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なかよしワンダーグラウンド  作者: 森 go太
第一部『邂・逅』
3/25

3話 梨乃ちゃん

 小雪ちゃんが家に来て2日目。その日は朝から快晴だったので、耕助はひとりでいつもの森へと向かった。


 小雪ちゃんは宿題の絵日記を描いている様子だったので、この機会に少しだけひとり遊びに興じようと目論んでの行動だったのだがーー


 暫くすると森に小さな人影。


 「コーちゃん、コーちゃん」

 そう耕助の事を何度も呼びながらこちらに走ってくるのは、小雪ちゃんーーどうやらひとりでここまで来たらしく、目には少し涙が滲んでいる。耕助がどうしたの、と聞くと、小雪ちゃんはぐずりながら耕助を問い詰めた。


 「なんで勝手に出かけるの。ボクも連れてってよぉ」

 よくよく話を聞いてみると、宿題が終わって気付いたら家には1人しかいなかったため、その後わざわざ耕助の母に電話して耕助の居場所を聞き出したらしいが…


 小雪ちゃんからするとその、(知らない大人)と2人で話をする時間が一番キツかったらしい。


 昨日は母のハンバーグ牛すじカレーを美味しそうに食べていたので忘れていたが…そういえば、小雪ちゃんはかなりの大人嫌いだったと耕助は思い出した。


 そして同時に自分の配慮が少し足りていなかったと反省した。


 しかし耕助が頭を下げて謝ると、小雪ちゃんは呆気なく泣き止み、自由気ままに森を散策し始めた。


 その切り替えの速さに耕助は少し拍子抜けする。


 「あ、カブトムシ」

 小雪ちゃんが地面にしゃがんで指を差すのを見ると、それはカブトムシでなくアブラムシだった。


 普段から日常的に昆虫を見ている耕助からしたらどこをどう間違えたのか理解できなかったが、まぁ都会には昆虫なんていないか、と自分で勝手に納得した。そして優しく、これはアブラムシだと教えてあげた。


 「あ、タコ」

 小雪ちゃんが指を差している生物を見ると、それはタコでなく1号だった。


 普段から日常的に1号を見ている耕助からしたらどこをどう間違えたのか理解できなかったが、まぁ都会には宇宙人なんていないか、と自分で勝手に納得した。そして優しく、これは宇宙人の1号だと教えてあげた。


 しかし小雪ちゃんはまだ意味が分かっていないようで、しきりに1号を眺めながら首を傾げているが、それはもう放置する事にした。


 結局今回は11時くらいで森での遊びを切り上げ、家に戻った。


 いつもは12時過ぎまでやっているのだが、小雪ちゃんと一緒にいると自分の世界に入るのが難しく、いつもより楽しめなかったのである。


 また小雪ちゃんは今日含めあと2日しかこっちにいないため、ずっと森で遊ぶのも気が引けた。


 小雪ちゃんをもっと色んな所に連れて行ってあげなきゃなーー。


 耕助は昨日のカレーの残りを口いっぱいに頬張りながら、子供心にそう考えた。




〜〜〜〜〜〜




 ぴんぽん、と呼び鈴が鳴って、梨乃はインターホンの映像を確認する。


 すると画面いっぱいに映っていたのは、何者かの眼球であった。


 梨乃は驚きの余り悲鳴も出せぬまま、腰を抜かしてその場に倒れ込む。


 そして恐怖で心臓をばくばくと拍動させながら、その場で動けずにいるとーードアの向こうから、聞き馴染みのある腑抜けた声が聞こえた。


 「梨乃ちゃん、いますかー?」

 その声の主を確信した瞬間…梨乃は先程までの恐怖心が嘘のように失せ、すっと立ち上がりドアを開ける。


 最近めっきり遊びに来る事が無くなっていたので忘れていた。


 この幼馴染は、ドアスコープに眼球を近づけて梨乃を驚かせる事を趣味の一つとする悪童だったと。


 「こら、耕ちゃん…あれ…?」

 ドアの向こうにいたのは幼馴染の耕ちゃんーーでなく、年下の女の子が立っていた。


 お人形みたいなとても可愛らしい女の子ーーしかし梨乃自身はその女の子に見覚えは無かった。ここまで可愛い子であれば、同じ小学校にいたら少しでも印象に残っているだろうが、全くもって知らない女の子であった。


 その女の子がこんにちは、と挨拶をしてきたので、梨乃もとりあえずこんにちは、と返す。


 「梨乃ちゃん」

 突如梨乃の背後から声がしたので振り向くと、今度こそ悪童ーー耕助の姿があった。


 「久しぶり」

 「うん、レスリング以外で後ろとるのやめてね」

 梨乃は気づかぬ内に背後に回っていた耕助に対し、小学生とは思えぬ高度なツッコミをした。

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