?


「ああ、最後に一つ。転生者に伝えよと言われてることがあります」

「なんですか?」





「『この世界はゲームではない。死んだらそこまで』」




そこで俺の視界は黒く染まり、今度こそ異世界転生した。


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