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Act.13 魔獣初の祝福


 見たことがない服をステラが着てた。

 深い青のブラウスに、少し明るい青の糸で刺繡がされてる。

 襟はゆったりしたリボン。

 光沢がある白くて長いローブを羽織ってた。

 ローブにもキラキラした深い青の糸で刺繡。

 僕もおそろいのローブを着けられて。

 馬車で聖堂に行った。

 雷から守ったところ。

 屋根が丸い、白い建物だ。

 進んで行くと沿道にたくさんの人。

「祝福を受ける魔獣なんて初めてだからね、みんな見に来たのさ」

 馬車を降りたら建物の中に向かう階段に赤い絨毯が敷かれてた。

 その両側に何人もの人がいて、僕はステラに抱かれて中に進んだ。

 どこもかしこも白い。壁も柱も全部白くて、いろんな模様が彫られてる。

 ずっと進んで行くと、金色の刺繍がある白い服を着たおじさんが立ってた。

 僕はおじさんの前にある、赤いクッションがついた台に降ろされた。

「お前が落雷からこの聖堂を守ったルイだね? 巷の噂通り愛らしい猫だ」

 うん、すごく頑張ったよ。守れてよかった。

 おじさんは微笑んでいて優しい。

 うっかり話さないように注意しなくちゃ。

「それに、神聖魔法で人々を救っているそうだね」

 みんなの笑顔を見ると、僕も幸せになれるんだ。

「お前は素晴らしい黒猫だよ。天主様は大変お喜びだ」

 そして僕の頭に手の先を載せた。

「偉大なる魔術師ステラと仮の契約を結びし黒猫ルイ、お前に天主様より大いなる祝福が与えられた。これからもその力をもって人々のために尽くすようにとのご神託である。謹んで拝受するがよい」

 頭に乗った手が温かくて気持ちよかった。

 僕に言葉が通じてるってわかったのかな?

 わかってたみたいな雰囲気だった。

 祝福を受けた魔獣に会おうって、他のタウンやシティから僕を見に来る人がたくさん。

 譲ってほしいって山のように金貨を持って来た人もいる。

「どうするルイ?」

 僕はステラの膝の上で丸まって寝たふり。

 初対面でいきなりお金積む人なんて信じないよ。

 何人もいたけど。

 ショップの人はもちろん、魔術師や冒険者も。

 まして純黒なんて、文献の中の話。おとぎ話の世界。

 異世界から来たから、ある意味合ってる。

 でも僕はどこにも行かない。

 ステラが大好きだし、家族も好きだし、リザもキースも好き。

 ……そうか、嫌なものを嫌だって言えるのが自由なんだ。

 僕はどこかに行かない選択もできるんだ。

 ならどこにも行かない、今は。

 将来は……わからない。きっと誰にも。


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