宿幼決戦編 二十四章 狂神ローラン
一方、カーダンドでは赤色に染まるサウスドラゴニアを桜が見ていた。
「万象様・・・」
髪と着物が靡く桜は赤く染まるサウスドラゴニアを見てそう呟いた。
「・・・」
目を見開いた桜は急いで振り返った。
人の耳では聞こえないほど微かに聞こえる足音。
少し遠くに人影が見える。
一方、サウスドラゴニア王宮跡地では梨々香とリベードリヒが戦っていた。
梨々香は柄頭でリベードリヒの腹部を突く。
リベードリヒは体勢を立て直そうと木の葉のように降下していき、ついには地面に叩きつけられた。
「衰えるどころか・・・増々強くなっている・・・」
仰向けで地面に倒れたリベードリヒは驚きながら空に浮かぶ華炎を見てそう言った。
「・・・」
神刀華炎を掲げた梨々香はリベードリヒを見ていた。
「き、きぃぃぃぃ!!!!貴様らぁぁぁぁ!!」
冷や汗を垂らすリベードリヒは華炎を見て目を見開き、叫んだ。
その瞬間、大量の闇が空に浮かぶ華炎に放たれた。
「剣技、日の目八柱」
神刀華炎を掲げた梨々香は赤く燃える瞳で大量の闇を見てそう言った。
「キュギキ」
大量の闇は降り注ぐ神気に触れることなく焼けて消滅した。
「グヌゥ・・・!!」
冷や汗をかいたリベードリヒは途轍もない速度で降ってくる華炎の柱を見てよろけながら飛び上がった。
その直後に華炎の柱が一階の信じられないほど厚い床に直撃し、八発の柱に分散して広がった。
「グナァアァァァァ!!!!」
ローランは燃えながら叫んだ。
炎が収まると、崩れかかった床が見えた。
「・・・クソァァァッァ・・・死んでたまるかァァァァ・・・」
ボロボロになったローランはそう叫ぶと、疑似神具を口に銜えた。
「返せ・・・!!」
疑似神具を握ったリベードリヒはそう言いながら疑似神具を奪い取った。
「奪わせるもんか・・・僕のものだぞ!!」
リベードリヒは大声でそう言うと、疑似神具を腹部に押し当てた。
リベードリヒは疑似神具を吸収し、青い神気を放った。
「・・・」
疑似神具を奪われたローランは唖然としている。
「・・・」
傷が治ったリベードリヒはローランを見て不敵な笑みを浮かべた。
「・・・」
ローランはリベードリヒを見て目を見開いた。
「お前は使える、使えるぞ!最初の一撃はお前に譲ってやる」
リベードリヒはローランを見て笑みながらそう言うと、ローランの首を掴んで闇を注いだ。
「ウガッ・・・!!ウッ・・・アッ・・・アァァ」
闇を注がれたローランは目から闇色の涙を流した。
「ウゥゥウ!ウゥゥウ!!」
頭を抱えたローランが悶え始めると、体の至る所を突き破って闇の触手が出てきた。
「逃がさない・・・お前だけは絶対に・・・」
最上大業物日炎を握ったアイリア・ヒマルスは狂神と化すローランを見てそう言った。
最上大業物日炎を握ったアイリア・ヒマルスは数歩走ると、狂神ローランに向かって飛んだ。
「ジィィヌィィ!!」
狂神ローランは叫びながら闇の触手を振り回した。
最上大業物日炎を握ったアイリア・ヒマルスは闇の触手を瞬時に切り裂き、狂神ローランの口に最上大業物日炎を突き刺した。
燃えながら噴き出す液状闇が聖陽水晶になり、飛び散る。
「キュヤァァァァァァァァ!!!!」
狂神ローランは悲鳴を上げた。




