宿幼決戦編 二十六章 世に轟く制裁の雷鳴
一方、桜はサウスドラゴニア城付近に来ていた。
「ふぅ・・・馬の一頭でも連れてこれば良かった・・・」
息を乱す桜は歩きながら言った。
「随分と暴れておるな」
歩みを進める桜は渦巻く悪魂を見てそう言った。
紅雷を放つ最上大業物燦海を生成して握った桜は一瞬にして消え、直後桜が居た場所に紅い稲妻が広がった。
「もうダメだ!アージヴァイズ!」
アイリア・ヒマルスはアージヴァイズ・ノワールを抱いて押さえながら言った。
アージヴァイズ・ノワールが暴れようとした時、雷鳴が轟いた。
「世を汚す悪に制裁を与えよう」
桜の声が聴こえると、渦巻く悪魂が紅き雷に打たれて次々と破裂し始めた。
「影」
アージヴァイズとアイリアの腕を掴んだカエデがそう言うと、アージヴァイズとアイリアとカエデが青紫色の液体になって消えた。
空に浮かんだ桜は狂神ローランを見つめた。
「ウゥクルゥゥゥゥェェェェ」
狂神ローランは桜を見ると、大量の触手を桜に伸ばした。
「愚かなり」
紅雷を放つ最上大業物燦海を握った桜が向かってくる触手を見てそう言った瞬間、狂神ローランに紅い稲妻が走った。
紅い稲妻を纏った狂神ローランはさらに変異して巨大化していく。
「・・・」
桜はひび割れ、陥没していく信じられないほど厚い床を見て狂神ローランから離れた。
「ジィィィダァァァァ」
狂神ローランが動き始めたその瞬間信じられないほど厚い床が崩れた。
「キュエェェェェェェェェ!!!!」
狂神ローランは触手で床を掴んで止まろうとするも掴んだ床と共に奈落の底へ落ちていった。
「・・・」
桜は奈落の底に現れた閃光を見つめる。
次の瞬間、桜の神と服が途轍もない勢いで靡いた。
神軍拠点艦一番艦イクイノックスの甲板にいるオレンジたちは耳を劈くような強烈な異音に耳を塞ぐ。
オレンジたちが驚きながら光り輝くサウスドラゴニア城跡地を見ていると、夜空色の神気に包まれた桜が降って来た。
「だ、大丈夫!?ですか!?」
オレンジは桜を見て動揺しながらそう言った。
「うむ・・・」
桜は空を見てそう言うと、ゆっくりと起き上がった。
「感謝します、ナハト大神」
桜はお茶を飲むヒルデガルトを見てそう言った。
「君に感謝されると体が痒くなる」
ヒルデガルトはそう言いながらお茶を淹れた。
桜はヒルデガルトの向かいの席に座ってお茶を飲み始めた。
「神様って不思議・・・」
エコーは桜とヒルデガルトを見て困惑しながらそう言った。




