宿幼決戦編 三十七章 決戦、冷徹対冷血
暴走した神ノ雫・終夜の内部では、悪魂が飛び交い梨々香に突撃しては燃えて消えていた。
「・・・」
神刀赤閃を握った梨々香は超巨大な雫を見ていた。
「ヌゥゥオォォォォ!!!!」
白梅にしがみつくビゼルは冷や汗を垂らしながら叫んだ。
「止まれ!!このままだと消えてしまうぞ!!」
ビゼルは白梅を見て怒鳴った。
「もう会えなくなってしまうぞ!?梨々香は悲しむだろうなぁ!!」
冷や汗を垂らすビゼルは白梅を見て笑みながらそう言った。
「デカい口を叩いていた割に小物だな。権能がないただの魔神にすら一撃与えられないのか?」
白梅はビゼルを見て笑いながらそう言った。
その時、白梅が向かう先に蒼色の光が現れた。
「やめろ・・・」
冷や汗を垂らすビゼルはゆっくりと渦巻く蒼色の光を見てそう言った。
「やめてくれ・・・!」
冷や汗を垂らすビゼルは巨大な蒼色の渦を見て大声でそう言った。
その瞬間、液状闇の中を赫灰が飛び交い始めた。
「やめろ!!スクヨォォォォウ!!!!」
ビゼルは赫色の稲妻を開く巨大な界門を見て悲鳴交じりに叫んだ。
「ッ!?」
ビゼルは驚きながら周りを見渡し、背を向けた白梅を見た。
白梅たちがいる世界は"無垢世界"。
記憶にある風景を際限なく再現し続ける空間である。
「バカで警戒心がない自信家だな。こんな奴の力を求めるとは・・・あのお方も変わっておる」
ビゼルは白梅を見て笑みながら言った。
「メイジーはどうにもこうにも世界を一人で生み出したいらしい」
白梅は宿幼神核を見てそう言った。
「一人じゃどうしようもできないことなんていくらでもあるのに・・・愚かだよね」
白梅はそう言うと、宿幼神核を回転させた。
「そうは思わない?」
白梅は白く光り始める宿幼神核を見てそう言うと、振り返ってビゼルを見た。
「ビゼル・オブ・シーモア」
白梅はビゼルを見てそう言った。
「黙れ!!」
怒筋を浮かべたビゼルは白梅を見て怒鳴った。
「私は一人で生きて来た!月浜を大きくしたのも極東連合を大きくしたのも全て私だ!サトリを解放したのもラバログで神気融合を起こしたのも全て私だ!!」
ビゼルは白梅を見て怒りが籠った声でそう言った。
「これだけ偉大な革命を起こして来た私が最強の力を得て何が悪い!永遠の命を手に入れて何が悪い!!」
両手を広げたビゼルは白梅を見て怒鳴った。
「・・・しょうがない・・・」
白梅は呆れたように言った。
「正々堂々戦って、私を倒せたら神核をあげるよ。お互い、約束しよう」
白梅はビゼルを見てそう言った。
「・・・良いだろう。お前の天狗鼻をへし折ってやる」
最上大業物燦永六華を生成して握ったビゼルは白梅を見てそう言った。
銀氷、ビゼル・オブ・シーモア
月浜最強の剣士にして初代銀氷の子孫。
世の大権の一角、鎮魂の権を持っている。
「だけど・・・」
白梅がそう言った瞬間、世界の雰囲気が重くなった。
「約束を破れば、君は輪廻転生から外され、言葉通りに世界から抹消される」
極限まで冷たく、重たい神気を放つ白梅はそう言うと、白い六華を生成した。
闇を破りし光、神滅と希望の神グローニア
世の主権と破壊の主権を保有する白き神。
折れぬ剣を俗世に住まう生きとし生ける者たちのために振るう。
「・・・」
髪と服が靡くビゼルは白い六華を砕き、生成される神剣白華を握った華千﨑 白梅を見つめる。
「・・・」
最上大業物燦永六華を一振りしたビゼルは力強く歩みを進め、白梅に突撃した。
神剣白華と最上大業物燦永六華は何度もぶつかり合って火花が散る。
白梅は神剣白華を握る手に少し力を込めてビゼルを吹き飛ばした。
吹き飛ばされたビゼルは冷気を放って止まる。
「はぁぁッ!!」
最上大業物燦永六華を握ったビゼルは氷山と見間違うような超巨大な青白い氷塊をいくつも生成して飛ばした。
「・・・解」
右手を伸ばして広げた白梅は氷山と見間違うような超巨大な青白い氷塊を見てそう言った。
すると、氷山と見間違うような超巨大な青白い氷塊が一瞬にして砕け散った。
「・・・」
最上大業物燦永六華を握ったビゼルは煌く氷の粒を突き抜けて白梅に突撃した。
神剣白華を握った白梅は最上大業物燦永六華を受け止める。
「・・・」
片手で最上大業物燦永六華を握ったビゼルは背から銀の凍気を放って推進する。
「・・・」
白梅は両手で神剣白華を握り込んでビゼルを見る。
白梅はビゼルを弾き返すと同時に途轍もない速度で神剣白華を振る。
「瞬斬」
白梅はそう言うと、神剣白華を白色の鞘に納めた。
その瞬間、ビゼルの防御壁が砕け散った。
ビゼルは驚きながら飛び退き、氷の弾を放つ。
白梅を狙って飛び回る氷の弾は白梅の近くで消滅していく。
飛行していたビゼルは白梅に向かって急降下する。
「・・・」
神剣白華を握った白梅はビゼルを回避する。
白梅が居た場所に最上大業物燦永六華が深く突き刺さったその瞬間、白梅が神気風を放った。
「・・・」
吹き飛ばされそうになるビゼルは耐えることしかできない。
「時間切れだ」
神剣白華を握った白梅はそう言いながら空高く浮かび上がった。
浮かび上がった白梅はビゼルを見ながら神剣白華を掲げる。
その瞬間、神剣白華の剣身が花色に染まった。
「剣技、月光乱れ雨」
白梅はそう言うと、剣身が花色に輝く神剣白華を一振りした。
その瞬間、無垢世界全域に花色の光の雨が降り注いだ。
「・・・私の力・・・私の命ッ!!」
月光乱れ雨に貫かれ続けるビゼルは悲しそうに言いながら粉雪になって消えた。
「・・・」
神剣白華を握った白梅は宙に浮かんだ宿幼神核の欠片を手に取ると、欠けた宿幼神核に向けて手を離した。
宿幼神核の欠片は欠けた宿幼神核に引き寄せられ、甲高い音を立てて一つになった。
緑水を纏う神剣白華を握った白梅は宿幼神核の片割れを掴み取り、上を向きながら浮かび上がった。
「白梅・・・」
神刀赤閃を握った梨々香が笑みながらそう言うと、神刀赤閃が刺さる場所から水蒸気が発生し始めた。
「ギュオォォォォォォォォン」
暴走した闇は際限なく偽神グヴァンゼァムを放ち続ける。
「キリがない!」
聖槍・断罪を握ったウェンディはそう言いながら次々と偽神グヴァンゼァムを薙ぎ倒した。




