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なかよしワンダーグラウンド  作者: 森 go太
第三部 『構・文』
18/25

1話 朝ご飯

 ーーコーちゃん、起きて。

 朝、久しぶりに自分を起こさんとする声が聞こえた。


 しかしその涼やかな声は、秋始めの朝の心地よい空気とあまりに親和性が高く…


 寧ろ目覚めかけていた意識をもう一度また、微睡の世界へと没入させていくようであった。


 ーーコーちゃーん。

 無論のこと、今日が起きなければいけない日である事は重々承知している。


 しかしその天使の囁きのような美しい声に耳元を優しく撫でられると…もはや目を覚まそうという気には到底ならなかった。


 ーーコーちゃん…

 いよいよ本格的に、夢への折り返し便が汽笛を鳴らし始めている。


 嗚呼、初日から遅刻か。しかしこれほど幸せならば、それも良いのかもしれない。


 そう思いながらまた、意識はゆっくりとブラックアウトしていくーー


 「朝ご飯」

 むが。

 むがぁぁぁぁぁぁ

 耕助は突如として口内に詰め込まれた異物に悶絶しながら、無我夢中で目を覚ました。


 そして意識が戻っていくにつれ、味蕾を何かおぞましい苦みが支配している事に気づく。


 そして激しく咳込みながら、それを飲み込んだ時ーー


 耕助の頭からは眠気が綺麗さっぱり失われ、代わりに脳の細胞が焼け切れるような不快感が大半を占めていた。


 「おいしい?」

 そして数十歳は老け込んだ顔で、耕助がその声の方を見るとーー

 小雪ちゃんが顔を近づけて、無表情でこちらを見つめていた。


 「小雪ちゃん、おはよ…これは…」

 「早起きして、頑張って作ったの。目玉焼き」

 小雪ちゃんはそう言うと、耕助の感想を待ち侘びるように、大きな瞳でじっと耕助を見つめ続ける。


 しかし耕助は一旦敢えて、直接的な感想の明言を避けた。


 「お陰さまでしっかり起きられたよ。ありがと」

 「おいしかった?」

 耕助が少し濁しても、小雪ちゃんはブレずに味の感想を聞き出そうとしてくる。


 恐らく、初めての料理でかなり不安なようだが…正直な感想としてはかなり苦く、とても食べられるものではなかった。あれが目玉焼きだとしたら、恐らくかなり焦げてしまっていたのだろうーー。


 コメディものの常識では、女の子が初めてご飯を作ると決まってそのように黒焦げ、所謂暗黒物質(ダークマター)となって出されるらしい、とどこかで聞いた事がある。今回はその典型的なパターンーー


 まぁ起きてすぐにというのはちょっとアレだけど、その気持ちは嬉しいのは嬉しいし…ここはとりあえず、それも含めておいしかったと言ってあげよう。


 「おいしかt」

 「カラスの目玉焼き。うまくできてたかなぁ」


 …かぁ?


 小雪ちゃんの小さな唇から発せられた、

 その言葉の意味を理解した瞬間ーー


 かぁ…


 耕助の全身の筋肉が硬直する。


 っぺ。

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