宿幼決戦編 三十一章 世界の危機に赤い星は再び輝く。
午後六時五十一分。
ミリア国外最前線基地にいるキャロッティたちは橘 ひなたと合流して話をしていた。
「あの透明な袋みたいな神姫は白樂姫と呼ばれてるらしい」
ひなたは資料を見るキャロッティを見てそうに言った。
「ハクラクキ・・・ですか?」
キャロッティはひなたを見てそう言った。
「そう、元々六合様と世の大権を持つ魔神にしか生み出せない神姫なんだけど、宿幼が六合様の力を使って生み出してるんだろうね」
「なんでそんな名前に?」
「白樂がどうも六合様を表す言葉らしいんだ。六合様が生み出す神姫って印象が付いたから白樂姫って呼ばれてるんじゃないかな」
「なるほど・・・」
キャロッティはそう言うと、資料を見た。
「ひなたさんってグローニアキャット族?」
オレンジはひなたを見てそう言った。
「グローニアキャット族と燦水天狐族のハーフ」
ひなたがそう言った時、空襲警報が鳴った。
「・・・またあの袋みたいな神姫か」
キャロッティは点灯するランプを見てそう言った。
「少々飽きたが、付き合ってあげますか」
オレンジは前を向いて立ち上がりながら言った。
「サポートに回る」
ひなたはキャロッティたちを見てそう言うと、インカムを付けた。
「頼みました」
キャロッティはひなたを見てそう言うと、オレンジたちと一緒に部屋から飛び出た。
「・・・」
キャロッティは青く染まる空を浮遊する無数の白い光を見ると、AA-09A-5 ヒマルスを装備して飛び上がった。
大業物灼龍を生成し、握り込んだキャロッティ・ヒマルスは途轍もない速度で上昇し、ML-2 エコー・ゼレヴィアンの死角から迫る狂神姫の光剣を大業物灼龍で弾き返した。
「アージヴァイズの妹!」
業物嵐風を握ったエコー・ゼレヴィアンは大業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスを見て驚きながらそう言った。
「集中を!」
大業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスはそう言いながら狂神姫が振った光剣を右側の剣で弾き返し、狂神姫の首を斬った。
「クケキュキュルルルル」
狂神姫は奇妙な音を発しながら首から白い液状神気を噴き出し、白い光になって消えた。
「数が明らかに増えてる。奴の覚醒が近いのかも」
インカムをつけたひなたは情報が映るモニターを見てそう言った。
「さっさと終わらせる!」
業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスは大量発生する狂神姫を見てそう言った。
「灼龍、出でよ!!」
赤炎を纏った大業物灼龍を構えたキャロッティ・ヒマルスは大量の狂神姫たちを見てそう言うと、大業物灼龍を振った。
すると、振られた大業物灼龍から巨大な赤炎の斬撃波が放たれ、狂神姫たちを消滅させていった。
「よっしゃ!!」
大業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスは白い光が舞う青く染まった空を見て笑みながら言った。
「す、すごい・・・」
エコー・ゼレヴィアンは舞いながら消える白い光を見て唖然としながらそう言った。
その時だった。
西側から強い風が吹き、空が増々青く染まった。
「・・・どんどん青くなってる・・・」
大業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスは増々青く染まった空を見てそう言った。
「ね、ねぇ・・・」
業物嵐風を握ったエコー・ゼレヴィアンは前を見てそう言った。
「どうかしました?」
大業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスはエコー・ゼレヴィアンを見てそう言うと、エコー・ゼレヴィアンが見る方を見た。
目線の先には、かなり遠くから大量の瓦礫が迫って来る光景が広がっていた。
「・・・ま、不味い!不味いよ!!」
業物嵐風を握ったエコー・ゼレヴィアンは押し寄せてくる大量の瓦礫を見て冷や汗をかきながら言った。
「な、何とかしないとッ・・・!!」
大業物灼龍を握ったキャロッティ・ヒマルスは焦りながらそう言うと、急降下し始めた。
「まさかバリアで受け止める気!?」
業物嵐風を握ったエコー・ゼレヴィアンは急降下しながら言った。
「いいや!それじゃ結果は最悪だ!瓦礫を消し飛ばす!!」
キャロッティ・ヒマルスは急減速しながら着地してそう言うと、大業物灼龍を構えた。
「灼龍、出でよ!!」
着地したキャロッティ・ヒマルスは赤炎を纏った大業物灼龍を構えてそう言うと、大業物灼龍を振った。
すると、振られた大業物灼龍から巨大な赤炎の斬撃波が放たれ、瓦礫群に向かっていった。
空気を熱し、陽炎を生み出しながら進む巨大な赤炎の斬撃波は瓦礫群に激突して大爆発を起こした。
「・・・や、やった・・・!?」
息を荒げるキャロッティ・ヒマルスは赤い爆炎を見てそう言った。
その瞬間、爆炎が打ち消されて瓦礫群が見えた。
「そ、そんな・・・」
キャロッティ・ヒマルスは目を見開き、冷や汗を垂らしながらそう言った。
(耳が聞こえない・・・視界もぼやけて来た・・・)
冷や汗を垂らすキャロッティ・ヒマルスは呆然と瓦礫群を見た。
「アージヴァイズの妹!退くんだ!!」
着地したエコー・ゼレヴィアンはキャロッティ・ヒマルスを見てそう言った。
(どうにか・・・どうにかしないと・・・)
キャロッティ・ヒマルスが過呼吸になり始めたその時、エコー・ゼレヴィアンが叫ぶように言った。
「キャロッティ!!」
エコー・ゼレヴィアンが叫ぶようにそう言うと、キャロッティ・ヒマルスがハッとしてエコー・ゼレヴィアンを見た。
「キャロッティ、私たちは仲間だ。仲間っていうのは助け合える人たちのことだ」
エコー・ゼレヴィアンはキャロッティ・ヒマルスの手を握ってそう言った。
「・・・」
キャロッティ・ヒマルスは少しうつむいた。
「私たちは決して独りじゃない」
エコー・ゼレヴィアンはそう言うと、笑みながら上を向いた。
「・・・」
キャロッティ・ヒマルスはつられて上を向いた。
地上から大量の光が上がり、上空には大量の光が集まっていた。
「すみません・・・私・・・癖が抜けなくて・・・」
キャロッティ・ヒマルスはエコー・ゼレヴィアンを見てそう言った。
「嬉しいこと、楽しいことはすぐ塗り替えられるのに・・・辛いこと、嫌なことは中々塗り替えれないよね」
エコー・ゼレヴィアンは笑みながらそう言うと、ゆっくりと上昇した。
「・・・」
キャロッティ・ヒマルスはエコー・ゼレヴィアンを見ながらゆっくりと上昇した。
「人生長いんだから、もっとゆっくり歩こう」
エコー・ゼレヴィアンはキャロッティ・ヒマルスの手を握って笑みながらそう言った。
「・・・はい」
キャロッティ・ヒマルスはエコー・ゼレヴィアンを見て笑みながらそう言うと、手を握り返した。
キャロッティとエコーが高度を上げると、オレンジたちが次々と攻撃を開始した。
「心炎剣技!心炎杭!!」
大業物日炎を両手で握り、掲げたML-2 オレンジ・ゴールドマスターはそう言うと、全力で大業物心宮を振った。
心炎の杭が迫る瓦礫群に落ち、大爆発を起こした。
しかし、強力な神気を纏った瓦礫群は一切減らない。
「減らない!!」
大業物心宮を握ったオレンジ・ゴールドマスターは冷や汗をかきながら言った。
「爆撃急げ!!」
爆撃型ML-2を装備した黄眼、赤茶髪ショートヘア。紅色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだ色白な肌の乙女のような女性、ロゼェル・クリスフィア・スミスは迫る瓦礫群に爆弾を投下しながら言った。
補給を終えた爆撃型ML-2はロゼェル・爆撃型ML-2に続いて瓦礫群に次々と爆弾を投下した。
「全力!」
マスケット銃を握った夕日色眼、茶髪ロングヘア。紫色と橙色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだ色白な肌の女性、AA-09A-3 クレア・ログワースがそう言うと、ログワースから緑色の光が噴き出した。
「一斉射!!」
クレア・ログワースはそう言うと、マスケット銃の引き金を引いた。
ログワースに搭載された六門のエネルギー砲と四基の超高出力エネルギー砲とクレア・リー・リンパニーが構えたマスケット銃型のエネルギー砲からエネルギー弾が放たれた。
瓦礫群に放たれたエネルギー弾は強烈な光と炸裂音と共に瓦礫群を襲った。
エネルギー弾を受けた瓦礫群の速度が低下し、時速百キロ前後まで下がった。
「減らなーい!!」
銃口から熱気を放つマスケット銃を握ったクレア・ログワースは瓦礫群を見て泣きながら言った。
「太陽剣技!天炎ノ龍!!」
異天彗星剣ソフィアを握り込んだ赤眼、薄朱色髪ツインテール。薄朱色と赤色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだ色白な肌の少女、ジェシカ・デュ・リーは瓦礫群を見てそう言うと、異天彗星剣ソフィアを振った。
異天彗星剣ソフィアから放たれた炎が龍となり、瓦礫群に向かう。
炎の龍は瓦礫群に当たり、大爆発を起こして瓦礫群を破壊した。
しかし、瓦礫群はまだ六割残っている。
「もうダメか・・・」
異天彗星剣ソフィアを握ったジェシカは瓦礫群を見てそう言った。
迫る瓦礫群が前線基地の第一防衛壁を吸い込み始めたその時、螺旋状に降り注いだ赤い光の弾が瓦礫群を襲った。
「赤い・・・星・・・」
キャロッティ・ヒマルスは驚きながらそう言うと、上を見た。
地上に降り注いだ赤い光の弾は巨大な爆発を起こし続け、瓦礫群を全て破壊した。
「・・・ゼノクイーン!!」
エコー・ゼレヴィアンは上を見て笑みながら言った。
「・・・間に合った・・・」
冷や汗を垂らすアイリア・ゼノクイーン(光翼形態)は地平線を見てそう言った。
「神気濃度が危険域を越してる」
異天彗星剣ソフィアを握ったジェシカは神気計測機を見てそう言うと、異天彗星剣ソフィアを消滅させた。
「前線基地を破棄!総員結界内に避難しろ!」
ジェシカはキャロッティ・ヒマルスたちを見てそう言った。
「了解!」
キャロッティ・ヒマルスたちはそう言うと、結界まで撤退した。




