5話 始業式
体育館に移動して始業式が始まり、校長の長話が終わると…耕助は100m走で県一位となった4年生の嵐悠菜と共に、SAS◯KE完全制覇の表彰を受けた。
88888888…
2人が賞状を掲げると全校生徒からそのように拍手が降り注がれたが、その視線の殆どはよりエンタメ性の高い舞台で結果を残した耕助へと向けられておりーーそれに気付いた悠菜は悔しそうに唇を噛みながら、耕助を睨み付けていた。
「犬飼くん、嵐さん、ありがとうございました。では次に…」
しかし耕助はそんな悠菜の敵意剥き出しの視線には全く気付かず、寧ろ無意識に煽るように、賞状を金メダルに見立てて噛みながら6年生の列へと戻る。そしていよいよ次は小雪ちゃんの出番ーー
「転校生の紹介をしたいと思います。東京の小学校から転校して来た、4年生の中邑小雪さんです」
進行役のゲンドウ似の教頭が名前を呼ぶ。すると小雪ちゃんはやはり大人含め沢山の人間に見られて緊張しているのか、まるでロボットのような固い動きで前にーーいや違う。
「ゔぁぁぁぁぁぁ」
あれは本物のロボットーーというかエヴァ初号機だった。サイズは成人男性の等身程度とかなり小さめではあるが…その叫びは本家に負けず劣らず、確かな迫力を感じられた。
「はい、中邑小雪さん、ありがとうございました。皆さん仲良くしてあげてくださいね」
しかしゲンドウ似の教頭は特にそのカオスな自己紹介には触れる事なく、淡々と進行する。そのあまりの落ち着き具合に、小雪ちゃん a.k.a. エヴァ初号機は少しやるせない様子で…そのまますごすごと体育館裏へと消えていった。
「では、これにて始業式を閉会したいと思います。先生方、何か連絡事項は…」
こうして井ノ蛙西小学校の2学期始業式は、今年も特に滞りなく幕を閉じた。そしてこの後はもう教室でLHRを行うだけで、昼前には終わって遊べるーー
午後からの充実した時間を夢想し、耕助は胸を躍らせた。




