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1、始まりと意味不明な説明

この作品はフィクションです。実在する人物、出来事、団体等と一切関係ありません。

1


「…ここは?」


 目が覚めると俺は見知らぬ場所にいた。ここはどこなのか、どうやってこの場所に来たのか全く覚えていない。そもそもここを『場所』と呼んでいいのか。ここは、淡い赤や黄色の混じった光に照らされた空間だった。


「眠りより醒めたか」

「え?」


 どこからか声が聞こえた。しかし周りを見ても何もないし、誰もいない。


ポン


 肩に手が置かれた。

 

「ギャー!」


 慌てて先程まで何もなかった後ろを見る。

 そこには一人の女性がいた。真っ白な服に青色の綺麗な刺繍の入った服を纏い、背中に『羽』を持っている。もうこの時点で普通の『人』ではないのが確定した。しかも1対2枚とかではなく6対、合計12枚もの羽。

 何も武術など習っていないし、強いて言うなら学校の授業で習った程度の俺でもわかる圧倒的な雰囲気。腰には美しい剣を持っている。まさに『武』の象徴とでも言うべき姿。


「…どちら様ですか?」


「汝は世界を越え、異世界への旅人となる」

「え?」


 何言ってんの?え?しかも俺の質問ガン無視かよ。

 そもそも俺はどうしてここにいるんだ。

 こうなると自分で推測するしかないわけだが、この人?は所謂『天使』だろう。普段なら自分の頭を疑うがこんな意味不明な空間、そうとでもしなければ理解できない。


 次に『世界を越え〜』だが世界を越えるってことは異なる世界、所謂異世界に行くってことだろう。で、なんて言ったこの天使は。『汝は〜旅人となる』ってことは世界云々も合わせると、『俺が、異世界へ』ってことか。


何言ってんの?


「はい?」

「理解できたようで結構」


「いや、全く意味がわか…」

「停滞よりも歩みを。汝はそのための一石となる」


 マジで話聞いてくれない。そして今回に至っては何を言いたいのか全くわからん。


「汝にとって全て言葉は意味のあるものとなろう。汝にとって全ての文字は意味のあるものとなろう。」

「あの、あんまり理解できてないん…」

「この下が異なる世界となる」

「いや、だから」


「旅人に祝福のあらんことを」


 天使が手をサッと振った。


ボコッ



「うわあああぁぁ!」


 空間?に穴が開き、身体が宙に浮いたような感覚になる。


 要するに落下していく。


「ああぁぁぁぁー!」


こうして、俺は異世界に落とされた。





_とはならなかった。






「ようこそ、『地球』からの転生者さん。私はこの世界ルーミトフの天使、レアルスです。」


 今度の俺は真っ白な空間にいた。そして、また天使がいた。ただし先ほどの天使ではない。今度は1対2枚の代表的な格好の天使だった。


「あの、ここはどこですか?」

「ここは、私の張った結界です」


 よかった、話が通じた!なんて素晴らしいんでしょう。

じゃなくて、


「さっき、天使?みたいな人にこの下が異世界だとか言って落とされたんですけど、なぜ俺はここにいるんでしょう」

「ああ、ここはもう異世界ですよ。ここは中継地点と思ってくれれば」


 なるほど。つまり、この下が異世界っていうのはこの下に街とかがあるとかいうことではなくてこの下に中継となるところがあるって言うことだったらしい。

 流石に何も知らない世界にいきなり行ったらやばいからな。


「先ほどの天使、とおっしゃいましたがどの程度この世界についてどの程度聞いていますか?」

「何も......」


「何も?」

「はい。全く知らないです」

「全く?地球側の担当者は何という名前でしたか?」

「......知りません」


 何も悪いことはしてないのに天使に問い詰められてると何かやってしまったような気分になる。


 っていうかマジでさっきの天使は何だったんだ。さっきの天使っていうのは面倒だから『12枚』って呼ぼう。目の前の天使、レアルスさんが驚いてるってことは『12枚』は説明するはずのことを吹っ飛ばしてるんだろう。アレがデフォルトだったら困る。まあ、ほかに転生者がいるのか知らないけど。


 この世界の名前がルーミトフっていうのもさっきの会話で知ったくらいだし。


「では、どのような特徴の天使でしたか?翼の枚数や服の色、持っていたものなどを教えていただければ。」

「翼、ですか?」

「はい。天使は翼の枚数によって階級が分かれています」


 なるほど。偉い人が豪華な服を着るようなもんか?ちょっと違うか。つけている勲章を見るような感じか?


「翼は6対12枚でした」

「え?」


 なんだろう。

目の前の天使の顔が目に見えて青くなってる。

 

「あ、あの、その方は何かを持っていましたか?」

「えっと、剣?を持っていました」

「......」


 沈黙。やっぱり翼が階級を示すって言ってたから偉い人なのかな?


「............大丈夫ですか?」

「...ハッ」


 ようやく元に戻ったらしい


「失礼しました。少し驚きが、いえ、非常に驚きが強かったので」


わざわざ言い直したほどか。


「先程、翼の枚数で天使の階級がわかると言いましたよね。例えば私レアルスは1対。多くの天使が1対2枚の翼を持っています。そして、枚数が多いほど階級が上がり、合計12枚とは......『最高位』を示しています」


「はい⁈」


 まじか。『12枚』が最高位なんだ。ってことはあの話を全く聞かないのが最高位........。


「そして、『最高位』の天使はこの広い世界を見てもたった2体しかおらず『大天使』と呼ばれます。『始の大天使』と『終の大天使』です。先程あなたが会ったのは剣を持っているので『調停と断罪』を司る『終の大天使』だと思われます。」


 おお、なかなか物騒なお名前で。いや名前じゃなく称号って言ったほうがいいのかな。調停を司るって言ってんのに終わりなのか。なんかに問題が起きても全体が終わらないようにするための調停じゃないのかよ。


「話がずれてしまいましたが、結局あなたはこの世界の説明は受けてないんですね?」

「はい」

「では、私か説明します。まず......」

「あの、そもそも何で俺が転生することななったんですか?」

「......」


沈黙。

さっきもこんなことあったね。


「......そこからですか」


 なんかレアルスさんがぐったりしてる。俺もあんなのが上司とか引き継ぎ役だったらぐったりするわ。

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