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10/19

10、衝撃の事実

「疲れた」


 今日は非常に濃い1日だった。いきなり転生してから魔獣に追いかけられたり色んなことが起こった。無属性で魔法が使えないはずの俺が魔術が使えると分かったのはよかった。


 これからの目標としてはとりあえず冒険者としてして安定した生活を送れるようになること。そのためにも魔獣に出会って魔術を習得していかないといけない。


 刀とかの武器も考えたが武器は初期費用が高い。そしてそもそも使えない。この世界の金では銅貨の方が鉄貨よりも安い。おそらく鉄が貴重なんだろう。おそらくだが武器もそれなりの値段だろう。


 そういえば[儚幻の大鎌]とかいう称号を持った鳥、いやデスリーバードを倒したんだった。だったら何かしらレベルが上がってるはず。


「〈ステータス〉」




リク フルオカ (古丘 陸)


【種族】 人間(16歳)


【レベル】 25


【生命力】1200/1200


【魔力】1400/1400


【魔法属性】無属性


【スキル】 [ステータス閲覧][儚幻][遇ノ智庫][算術 レベル8][高速思考 レベル3][苦痛耐性 レベル3] 


【魔術スキル】 [生命魔術 レベル3] [魔力回復速度上昇 レベル3][炎魔術 レベル3][魔力操作 レベル1]


【特殊スキル】 [全言語理解]


【祝福】 [下位天使の祝福] [%#の&=]


【称号】 [異世界からの旅人] [唯一の魔術師] 





 【レベル】が25まであがり、【魔力】と【生命力】が2倍くらいになってる。前はレベルが8上がっただけで4倍くらいになったが今回はそうはいかなかった。 


 ただし、【魔術スキル】の[生命魔術][魔力回復速度上昇][炎魔術]のレベルが1ずつ上がってる。[唯一の魔術師]のおかげでたった1日でここまでいった。新たに[魔力操作]も手に入れた。これはデスリーバードとの戦闘後に手に入れたからレベルが上がってないんだろう。



[魔力操作]

 魔力を操りやすくなり、それによって魔術の消費魔力も減少する。

 


 役に立つんだか立たないんだかよくわからないスキルだ。消費魔力の減少は魅力的だがどれくらい減るのかもわからない。


 それにしても俺のステータスは高いのか低いのか。全くわからない。レベルが100段階なのか、200段階なのか、はたまた50段階なのか。制限なくレベルが伸びていってレベル10000の人がいる可能性だってある。


 ゲームみたいに俊敏とか攻撃力、守備力のステータスはない。流石にそんな都合よくできてはいないか。



グー


 どこからか音が鳴り響く。なにがあった!というわけでもなく俺のお腹の音だ。


「この世界に来てからなにも食べてなかったしな」


 街に入ったところに屋台がいっぱいあったからそこへ行ってみるか。






 あちこちから『それをくれ!』とか『もう少し安く』とかいう声が聞こえて来る。なかなか賑わっているみたいだ。

 いろいろ周りを見て売っているものを確認する。パンを売ってたり野菜を売ってたり、工芸品を売ってたりとなかなかいろんなものがある。

 

 ふと面白そうなサンドイッチを売ってる店が目に入った。なにが面白いか、それは挟んでいるものに原因があった。そう、真っ青な色の野菜と紫色のソースに肉、という絶対地球ではなさそうな、少なくとも俺は見たことがないものが売ってた。とりあえず気になったので店主のおじさんに聞いてみる。


「これはなんですか?」

「これか? 見ての通り、バルソーに鶏肉、さらに自慢の秘伝のソースをかけたやつだぞ」


 聞いたけどわからない。鶏肉はわかる、秘伝のソースはこの紫の何か。だとするとバルソーとかいうのがこの真っ青な野菜?のことなのか。


「バルソーですか?」

「知らねえのか? この辺りでよく取れる野菜だが」

「この街には今日来たばかりなので。どんな味なんですか」

「どんな味? それは食べてみてのお楽しみだ」


 買うか?と店主が聞いてくる。なかなか商売がうまい。ここで気になるなら買うしかないということか。この辺りでよく取れるということは探せば売ってるだろうがそこまでする気はない。せっかくしだし、買ってみるか。


「..........いくらですか?」

「大銅貨5枚だ」

「買います」


 大銅貨5枚ならまだいいだろう。宿での朝食が大銅貨10枚なのを考えると損ではない。


「毎度あり!」


 渡されたサンドイッチは思ったよりずっしりしていた。試しに一口。


 秘伝のソースは絶妙な酸味と塩気を感じさせ、鶏肉と非常にあっていた。謎のバルソーは野菜なのにまるでカレーのようなスパイシーさがあり、これもまたさっぱりとしたソースに合っていた。意味がわからない上なんでこれがソースとあってるのか不明だが、流石異世界、と思うことにした。

 

 噛めば噛むほどジューシーで、さらにソースとバルソーが口の中で混ざることで味に深みが出ている。しっかりと噛むことでカレーとして完成していくような感覚すら覚える。とても美味しいが本気で意味不明だ。しかし美味しい。


「美味しいですね!」


 とりあえず店主にはブラスの感想を伝えておく。


「ありがとうよ、嬢ちゃん。これがうちの屋台の一番の自慢の品だからな!」


 


 今度はあっちの屋台に行こうかな、と進んだところでふと気がつく。


 何か今絶対に聞き逃しては行けないことを言った気がする。このサンドイッチが自慢の品かはどうでもいい。今、『嬢ちゃん』って言ったか? は? え? なんで?


 もしかして異世界では男性のことを『嬢ちゃん』って呼ぶのか? それ以外俺のどこに女性だと思われる要素がある? まさか転生って性別が変わるのか!? やばいこんらん


([遇ノ智庫]、俺の性別は? 男だよな?)

〈はい、あなたの性別は男です〉


 やっぱりそうだよな。転生で性別まで変わるわけないよね。それは性転換だし。


(じゃあ異世界には男性を『嬢ちゃん』と呼ぶ風習があるのか?)

〈これまでその事態には遭遇していません〉


 街に着いてからここまで、そんなことはない、と。

 え? じゃあなんで? 俺は若返ってるけどそれ以外の外見の変化は..........外見? まてよ? いやまさかまさかそんなわけない......よね?


(ぐ、[遇ノ智庫]、今の俺の外見は地球にいた時と同じか?)

〈いいえ、大きく変化しています〉


 は? は? は? やっぱりそういうことなの!? 


(おい、今の容姿を鏡みたいに脳内に表示してくれ!)

〈はい、かしこまりました〉


 ああ、唇の右側に少しソースがついてるな。拭いておかなきゃ。じゃなくて! 誰だよこれ! 嘘だろ外見がこんなに変わってるなんて。どう考えても俺が16歳の時の顔じゃない。


 そう、俺の脳内に映されたのは、『どちらかというと女寄りの』、『しかし少年にも見える』、『とても整った』顔だった。流石に自分の顔だからか笑ってみてもなにも思わないが、客観的にこれを少女として捉えればまさに絶世の美女だろう。


 それに加えて俺は他人に丁寧に、言い換えれば『男女の区別がつかない口調で』話していた。これは嬢ちゃんと呼ばれるわけだ。


 さらに、今の声は中性的なものだ。若返ったからだと思っていたが、もしかしたらこれは別の体だからなのかもしれない。


 しかし、本当に、本当に


「説明、しとけ! あの、大天使ぃぃ!」


 直前に[儚幻]を発動したおかげで誰にも気付かれず、ただ俺だけに聞こえる声が虚しく散る。空は皮肉にも雲一つなく、そして青く澄んでいた。





 しばらくそのまま露店を見ていると何やら模様のある箱が売られていた。その模様は分かりやすく植物や動物といったものではなく仮面の模様だったりさまざまだった。なぜ木箱に仮面の模様を彫るんだ。


「すみません、これはなんの模様なんですか?」


 試しに聞いてみることにした。


「おう、この箱は伝説の冒険者をモチーフにしたものだ」

「冒険者、ですか?」

「ああ、例えばこの箱。100年前にいたとされるあの、『対の魔道士』を連想させるだろ?」


 いえ、全くわかりません。彫られているのは氷?らしきものと炎だった。冷えてる氷と熱い炎で『対極』だから『対の魔道士』ってことか? 安直だな。

 ここはいわゆるキャラクターグッズ専門店と思えばいいのか。とりあえずヘーソウナンダーで流す。


「じゃあこれはなんですか?」


 俺が指差したのは最初に目に入った謎の仮面の箱。色がないからはっきりとはわからないが雷らしきものがあるように見えた。


「これか! これはかの有名な生きる伝説、1級冒険者の『黒雷の剣聖』の仮面だ。これまで数々の高難易度依頼をこなし、貴重な雷を操ることのできる魔法使い! その一撃はまさに剣聖の名にふさわしく________」


 長すぎる。いつまで語ってる気だこいつ。こうなったら強引に話を切り替えるか。


「_______さらに常に仮面をかぶっているため素性が分からず、「あの、この木箱のモチーフはなんですか?」


 これは賭けだ。俺が刺したのは謎の砂時計が掘られている箱。このモチーフが店主にとってどんなものなのか。下手をすればさらに長い話を聞くことになる。しかし、それそれでも俺は!


「.......これか。なんだったかな」


 よっしゃー! 賭けに勝った。


「確か、前来た行商人の話を聞いて彫ったんだが..........」


 しまった、これじゃ延々と悩み続けるパターンかも。


 お、これは明らかな『刀』が彫ってある。この世界に来て帯剣してるひとは何人か見たけど持っているのはたいていが剣だった。


「ん? この剣の模様が珍しいか?」

「はい、初めて見ました」


 この世界では。


「これはドワーフの中の伝説に出てくる『コーオーの魔剣』だ」

「『コーオー』?」

「ああ、どれだけ硬い鉱石でも容易く加工し、魔法を付与する天才的な鍛治師だったらしい」


 コーオーっていうのは剣の銘とか地名とかじゃなくて人の名前だったのか。


 それにしてもドワーフがいるのか。


「買うか?」


 [武器庫]がある俺に箱がなんの意味を持つんだ。今は金の無駄遣いを避けたいので申し訳ないが断ろう。


「すみませんが、今は手持ちが少ないので」

「おう、気が向いたらいつでも来な」


 店主にお礼を言ってから宿へ戻る道へ行く。明日は新人講習らしいので早く寝よう。

今回で第10話。読んでくださりありがとうございます。

ぜひ評価をお願いします。


投稿は不定期です。


次回、冒険者ギルドの新人講習

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