16、朝食と反省点
「……ここどこだっけ」
昨日なんかの仕事を終わらせたような…………それで上司に報告しないと行けないんだ。始発に間に合うかな。会議に遅れたら…………
「ん?」
周りをみてふと気がつく。そうだ、ここは宿だった。なにが始発だ。そんなものはない。寝ぼけてかなり変化方向に思考がいったな。
昨日終わらせた依頼の報告に行かないとな。いや、その前にご飯を食べないと。この宿に泊まる時に朝食付きのプランにしたから食堂で食べられる。
食堂に行ってみたところそこまで人はいなかった。
「おはようございます。朝食つきで止まっているなら鍵を見せてください」
そういえば受付の時にそんなことを言われた気がする。
「これです」
「はい、わかりました。ちょっとまってくださいね」
しばらくまってるとお盆に乗った食事と共に戻ってきた。
「はい、こちらが定食です」
ちなみに横にある説明書きによるとメニューは一つしかないらしい。他のメニューは追加料金だそう。ちなみにその説明はイラストが多く使われていた。わかりやすくするのもあるんだろうが、識字率の問題もあるかも知れない。
「いただきます」
早速食べていこうと思います。まずはサラダをいただきます。青と黄色と黒色の野菜があり紫色のソースといういう異国情緒あふれる見た目。肝心の味は……おお、これはまた不思議な味です。カレーにチーズをかけてお米とパンをつけたような味です
青い野菜は以前食べたバルソーでしょう。相変わらずスパイシーで意味不明です。前回食べた時はサンドイッチでしたが今回のようなサラダにも適しているようですね。
次にこの黄色の野菜、こちらはミニトマトのような見た目です。食感はチーズ。噛みちぎろうとしてもトロッと伸びていきます。さすが、異世界というべき食感だと思います。ちなみにこの野菜、[鑑定]によると名前はラーカルだそうです。特徴は、この臭みのある匂い。本当にチーズのようです。
そして紫色のこのソース。普通です。ほんと普通です。見た目をのぞけば何の変哲もないマヨネーズのような味。これまでの野菜からつい身構えてしまう、そんな人にピッタリです。
この真っ黒の野菜は味が薄く、淡白です。ここまでの濃い味のする野菜やソースの味をうまく吸収してバランスをとっています。欠点として、中まで真っ黒なので汁が飛んだら洗濯が大変ということがあります。しかし、それでもなお、食べるだけの価値があるのでしょうか。そう、あるんです(多分)。
これらが合わさってこの『サラダ』という名の芸術作品を作り上げていると言えるでしょう。おふざけ食レポ、今回はここまでとなります。次回をお楽しみに〜!
とまあ食レポをしてみたが結論としては意味不明な味、ということだ。サラダ一つでこれでもかというほどツッコミどころが出てきた。
よく異世界だと食文化が!とかいうラノベがあるが、それ以前に食材が奇妙すぎて食文化が発展してるのかよくわからない。そもそも地球と同じ食材があるのだろうか。いや、屋台で鶏肉があったか。
今度はパンと肉らしきものを食べてみよう。さあ、どんな味が!
……………………普通だな。身構えた割には常識的で、普通に美味しい程度のものだった。
ご飯も食べたことだし、昨日の報告をしに行くか。いや、一回振り返るべきか。
昨日はかなりの反省点があった。まず、当然だが森の中で炎魔術は使っちゃダメだった。おかげで昨日は森林破壊をしそうになった上、危うく自分が燃やされるところだった。
あとは、常に周囲を警戒しなきゃいけない。昨日も謎ゴブリンに襲われて毒まで食らった。アレが軽い毒だったからいいものの重いのだったら詰んでた。
(ということで[遇ノ智庫]、敵が来たら即通知してくれ)
〈わかりました〉
さらに、迂闊に手に入れられる魔術を試したらダメだ。昨日は水魔術だ!と思ったら[空操ノ魔術]とか言うのでかなり魔力を消費するはめになった。森の中で魔力ゼロ&魔獣遭遇なんてなったら最悪だ。
だがそうするとどこで新しい魔術を試すかが問題だ。宿でできればいいが、そんな魔術はそうそうない。まあそれは後々考えるとしよう。
あとは自分のステータスをしっかり把握しておくことだな。自分がなにをできるかも知らないまま行動するなんて自殺行為に等しい。
現在のステータスはこうだ。
リク フルオカ (古丘 陸)
【種族】 人間(16歳)
【レベル】 34
【生命力】1700/1700
【魔力】 2000/2000
【魔法属性】無属性
【スキル】 [ステータス閲覧][儚幻][遇ノ智庫][鬼毒][算術 レベル8][高速思考 レベル3][苦痛耐性 レベル3][毒耐性 レベル1]
【魔術スキル】 [生命魔術 レベル4] [魔力回復速度上昇 レベル4][炎魔術 レベル4][魔力操作 レベル2] [風魔術 レベル2] [空操ノ魔術 レベル2]
【特殊スキル】 [全言語理解]
【祝福】 [下位天使の祝福] [%#の&=]
【称号】 [異世界からの旅人] [唯一の魔術師]
まあレベルは順当に上がっている。昨日の戦闘中にも気が付いたが魔術スキルのレベルも上がっている様だ。一気に全部の魔術スキルのレベルが上がったことを考えると俺のレベルが10上がるごとに一斉に変化する仕組みなのかもしれない。
そして謎のスキル[鬼毒]。称号[毒使い]を倒したら貰えたということは、スキルの譲渡には称号が関わっているのか?
しかし今まで[鑑定]をして称号が見えたことはない。[儚幻]の時はそもそも魔獣が見えなかった、今回に至っては慌てていたので当時の最大出力の魔術を放って一発。今度はできたら[鑑定]する余裕が欲しい。思考がそれたがとにかくスキルを確認しよう。
[鬼毒]
他を害する物を欲するのであれば己を生贄とせよ。
任意の効果を持った毒を生命力2500を消費して創造する。スキル[小毒]の最終到達地点。
…………今までの中で一番やばい。説明の、『己を生贄とせよ』の時点で危険性が滲み出ている。しかも能力は『任意の効果を持った毒』を作ること。つまり、ちょっと腹痛になるものでも触れただけで即死になるものもなんでも作れる。恐ろしすぎる。
しかも生命力を消費するという初めて見るタイプのスキル。消費する生命力が大きすぎて使ったら俺が即死。なにも使えねえ。
というかよくあんなもの使われて生き残れたな俺。任意の毒なのに軽い毒しか使われなかった。なぜだ。いや待て、魔獣が俺を食うために襲ったとしたら、重い毒を使った場合自分にも被害がくる。だから軽い毒しか使わなかったのか。
でも任意の毒だから自分に害がなくできるような気がする。じゃあなんでだ? そういえば[小毒]っていうのの進化版って書いてあるな。
[小毒]
誰にとっても有毒な軽い毒を生成する。
……………分かった。この元のスキルの[小毒]は誰にとっても有毒。おそらくこれは、どんな種族相手にも聞くけど自分にも効くんだ。だからそのスキルの名残りで自分にも被害がくることを考えて軽い毒を使ったんじゃないだろうか。
まあそれはどうでもいい。結論としてはこのスキルは使えない。あとは念のため場所を選べば使える[炎魔術]を確認しておくか。
[炎魔術]
炎を操る魔術。
レベル1 〈火球〉 (拳大の炎を打ち出す、必要魔力45)
レベル2 〈熱刃〉 (炎でできた刃を飛ばす、必要魔力100)
レベル3 〈炎刃〉 (〈熱刃〉の強化版、必要魔力150)
レベル4 〈炎縄〉 (縄状の炎を操作する、必要魔力550)
予想通り使える魔術は増えている。しかし生命魔術の時も思ったが魔術スキルレベル4から必要な魔力が跳ね上がってるな。使い所を気をつけないと魔力が切れそうだ。あと確認してないのは[風魔術]と[空操ノ魔術]。
[風魔術]
風を操る魔術。
レベル1 〈風弾〉 (風の塊を打ち出す、必要魔力60)
レベル2 〈風刃〉 (風でできた刃を打ち出す、必要魔力100)
[空操ノ魔術]
天気を操り、気候を変え、季節を意のままに動かす。
レベル1〈天気操作〉(半径1mの天気を5分変える、必要魔力1100)
レベル2 〈天気操作〉(半径100mの天気を10分変える、必要魔力2200)
[風魔術]はなんとなく[炎魔術]と同じ感じだ。〇弾、◯刃、というふうに使える魔術が増えていってる。[空操ノ魔術]は相変わらず使えない。範囲は広がったが今の魔力量だとレベル1すら使い辛い。
次回投稿は10/27の予定です。




