最終話、終わらない振り出しへ
「あぁぁぁぁ!」
身体中が痛い。熱い。皮膚という皮膚が悲鳴をあげているような激痛が体を走り抜ける。
炎に加えて暴風に押され、立っていることすら………
ドサッ!
思いっきり後ろに飛ばされた。その勢いで頭を強く打ち付けた。
…………やはり、倒しきれておらずまだフィネールは生きていた。最期の足掻きと言わんばかりの今までで最大の攻撃。その威力はまるで炎の嵐のようだった。気を抜くべきではなかった。
だが、今更後悔したところで遅い。頭を打ったせいか、猛烈な炎のせいか、身体が思うように動かない。
周囲の草も、木も、全て焼き尽くされているだろう。いや、おそらく今も火事となって猛威を振るっているだろう。鼻に焦げ臭い臭いがやってくる。
意識が朦朧としてきた。まずい。
ここで倒れていたら絶対に……………………いやだ。いやだ。まだ、まだ死にたくない。まだ……………
〈[遇ノ智庫]より、本スキル保持者の死亡を報告〉
【スキル[%#の&=]へのアクセス許可。『終の大天使』の命令を遂行】
〈スキル[%#の&=]へアクセス。時間逆行を行う。対象、本スキル保持者。この行為への許可を要求〉
【許可】
〈実行まで、5、4、3、2、1、0。実行完了〉
【実行完了確認】
〈続いて記憶消去を行う。対象、本スキル保持者。この行為への許可を要求〉
【許可】
〈実行完了。以降の任務を委任〉
【引き継ぎ完了。対象のステータスを初期状態へ】
【対象を『終の大天使』の空間へ転移】
『場所』と呼んでいいのかすらわからない淡い赤や黄色の混じった光に照らされた空間。そこには12枚の翼を持つ者が佇んでいた。そして、大天使は一点を見つめる。
大天使の視線の先には一人の人間がいた。いや、眠っていた。
「また、達成出来なかったか」
大天使は不満を漏らすように言う。
「『魔法適性のない者を魔術師にする』と言うのは未だ出来ぬ。もう既に何度も時間を戻して試していると言うのに」
大天使は考え込むように眉を顰める。
「短期間魔術師が存在しても、すぐに死ぬ。どんなに強いスキルを与えても5日と経たぬ間に死ぬ。やはり、これは理なのか? いや、それとも…………」
ぶつぶつと呟いていた大天使が言葉を止めた。眠りについていた人間が起きる。
「…ここは?」
先程まで眠りについていた人間が起きる。
「眠りより醒めたか」
「え?」
さあ、実験の続きだ。そう思うのを堪え、声をかける。
なぜ、いつまで、実験は続くのか。
人間は知らぬうちに何度死ぬのか。
それは、誰にもわからない。
ここで完結しました。読んで下さりありがとうございました。




